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不動産売却の確定申告で必要な書類をわかりやすくケース別に解説

マンションや戸建などの不動産を売却した際、確定申告が必要になる場合が多いですが、不動産売却の確定申告では必要書類が多岐にわたるので、何を揃えたらいいかわからない人も多いでしょう。税金の支払い負担を軽減できる特別控除や特例を受ける場合は、必要書類がさらに増えるので、事前に必要書類を把握した上で準備することがおすすめです。

ここでは、マイホームの売却を中心に、確定申告で用意すべき必要書類や具体的な提出方法について解説します。

不動産売却の確定申告の必要書類

不動産売却の確定申告で必要な書類は、それぞれ入手場所が異なります。どこでどの書類を入手する必要があるかを把握して、一つ一つ漏れがないように揃えていきましょう。

以下、必要書類と入手場所の一覧です。

      必要書類   入手場所
①確定申告書B様式(第一表) 税務署
②確定申告書第三表(分離課税用) 税務署
③譲渡所得の内訳書 税務署
④不動産購入時の売買契約書のコピー 本人
⑤不動産売却時の売買契約書のコピー 本人
⑥仲介手数料などの譲渡費用が分かる領収証のコピー 本人
⑦取得費や取得時の経費が分かる資料 本人
⑧譲渡した土地の全部事項証明書 法務局
⑨登記事項証明書 法務局
⑩本人確認書類(マイナンバー等) 本人
⑪源泉徴収票 本人

①~③の申告書は、最寄りの税務署に行って入手するか、国税庁のホームページからダウンロードすることができます。税務署で入手する場合は、その年ごとの用紙となるので、あまり早い時期に貰いに行っても配布されていないことがあるので注意しましょう。自分で準備する必要がある書類は、取得に時間がかかる場合もあるので、早めに準備しておきましょう。

なお、書類は手書きでもかまいませんが、国税庁ホームページの「確定申告書作成コーナー」を利用すれば、必要事項を入力するだけで申請書が完成するので、それを印刷して利用することも可能です。

不動産売却のケース別確定申告の必要書類

基本的な必要書類は前項のとおりですが、特別控除や特例を利用する場合は、それぞれの適用要件を証明するための書類も必要になります。特別控除や特例の内容と、追加で必要な書類を見ていきましょう。

居住用財産の3,000万円特別控除を利用

この特別控除は、マイホームを売却した際に利用できるもので、住居の所有期間にかかわらず、譲渡所得(売却益)から3,000万円を控除できるというものです。この特例を利用すると、譲渡所得が低くなることによって税金が安くなるだけでなく、譲渡所得が3,000万円以下であれば税金はゼロになります。

例えば、5,000万円で購入した住居を8,000万円で売却した場合、3,000万円が譲渡所得になりますが、3,000万円を控除できるため、譲渡所得はゼロになり税金を納める必要がなくなります。

     必要書類   入手場所
戸籍の附票等の居住していたことを証明する資料 市区町村

 

10年超所有軽減税率の特例を利用

この特例は、マイホームを売却した年の1月1日時点で、その住居の所有期間が10年を超えていた場合、6,000万円までの譲渡所得について、長期譲渡所得の税率が軽減されるというものです。長期譲渡所得の税率は、所得税と住民税の合計で20.315%ですが、6,000万円までの部分が14.21%に軽減されます。

例えば、譲渡所得が2,000万円の場合、通常の20.315%の税率なら税額は406万3,000円ですが、14.21%の軽減税率なら284万2,000円となり、かなり納税額を抑えることができます。

    必要書類   入手場所
戸籍の附票等の居住していたことを証明する資料 市区町村

 

相続財産を譲渡で取得費加算の特例を利用

この特例は、相続や遺贈で土地、建物などを取得して相続税を納付した後、申告期限から3年以内に相続財産を売却した場合に、その売却した財産にかかった相続税を譲渡所得の金額を計算する際の取得費に含めることができるものです。納付した相続税額分だけ、譲渡所得から差し引ける金額が増えるということになるので、所得税の節税に繋がります。

    必要書類   入手場所
①相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書 税務署
②相続税の申告書コピー 本人

 

空き家の3,000万円特別控除を利用

この特別控除は、相続で空き家を引き継いだ人が、その空き家を売却した際の譲渡所得から3,000万円を控除できるというものです。この特例を利用すると、譲渡所得が低くなることによって税金が安くなるだけでなく、譲渡所得が3,000万円以下であれば税金はゼロになります。

