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不動産売却したら消費税は支払う?個人法人による違いや計算方法も解説

不動産を売却する場合、消費税を支払うケースと支払わなくて良いケースがあります。

売主が個人か法人か、どのような不動産を売却するか、などによって納税義務が変わるためです。

この記事では、どんなケースで消費税を支払うのか、不動産にかかる消費税の計算方法、納付方法、注意点について詳しく解説していきます。

不動産売却を検討している方は、消費税についてケース別に正しく理解しておきましょう。

不動産売却で消費税を支払うケース

消費税
個人 支払わない
個人事業主

(事業用不動産)

課税事業者 支払う
免税事業者 支払わない
法人 課税事業者 支払う
免税事業者 支払わない

消費税とは、事業として国内取引を行った場合に事業者が国に納める税金を指します。一般消費者が事業者に支払い、事業者が国に納税する、という仕組みです。

不動産売却においては、事業者が事業として不動産を売却した場合に納税義務が発生します。個人事業主・法人を問わず不動産にかかる消費税を支払わなければなりません。

ここからは、消費税を支払う2パターンについて詳しく解説していきます。個人事業主と法人の場合でそれぞれ内容が異なるため、区別して理解しておきましょう。

個人事業主が不動産を売却する場合

個人事業主とは、個人で開業届を出して事業を行っている人のことです。個人事業主が不動産を売却する場合、個人の資産であれば基本的に消費税はかかりません。

納税義務が発生するのは、事業用不動産を売却した場合です。1月1日〜6月30日の間に課税売上高が1,000万円を超えると、自動的に課税事業者として扱われます。

ただし、資本金1,000万円以下、1月1日〜6月30日の売上高が1,000万円以下、事業開始から2年未満、という条件を満たしていれば免税事業者となり、消費税を支払う必要はありません。

また、課税事業者に事業区分が切り替わった場合は、「消費税の納税義務者でなくなった旨の届出」を提出しなければならないことにも注意しておきましょう。

法人が不動産を売却する場合

法人が不動産を売却する場合、基本的に消費税がかかります

消費税の課税対象となる取引の一つに「資産の譲渡」という項目があり、不動産売却はこれに当てはまるからです。不動産会社は、取引先から対価を得て資産譲渡するため、どのようなケースでも課税対象となります。

ただし、小規模事業の法人は免税事業者として扱われるケースがほとんどです。前々年度の期間に課税売上高が1,000万円以下であれば、消費税を支払う必要はありません。

また、事業開始から2年以内の法人も、基準期間に該当しないため免税事業者となります。しかし、1月1日〜6月30日の間に課税売上高が1,000万円を超えてしまった場合は、いかなるケースでも課税対象となるので注意しましょう。

不動産売却で消費税を支払う必要がないケース

次に、消費税を支払わなくて良いケースについて解説していきます。

チェックポイントは「個人」「プライベート使用」「土地」の3点です。当てはまる項目があれば、ここでしっかりと理解しておきましょう。

個人が売却した不動産

個人で不動産売却した場合、消費税はかかりません。

消費税の課税の対象となる取引は、事業者が事業として対価を得る国内取引のみです。個人の資産で購入した不動産を売却しても、売買を繰り返すわけではないため事業としてみなされません。また、個人間でやり取りする取引も事業に当てはまりません。

そのため、消費税の納税義務に該当せず、基本的に非課税です。

ただし、一部の個人で不動産売却した場合、消費税を支払うケースがあることも覚えておきましょう。

プライベートで使用していた不動産

プライベート使用の不動産を売却する場合、事業用不動産に該当しないため、消費税はかかりません。

消費税の課税対象は、あくまで「事業として対価を得る」場合です。個人的に使用するものに関しては、車や時計と同様に、不動産でも消費税は不要となります。

また、売却する人が経営者や不動産オーナーであっても、プライベート用なら消費税は一切かかりません

売却する不動産が「どのような目的での使用か」が重要なチェックポイントです。

土地

不動産は一般的に「建物」と「土地」に分類されますが、土地を売却する場合は消費税がかかりません。

国税庁のホームページでは、非課税となる取引のなかに「土地の譲渡および貸付け」という項目が記載されています。たとえ事業用の土地であっても、消費税の納税義務は発生しません。土地の上に建物が建っている場合は、建物部分のみ課税対象となります。

また、借地権の売買も非課税対象です。借地権とは、建物の所有を目的に土地を借りる権利を指します。

ただし、土地を駐車場や車庫にしている場合は、設備としてみなされるため消費税がかかってきます。

不動産売却時の消費税は建物のみに課税:計算方法

不動産売却時に消費税がかかるのは「建物部分のみ」で、土地にはかかりません。

土地の上に建物が建っている場合は、土地と建物を分けて算出する必要があるので注意しておきましょう。

ここからは不動産売却時にかかる消費税の計算方法を詳しく解説します。

消費税の計算方法

不動産売却時の消費税は10%で、建物部分のみにかかります。土地は非課税なので、消費税の計算では含めないよう注意しましょう。

消費税は「不動産の売却金額÷1.1×0.1」で算出できます。

例えば、不動産の売却金額7,000万円(建物4,000万円、土地3,000万円)の消費税額は以下のようになります。

4,000万円÷1.1×0.1≒363.6万円

上述したように建物部分だけに課税されるので、売却金額の全額7,000万円で計算しないように気を付けてください。また、端数は売主によって切り下げ・繰り上げが異なります。

評価額を元に計算することもある

契約書に記載されている不動産売却金額は、建物と土地の金額が明確に区分されていない場合もあります。

そのようなケースでは、固定資産税評価額や相続税評価額などの各種評価額を元に、消費税を算出しなければなりません。

評価額による算出は基本的に不動産会社が行うため、提示された金額が合理的に按分されているかを必ずチェックするようにしてください。不動産売却にかかる消費税は高額となる場合が多く、きちんと確認しておかないとトラブルを招く可能性があります。

