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不動産売却により住民税は上がる?支払いの時期や徴収方法などを解説

不動産を売却すると、翌年の住民税が上がることがあります。これは、不動産を売却したときの利益である「譲渡所得」に税金がかかるためです。ただし、譲渡所得は売却額とイコールではありません。譲渡所得は、売却額から不動産の取得費や売却にかかった費用などを差し引いて計算されます。

不動産売却で住民税が上がる詳しい理由や計算方法、納付する時期について解説します。

不動産売却によって住民税が上がるケースとは?

不動産売却の住民税

不動産売却をすると、住民税が一時的に増えることがあります。ただし、必ず増えるわけではありません。住民税が上がるのは、不動産売却によって利益が出て、その年の所得額が増えたときです。

住民税が上がる具体的なケースと計算法法を紹介します。

不動産売却によって利益を得た場合に発生

不動産売却によって住民税が発生するのは、利益が出た場合のみです。

不動産の売却額-(不動産の取得費+譲渡費用)=譲渡所得額

上記の計算の結果がプラスになると、税金が課税される可能性があります。

ただし、不動産の取得費は購入金額ではありません。一般的に、購入価額から建物の減価償却費を差し引いて求めます。譲渡費用とは、売却時に不動産会社に支払った仲介手数料などです。

なお、後ほど解説する特例が適用される場合は、上記からさらに特別控除の額を差し引いて課税される譲渡所得額を算出します。

不動産売却で課せられる住民税の計算方法

不動産売却の利益にかかる住民税は、給与所得などにかかる住民税とは税率が異なります。

  • 売却した不動産を保有していた期間が5年以下の場合(短期譲渡所得)

譲渡所得の額×9%

  • 売却した不動産を保有していた期間が5年超の場合(長期譲渡所得)

譲渡所得の額×5%

なお「5年」は、不動産を売却した年の1月1日に5年を超えているかどうかで判断します。たとえば、2018年6月10日に購入した物件を2023年7月20日に売却すると、短期譲渡所得になります。

不動産売却による住民税はいつ払うの?

不動産売却の税金

不動産売却益に住民税が課せられる場合でも、自分で申告する必要は基本的にありません。確定申告を行えば、そのデータがそれぞれのお住まいの自治体に共有されて住民税が計算されます。

計算された住民税を支払うタイミングや、支払い方法を解説します。

住民税は不動産売却した翌年に納める

不動産の売却益にかかる住民税は、売却の翌年に納めます。これは、住民税が前年の所得に課税されるためです。

例)2022年11月10日に不動産を売却し、利益が出た

上記の場合、2023年2月16日から3月15日までの間に確定申告を行い、2023年6月以降の住民税で納付します。

具体的な納付のタイミングは、徴収方法によって異なります。

2種類ある住民税の納め方

住民税の支払い方には、普通徴収と特別徴収の2種類があります。利用できる人や納付方法、納付のタイミングなどが異なるため、自分がどちらなのかを把握しておきましょう。

①普通徴収

普通徴収は、住民税を課せられた人が自分で税金を納める方法のことです。自営業者や、会社で住民税を徴収されていないフリーターの方などは、普通徴収で住民税を納めます。

普通徴収に該当する方の自宅には、各自治体から6月頃に住民税通知書と納付書が送られてきます。前年の所得額に応じた算出された住民税を4期に分けて納付しましょう。一括納付や、前倒しで2期分まとめて払うといったことも可能です。支払い時期は、一般的に6月、8月、10月、翌年1月のそれぞれ末日までです。

②特別徴収

会社から給与をもらって働いている会社員や、住民税が課税される年金受給者などは、特別徴収で住民税を納めます。

特別徴収の場合、給与や年金の支給額から住民税が差し引かれます。自分で納付する必要はありません。会社員であれば、毎年6月から翌年5月までの給与から前年の所得にかかる住民税額を支払います。

なお、普通徴収と特別徴収は支払い方法が違うだけです。徴収方法によって住民税の金額が変わるわけではありません。

不動産売却益にかかる住民税を控除・軽減できる制度

不動産売却税金の控除

不動産の売却益にかかる住民税は、特例制度などを利用することで軽減できる可能性があります。ただし、制度を利用する際は自己申告をしなければいけません。どのような制度があるのかを知って、活用しましょう。

