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不動産を売却する際、どんな書類が必要か正しく理解していますか?不備なく提出するためには、あらかじめ必要書類を知っておくことが大切です。
この記事では、不動産売却時と引き渡し時に必要な書類をそれぞれ紹介します。大まかにいうと、売却時には10枚、引き渡し時には7枚の書類を提出しなければなりません。一つひとつしっかり覚えておきましょう。
また、書類の入手方法や注意点もお伝えします。不動産売却が初めての方は特にチェックすべきポイントです。
スムーズな不動産売却を成功させるためにも、ぜひ最後まで読み進めていってください。
不動産売却時の売主の必要書類を紹介
不動産を売却するには合計10枚の書類を用意しなければなりません。
ここではそれぞれの書類の概要や取得方法を簡単に解説していきます。ただし、不動産の種類や売却方法によって必要書類が異なる場合もあるので注意してください。
また、確定申告の必要書類については以下のリンクにまとめています。気になる方は併せてチェックしておきましょう。
不動産売却の確定申告で必要な書類をわかりやすくケース別に解説
必要書類 | 概要 |
①登記済証(権利証)又は登記識別情報 | 権利書の名義人が物件の所有者であることを記した書類 |
②印鑑証明書 | 登録した印鑑が本物であることを証明する書類 |
③固定資産税納税通知書(又は固定資産税評価証明書) | 固定資産税の納税額・評価額が記載された書類 |
④管理規約・議事録・長期修繕計画書等(マンションなどの場合) | マンションの管理・ルールについて記載された書類 |
⑤建築確認済証・検査済証 | 建築基準法に適合した建物か証明する書類 |
⑥地積測量図・境界確認書・建物図面・建築協定書等 | 土地面積・土地の境界・建物の詳しい図面・協定について記載された書類 |
⑦物件状況等報告書 | 故障やリフォーム履歴など、建物の状況を買主に対して説明する書類 |
⑧付帯設備表 | 給湯器やウォシュレットなどすでに設置されている設備を記した書類 |
⑨本人確認書類 | 運転免許証・マイナンバーカード・パスポートなど本人を確認する書類 |
⑩住民票 | 登記住所と現住所が異なる場合に必要な、売主の現住所を証明する書類 |
①登記済証(権利証)又は登記識別情報
権利書の名義人が物件の所有者であることを記した書類が「登記済権利証」です。平成17年(2005年)以降に取得した不動産物件のなかには「登記識別情報」として発行されている場合もあります。
これらの書類は物件取得後に法務局から交付され、売却したあとに買主へ移転登記することで物件の所有者が移ります。
②印鑑証明書
売主の確認書類として必要なのが「印鑑証明書」です。物件の名義人が複数いる場合は、共有者全員の印鑑証明書を取得しなければなりません。
基本的には、実印を登録している市区町村の窓口で発行します。マイナンバーカードを持っている場合は、コンビニエンスストアで取得することも可能です。
印鑑証明書には有効期限があり、3ヵ月以内に発行したものしか認められません。また、取得に時間がかかるケースもあるので注意しておきましょう。
③固定資産税納税通知書(又は固定資産税評価証明書)
固定資産税の納税額や評価額を確かめるための書類です。移転登記の登録免許税を計算する際にも必要となります。
毎年市区町村の窓口で発行され、不動産所有者に送付されています。必ず最新版を用意しましょう。
万が一紛失した場合は、市区町村の役場にて「固定資産税評価証明書」の発行を依頼してください。
④管理規約・議事録・長期修繕計画書等(マンション等の場合)
マンション売却時に必要となる書類です。管理方法や入居のルールなどが記載されています。
中古物件は維持管理状態がとても重要で、資産価値を左右する指標にもなります。特に中古マンションは、維持管理の方法やペット飼育の可否といったルールを明記しておかなければトラブルを招きます。
また、毎月かかる修繕積立金も購入者にとって重要なポイントです。
これらの書類は売買契約の前に提示する必要があります。手元にない場合は、マンションの管理会社に連絡して事前に取り寄せておきましょう。
⑤建築確認済証・検査済証
建築基準法に基づいて建てられているか、工事完了の検査をきちんと受けているか、を確認する書類です。改正建築基準法の施行前に発行されたものは、建築確認済証ではなく「建築確認通知書」と呼ばれています。
安心・安全な建物であることを買主に証明するために必ず用意しましょう。
紛失してしまった場合は、市区町村の窓口で「建築計画概要書」や「建築確認台帳記載事項証明書」を発行してください。
⑥地積測量図・境界確認書・建物図面・建築協定書等