なお、複数の相続人が共同名義で引き継いだ空き家を売却する場合、特例は相続人ごとに利用が可能です。例えば、相続人3人が共同名義の空き家を売却した場合、最大9,000万円まで控除ができることになります。

    必要書類   入手場所
①被相続人居住用家屋等確認書 市区町村
②【家屋を譲渡する場合】耐震基準適合証明書または建設住宅性能評価書 指定検査機関等

 

特定居住用財産の買い換え特例を利用

この特例は、売却した額よりも高い価格でマイホームを買い替えた場合、売却時に発生した譲渡所得税を次回の買い替えの際まで繰り延べられるというものです。払う税金が繰り延べられるだけなので、次回の売却時の譲渡所得に今回の譲渡所得が加算されます。

例えば、購入価格2,000万円の住居が6,000万円で売却でき、4,000万円の譲渡所得が発生したとしても、買い替えた住居が7,000万円であれば、この特例を適用することで譲渡所得税は課されません。ただし、買い換えた住居をその後8,000万円で売却した場合に、売却価格8,000万円と購入価格7,000万円との差額である1,000万円の売却益に対して課税されるのではなく、実際の売却益1,000万円に特例の適用を受けて課税が繰り延べられていた4,000万円の売却益を加えた5,000万円が、売却益として課税されます。

    必要書類   入手場所
①【10年以上居住の証明書類】戸籍の附票等 市区町村
②【マイホーム買い換え時の書類】売買契約書のコピー 本人
③【マイホーム買い換え時の書類】新居の土地・建物の全部事項証明書 法務局
④【耐震基準を示す書類】下記のいずれか

・耐震基準適合証明書(築年数が25年を超える場合)

・指定検査機関等

・建設住宅性能評価書(築年数が25年を超える場合)

・保険加入証明書等(築年数25年を超える場合)

指定検査検査機関や指定保険会社等
⑤【まだ買い替えていない場合】買換(代替)資産の明細書 税務署

 

マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算と繰越控除の特例を利用

この特例は、マイホームを買い替えて譲渡損失が生じた場合に、その譲渡損失額を他の所得と損益通算できるというものです。また、譲渡損失額が大きくて譲渡年に控除しきれない場合は、譲渡年の翌年以後、最長3年間の総所得金額等から繰越控除ができます。

例えば、購入価格が4,000万円で住宅ローン残高が3,000万円の住居を2,000万円で売却し、2,000万円の譲渡損失が出た場合などに適用が可能です。この場合、2,000万円の譲渡損失を、譲渡した年と翌年以降3年まで繰り越せます。給与所得が500万円なら、この特例を利用することで譲渡した年から4年間は所得税をゼロにでき、源泉徴収税額の還付を受けることができるでしょう。

    必要書類   入手場所
①戸籍の附票等の居住していたことを証明する資料 市区町村
②【マイホーム買い換え時の書類】売買契約書のコピー 本人
③【マイホーム買い換え時の書類】新居の土地・建物の全部事項証明書 法務局
④【マイホーム買い換え時の書類】新居の借入金残高証明書(年末現在) 銀行
⑤居住用財産の譲渡損失の金額の明細書(確定申告書付表) 税務署
⑥特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰り越し控除の対象となる金額の計算書 税務署

 

特定のマイホームの譲渡損失の損益通算と繰越控除の特例を利用

この特例は、住宅ローンのある住居を住宅ローンの残高を下回る価格で売却して譲渡損失が生じた場合に、その譲渡損失額を他の所得と損益通算できるというものです。また、譲渡損失額が大きくて譲渡年に控除しきれない場合は、譲渡年の翌年以後、最長3年間の総所得金額等から繰越控除ができます。

損益通算できる金額は、実際の譲渡損失額か住宅ローン残高から売却金を差し引いた金額のうち、どちらか小さい金額となります。例えば、購入金額5,000万円で住宅ローン残高が4,000万円の住居を3,000万円で売却した場合、譲渡損失額は2,000万円です。住宅ローン残高4,000万円から売却金3,000万円を差し引いた金額は1,000万円です。どちらか小さい金額が適応されるため、この場合は1,000万円が損益通算の対象金額となります。