3,000万円特別控除

3,000万円特別控除とは、要件を満たすマイホームを売った場合に譲渡所得の額から3,000万円を控除できる制度です。この制度は、不動産売却にかかる譲渡所得が短期譲渡所得でも長期譲渡所得でも利用できます。

主な要件は以下の通りです。

  • 自分が住んでいた家を売却する、または住まなくなってから3年後の日が属する年の12月31日までに売却する
  • 家を壊して土地だけを売る場合は、壊してから1年以内に譲渡契約を締結し、なおかつ土地だけの状態で他の用途に使用していない
  • 売却した年の前年や前々年にこの特例を利用していない
  • その他の併用できない特例を利用していない
  • 売却する相手が親子や夫婦といった関係者ではない

買い換えの特例

買い換えの特例は、マイホームを買い換えるときに利用できる特例です。

不動産を売却して利益が出ると、通常は住民税が課税されます。しかし、買い換えの特例を利用すると、新しく購入した不動産を売却するときまで利益にかかる住民税の支払いを先延ばしにできます。

ただし、3,000万円の特別控除と併用することはできません。その他の主な要件は以下の通りです。

  • 自分が住んでいた家を売却する、または住まなくなってから3年後の日が属する年の12月31日までに売却する
  • 10年以上住んでいて、なおかつ売却した年の1月1日の時点で所有期間が10年を超える
  • 売却代金が1億円以下である
  • 売却した年の前年から翌年までの間にマイホームを購入する

その他、細かい要件もあるので詳細は税務署に確認してください。

軽減税率の特例

売却した年の1月1日の時点で所有期間が10年を超えるマイホームは、売却益にかかる税金について軽減税率の適用を受けられます

適用を受けると、譲渡所得金額6,000万円までの住民税は4%になります。6,000万円を超える部分については、通常の長期譲渡所得と同じ5%です。

なお、軽減税率の特例は、3,000万円控除の特例と併用が可能です。

関連記事:不動産売却時の税金控除|特例や活用する際の注意点について解説

ふるさと納税

ふるさと納税は、地方自治体への寄付金額のうち、自己負担2,000円を除いた金額が所得税や住民税から控除される制度です。

そのため、利用すれば住民税の支払額は減りますが、手元から出ていくお金自体が減るわけではありません。あくまでも、少ない自己負担で地方自治体を応援しつつ返礼品をもらえるだけです。

なお、所得税や住民税から控除できる金額には上限があるため、ふるさと納税のしすぎに注意しましょう。不動産売却益があった年は上限額がその分上がりますから、普段よりも多くふるさと納税ができます。

不動産売却とふるさと納税の関係については、以下の記事で詳しく説明しています。

不動産売却時の住民税に関して把握しておきたいポイント

住民税のチェックポイント

不動産の売却益にかかる住民税について、間違えやすいポイントを紹介します。制度を正しく理解すれば、税金に対する不安を感じずに売却手続きを進められるでしょう。

確定申告時の納付は不要

住民税を確定申告のタイミングで納付する必要はありません

確定申告をした際、それまでに納付していた源泉徴収税額が不足していた場合は追加で税金を支払うことになりますが、これはあくまでも所得税だけです。

また、住民税額の計算や申告も基本的に不要です。確定申告を元に自治体が計算してくれますから、通知書が届くのを待ちましょう。会社員の方は、勤務先を通して通知書が渡されます。

譲渡所得税の意味

不動産売却に関する記事や解説の中で「譲渡所得税」という言葉を耳にすることがあります。この言葉は、不動産の譲渡所得にかかる所得税と住民税を差して使われています。「譲渡所得税」という言葉の税金は存在しませんから、混乱しないようにしましょう。

不動産を売却した際に発生する税金は、あくまでも所得税と住民税の2種類です(契約時には、別途印紙税などが発生します)。

住民税の納税時期や控除について理解を深めよう

不動産を売却して利益が出ると、翌年の住民税額が高額になります。売却益を受け取ってから税金を支払うまでにタイムラグがあるため、忘れた頃に高額な通知書が届いて驚くことがないようにしましょう。

不動産売却時には、さまざまな税金の特例や控除が利用できる可能性もあります。併用できない制度もあるため、それぞれの方にとって最適な制度を利用しましょう。