一戸建てや土地の売買で必要な書類です。売却対象となる土地面積や境界線が詳細に記載されており、購入後のトラブルを避けるのに役立ちます。
土地測量図は法務局、境界確認書は測量した会社で発行してもらいます。境界線が不明な場合は、あらかじめ土地所有者と協議し、早めに測量図を作成しておきましょう。
古い測量は現状と異なる可能性があるため、3年以内に作成されたものを準備するようにしてください。
⑦物件状況等報告書
物件の状態を詳しく記載した書類で、中古物件を売却する際に必要となります。
建物に床の傾きや雨漏りなどの欠陥がある場合、物件状況報告書で告知しなければなりません。買主が「物件が契約の内容と合っていない」と判断した際は、売主に対して損害賠償を請求される可能性もあります。
契約不適合責任の罪に問われないためにも、売主が知っている情報はできるだけ詳細に記載するようにしましょう。具体的には石綿使用の有無、シロアリ、耐震診断、リフォーム履歴、雨漏り、配水管の故障などです。
また、媒介契約時と内容が変わった場合は、あらためて記載し直す必要があります。
⑧付帯設備表
物件と一緒に引き渡す設備の内容や状態を記した書類です。
主に、給湯、シャワー、洗面台、温水洗浄機、床下収納、屋内照明器具、雨戸、地上波TVアンテナ、車庫といった設備について説明されています。
付帯設備は中古品である場合がほとんどなので、故障や不具合を起こす可能性があります。
しかし、設備表をもとに設備の状況を買主と共有することで、売却後に「知らなかった」「設備が使えない」といったクレームを避けることにつながります。
⑨本人確認書類
運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど、所有者を確認するための重要書類です。一般的に身分証明書として扱われるものが対象となります。
所有者が複数いる共有名義の物件は、共有者全員の本人確認書類を用意しなければなりません。
共有者が遠方に住んでいる場合は、本人確認書類を取得するのに時間がかかるので注意しましょう。売却が決まったらすぐに市区町村の窓口へ行き、早めに発行してもらうことをおすすめします。
⑩住民票
登記上の住所と現住所が異なる場合は、3ヵ月以内に発行した住民票が必要です。
登録している市区町村の窓口で発行手続きをするか、マイナンバーカードがあれば、コンビニエンスストアでの発行やオンライン取得も可能です。
コンビニ交付サービスは、市区町村によって対象外の場合もあるため、あらかじめ市区町村のホームページなどで確認しておくと良いでしょう。
不動産売却で引き渡し時に必要な書類を紹介
必要書類 | 概要 |
①銀行口座書類等 | 売買代金を振り込む口座番号や支店番号を記載した書類 |
②抵当権等抹消書類 | 住宅ローンを利用したときの抵当権を解除するための書類 |
③住民票 | 登記住所と現住所が異なる場合に必要な、売主の現住所を証明する書類 |
④本人確認書類 | 運転免許証・マイナンバーカード・パスポートなど本人を確認する書類 |
⑤印鑑証明書 | 登録した印鑑が本物であることを証明する書類 |
⑥ローン残高証明書(又はローン返済予定表) | 住宅ローンの残債を知らせるための書類 |
⑦物件のパンフレット等 | 物件の状態がわかりやすく記載されている書類 |
①銀行口座書類等
不動産の売却金額は大金となる場合がほとんどなので、銀行振り込みでやりとりするのが一般的です。
売却金額から手付金を差し引いた額を、買主が売主の指定口座へ振り込みます。スムーズに振り込みが完了するよう、支店番号、口座番号、名義などの口座情報を事前にまとめておきましょう。
預金通帳がない場合は、キャッシュカードのコピーやインターネットバンキングの画面などを用意してください。
②抵当権等抹消書類
抵当権とは、住宅ローンなどでお金を借りたときに担保として不動産を確保するために設定する権利のことです。抵当権は住宅ローンの返済が完了しても自動的には消えないため、自分で法務局に申請し、登録を抹消してもらわなければなりません。
抵当権抹消が完了した際にもらえるのが、抵当権等抹消書類です。
抵当権抹消登記には「登記申請書」「登記識別情報または登記済証」「登記原因証明情報」といった書類が必要となります。揃える書類が多いため、早めに発行依頼するようにしましょう。
③住民票
登記されている住所と売主の現住所が異なる場合に提出する書類です。住民票には有効期限があり、発行から3ヵ月以内のものを用意する必要があります。
不動産の売却前に新居へ引越して住民票を移した場合は、不動産の売却時に登録されている住民票を準備しましょう。
住んでいる市区町村の窓口で発行できますが、最近ではコンビニエンスストアでも簡単に取得可能です。ただしマイナンバーカードを持っている方のみ、対応していない市区町村がある、といった点に注意してください。