なお、固定資産税評価額とは固定資産税および都市計画税にかかる評価額、相続税評価額とは相続・遺贈・贈与で取得した財産にかかる評価額のことです。

不動産売却時の消費税の納付方法

不動産を売却した際の消費税は、基本的に税務署へ確定申告して納税します。ただし、売却金額によって中間報告・中間納付が必要となるケースもあります。

ここでは基本的な納付方法と中間納付の2パターンについて解説します。

税務署に確定申告して支払う

不動産売却にかかる消費税を納付するには、税務署で確定申告を行う必要があります。

個人事業主と法人では、以下のように手続き期間が異なるので注意してください。

個人事業主:翌年の3月31日まで

法人:課税期間の翌日から2ヵ月以内

また、消費税の支払い方法は6通りの中から選択できるので、できるだけ負担が少ない方法で支払うようにしましょう。

・税務署窓口

・指定口座引き落とし

・インターネットバンキング

・クレジットカード

・コンビニエンスストア

・e-Taxを利用した決済

不動産売却における確定申告については、以下のリンクで詳しく解説しています。

不動産売却の確定申告のやり方は?税金が控除されるケースも解説

中間申告と中間納付が必要になる場合も

400万円〜4,800万円以上の不動産を売却した場合には、中間申告と中間納付を行わなければなりません。

申告対応が遅れてしまうと、税金の上乗せや延滞税といったペナルティーを受ける可能性があります。税務署から中間申告についての連絡が来たら、できるだけ早めに対応するようにしましょう。

中間申告の回数や納税額は、前年度の消費税納税額によって細かく区分されています。詳しくは以下の表を参考にしてください。

直前の課税期間の消費税額 中間申告の回数 納税額
48万円超400万円以下 年に1回 直前の課税期間の消費税額の1/2
400万円超4,800万円以下 年に3回 直前の課税期間の消費税額の1/4ずつ
4,800万円超 年に11回 直前の課税期間の消費税額の1/12ずつ

 

不動産売却時の消費税の注意点

不動産売却にかかる消費税には、いくつかのルールが設けられています。あまり馴染みのない事項もありますので、ぜひこの機会に覚えておきましょう。

ここでは、初心者が気を付けておきたい3つの注意点について解説します。

消費税は2年後に納付

不動産売却にかかる消費税の納付は「2年後」であることに注意してください。

2年間は税務署が消費税を算出する期間と同時に、消費税の支払いを待つ期間となります。そのため、課税事業者になった場合でも、すぐに消費税を納める必要はありません。

開業と納付に時間差があると、どうしても支払うことを忘れてしまいがちです。納付期限を過ぎてしまうと滞納扱いになり、追税のペナルティーを受ける可能性があります。

特に個人事業主は消費税の納付を忘れてしまうことが多いため、支払いが完了するまでは気を付けておきましょう。

仲介手数料には消費税がかかる

不動産会社を介して不動産を売却した場合、仲介手数料が発生します。この仲介手数料は消費税の課税対象として扱われ、個人が売却した場合にもかかる税金です。

不動産会社が受け取れる仲介手数料の額は、宅地建物取引業法によって上限が定められており、売却金額ごとに3つの区分に分けられています。

売却金額(税抜) 仲介手数料の上限額
200万円以下 (売却価格×5%)+消費税
200万円超400万円以下 (売却価格×4%+2万円)+消費税
400万円超 (売却価格×3%+6万円)+消費税

 

仲介手数料の上限額を計算する際は、税抜価格であることに注意してください。

例えば、500万円の不動産を売却した場合、仲介手数料の上限額は以下となります。

(500万円×3%+6万円)+2.1万円(消費税)=23.1万円

その他、ローンの繰上げ返済手数料、借り換え手数料、登記代行費用などにも消費税がかかります。

不動産購入価格は税込

不動産価格は「不動産の表示に関する公正競争規約施行規則」というルールに従い、税込で表記されています。

購入者にとっては金額がわかりやすくてメリットですが、売却する側の立場では不動産仲介会社に支払う仲介手数料の額が増えるため、デメリットとなる部分です。

仲介手数料の額は、表記されている売却金額を基準に考えるため、不動産金額が高ければ高いほど、仲介手数料も高くなります。

不動産売却時には、表記されている総額に対していくら仲介手数料が発生するのかをチェックしておくことが大切です。

不動産引き渡し時の消費税が適用される

不動産売却時にかかる消費税は、実際に不動産が引き渡された時の消費税が適用されます。

消費税が改正される前に契約を結んでいたとしても、改正後に引き渡した場合は新しい税率での消費税を納めなければなりません。

例えば、8/31までは10%、9/1から15%に変更した場合、8/20に契約締結し、9/5に引き渡したのであれば、消費税は15%となります。

消費税率が1%変更しただけでも、数十万〜数百万円単位で変動するので、注意しておきましょう。消費税改正が告知されている場合は、あらかじめ不動産会社や買い手と話し合っておくことでトラブルを回避できます。

不動産売却時の消費税についてケース別に正しく理解しよう

不動産を売却した場合、課税事業に認定された個人事業主や法人は消費税を支払わなければなりません。

一方、個人が売却した場合やプライベート使用の不動産、土地に関しては消費税がかかりません。

また、消費税は建物部分のみ課税されることに注意してください。計算方法を覚えておけば、トラブル回避につながります。

消費税を支払うには、税務署へ確定申告して納付しますが、中間申告が必要なケースもあります。

この記事で紹介した注意点なども押さえつつ、不動産売却にかかる消費税を正しく理解しておきましょう。