なお、この特例は住宅の買い替えをしなくても利用できます。

    必要書類   入手場所
①戸籍の附票等の居住していたことを証明する資料 市区町村
②譲渡資産の借入金残高証明書(売買契約日前日現在のもの) 銀行
③特定居住用財産の譲渡損失の金額の明細書<確定申告書付表> 法務局
④特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書 税務署

 

不動産売却の確定申告の書類提出方法

確定申告の書類が揃ったら、いよいよ税務署へ提出になります。

提出方法は、税務署への直接提出、郵送による送付、e-Tax(イータックス)によるオンライン提出の3つがあります。どの提出方法にも一長一短あるので、自分に合ったやりやすい方法を選びましょう。

税務署に持参する

最寄りの税務署に行き、窓口で申告書を提出する方法です。税務署での提出は、申告書類を作成する過程での疑問点や不明点などを質問できますし、わからないところを教えてもらいながらその場で書類を作成することもできます。担当者が受け取りの際に書類の不備もチェックしてくれたりもするので、確定申告が初めての人や、提出書類に不安がある人におすすめです。

ただ、確定申告の時期の税務署は非常に混雑するため、提出に時間がかかるのが難点です。特に確定申告の期限日である3月15日に近くなると混雑が激しくなるので、書類について確認がある場合などは、余裕をもって提出に行くとよいでしょう。

なお、休日や夜など、受付時間外で税務署が閉まっているときは、玄関近くにあるポストに投函することで申告が可能です。

税務署に郵送する

手書きで作成、または確定申告書等作成コーナーで作成した申告書を印刷して、税務署に郵送して提出します。郵送の場合は、郵便ポストに投函するだけで確定申告が完了するため、受付時間内に税務署に行けない場合や、近くに税務署がない場合などに便利です。

送る際の注意点は、確定申告書は信書にあたるので、郵便物または信書便物として送る必要があり、ゆうパックやゆうメールなどでは送付できないということです。また、郵送の場合は通信日付印が提出日とみなされるため、どんなに遅くとも提出期限日の通信日付印がないと期限内に提出したことになりません。期限が15日の場合は、15日当日の通信日付印が押されている必要があります。期限ぎりぎりに提出する場合は、通信日付印がいつになるかをしっかりと確認しましょう。

国税庁オンライン納税システム「e-tax」で申告する

e-Taxは、オンラインで申告書を提出する方法です。国税庁の確定申告書等作成コーナーで作成した申告書を、そのまま送信することができます。パソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットでも利用が可能です。

e-Taxの提出方法は、「マイナンバー方式」と「ID・パスワード方式」の二つの方法があります。マイナンバー方式の場合は、IDカードリーダーライターまたは、マイナンバーカード対応のスマートフォンでマイナンバーカードを読み込んで利用します。ID・パスワード方式の場合は、税務署で対面による本人確認を行い「ID・パスワード方式の届出」を行うなどの手続きが必要です。

e-Taxでの提出は24時間可能なので、受付時間内に税務署に行くことが難しい方におすすめです。

不動産売却の確定申告は必要書類を早めに準備

不動産を売却した場合、翌年の2月16日~3月15日の期間内に確定申告をする必要があります。売却のみでも必要書類がたくさんありますが、特別控除や特例を利用する場合は、さらに書類が必要になるので、期日に間に合うように早めに準備をしていきましょう。

なお、確定申告の必要があるのに申告しなかった場合は、ペナルティが課せられます。ペナルティには、申告を怠った場合に課せられる無申告加算税と、決められた納付期限までに税金を正しく納めなかった場合に発生する延滞税の2種類があります。どちらも、本来納税する金額以上の税金を納めることになるので注意が必要です。特別控除や特例も、確定申告をしないと利用できないので、しっかりと期限を守って申告をしましょう。

不動産売却をしたら、必要書類をしっかり確かめて確定申告をしよう

不動産を売却した場合、利益が出る場合はもちろんですが、損失が出た場合も特別控除や特例などの利用によって確定申告が必要となるでしょう。

不動産売却の確定申告には、申請書をはじめ必要な書類がたくさんあります。インターネットでダウンロードできるものもありますが、いろいろな機関に取りに行ったり、業者に依頼が必要なものもあったりするため、確定申告の期限に間に合うように、前もって必要書類を確認、早めに揃えるようにしましょう。