④本人確認書類
売主を特定する本人確認書類が必要です。身分証明書として使用しているもので構いません。
運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど顔写真付きの公的な書類を準備しましょう。
⑤印鑑証明書
契約書類に押印するハンコが本人の実印であるか証明するために用意します。印鑑証明書は本人確認のために必須となる書類なので、事前に印鑑登録を済ませておくと良いでしょう。
所有者が複数いる場合は、全員の書類を揃える必要があるので注意してください。遠方に住む人の書類が揃わないと、物件の引き渡しが遅れる場合もあります。発行までに時間を要するので、早めに取得しておくことをおすすめします。
⑥ローン残高証明書(又はローン返済予定表)
ローン残高証明書は住宅ローンを返済中の方が対象です。完済の予定がある場合には、ローン返済予定表を提出することもあります。
ローンが残った状態では不動産を売却できないため、売却したお金や貯金などで住宅ローンを完済しましょう。ローンの返済が済んだら、買主へ引き渡す前に抵当権抹消の手続きを行ってください。
⑦物件のパンフレット等
不動産を購入したときに入手したパンフレットは、買主にとって有効な物件情報となります。
パンフレットは図や絵などを用いてわかりやすく書かれているため、買主が不動産の内容を理解しやすくなります。手元にある場合は事前に渡しておくと良いでしょう。
また、売買取引完了後の税金手続きについては、以下のリンクを参考にしてください。
不動産売却の必要書類は早めの準備が大切
不動産売却に必要な書類は、交付に日数がかかる場合があります。また、売却する不動産の種類や売却方法によって必要書類が異なるかもしれません。
売却手続きをスムーズに行うためにも、契約が決まったらできるだけ早く準備に取りかかりましょう。
ここからは必要書類を用意する際に注意すべきことを解説していきます。
測量に時間がかかる
不動産売却では正確な実測図を用意する必要があります。信頼できる実測図がない場合は、正式な測量を依頼しなければなりません。境界線がはっきりしないままだと、近隣住宅とトラブルになる可能性があります。
測量を行うには隣人や行政の立ち合いの元で境界を確認する必要があるため、完了までに数ヵ月ほどかかるケースがほとんどです。そのため、売却を開始する段階で早めに実測図の有無を確認し、ない場合はすぐに不動産仲介業者に相談するようにしましょう。
また、隣地との境界をすべて明記した「確定測量図」が必要かどうかも確認してください。売却する不動産によっては必要書類の一つになる場合もあります。
不動産の共有者がいるときは時間がかかる
土地の名義人が複数いる場合や共有者が遠方に居住している場合は、本人確認書類を集めるのに時間がかかってしまいます。
最近ではコンビニエンスストアでも証明書発行サービスを行っている行政もありますが、基本的には住んでいる市区町村の窓口で手続きします。土日祝は営業時間外だったり、夕方16時までしか開いていないことが多いため、できるだけ早めに取りかかるようにしましょう。
登記済証は発行に時間がかかる
登記済証(登記識別情報通知書)は所有権を証明する重要書類なので、簡単には発行できない仕組みとなっています。
また、不動産売却を初めて行う方は、登記に関する書類に不慣れであるため、手続きに手間取るかもしれません。
万が一、登記済証が無い場合は、すぐに不動産会社へ連絡してください。紛失していることが早めに判明していれば、代わりの方法で不動産を売却することが可能です。
抵当権抹消に時間がかかる
抵当権はたとえローンの返済が終わっていたとしても、自分で解除申請しない限り存在し続けます。ローンの残債があると不動産売却できないので注意してください。
しかし、抵当権を抹消するには、さまざまな書類を金融機関から取り寄せる必要があり、手続き完了までに時間がかかってしまいます。
ローンを完済したら、すぐに抵当権抹消のための書類を集めるようにしましょう。
不動産売却に必要な書類はしっかり確認して準備しておこう
不動産を売却する際は、複数の書類を準備しておかなければなりません。
なかには発行までに時間がかかる書類もあるため、どんな書類が必要なのかをあらかじめ確認しておくことが大切です。
売却時に必要な書類に加え、引き渡し時に準備すべき書類についても覚えておいてください。
特に「実測図」「本人確認書類」「登記済証」は用意するのに時間がかかるので、早めに準備することをおすすめします。また、ローンを完済したらすぐに抵当権抹消手続きも行いましょう。
スムーズな売買契約のため、ぜひ今回の記事を参考にしてみてください。