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建設業の2024年問題が新築住宅に与える影響|選び方のポイントを解説

執筆者
ライター:Tsun (2級ファイナンシャル・プランニング技能士)

建設業界の2024年問題が住宅市場へ与える影響を詳しく解説します。建築費の高騰が続く中、コストを抑えて新築住宅を購入するために、理想の家を賢く選ぶポイントを紹介します。

 2024年問題によって建築価格が高騰し住宅購入の負担が増加するといわれており、新築住宅購入に対して不安を抱く方も多いのではないでしょうか。

 本記事では、2024年問題が新築住宅市場に及ぼす具体的な影響や、2024年問題を踏まえた賢い家選びのポイントを詳しく解説します。

 新築住宅の購入を検討している方はもちろん、考え始めたばかりの方も、本記事を読んで今後の住宅市場の動向を把握し、将来の家づくりに役立ててみてください。 

建設業の2024年問題とは?

建設業界の2024年問題とは、働き方改革関連法の適用により、建設業界が直面する労働環境の課題を指します。また、住宅購入者にとっては購入価格上昇や工期延長があり得るなど、デメリットともいえる問題です。

働き方改革関連法は20194月に施行され、大企業にはすぐに適用されましたが、人材不足や長時間労働の常態化という深刻な問題を抱えていた建設業界には、5年間の猶予期間が与えられました。この猶予期間の終了が20244月です。

2024年4月からは、建設業界も時間外労働に罰則付きの上限が設けられ、月45時間、年360時間を超える時間外労働は、特別な事情が認められない限り許されません。

また、建設業界の労働環境の改善を目指す2024年問題と関連して、2023 建設業界においても企業規模に関わらず適用されています。

建設業界は残業しづらい環境になるため人材を増やす必要がありますが、人材確保が難しく人手不足になりがちです。人手が不足すれば工期が遅れる可能性もあるでしょう。

また時間外労働の賃金が上昇したため、住宅の建築コストに人件費が上乗せされるのも避けられません。建設業界の労働環境が改善されるのは良いことですが、住宅購入者にとっては住宅購入価格の上昇や工期の延長があり得ます。

2024年問題を正しく把握した上で、住宅の購入計画を立てましょう。

2024年問題が新築住宅に与える影響

2024年問題が新築住宅に及ぼす影響は建築価格の増加だけではありません。住宅取得に対する影響を、詳しく解説します。

価格

2024年問題により、新築住宅の価格は高騰すると考えられています。

建設業界の労働時間の上限規制導入により、既に深刻な労働力不足がさらに進むでしょう。

工期

2024年4月から始まる労働時間の上限規制により、新築住宅の工期が伸びる可能性があります。残業時間が制限され、従来のような働き方ができないためです。

また時間外労働に対する割増賃金も上昇しているため、企業側はますます残業させづらい状況になります。時間外労働が多い職人の労働時間を制限するため、工期を伸ばすか賃金上昇による建築コスト増加を受け入れなければなりません。

国土交通省は「建設工事における適正な工期設定等のためのガイドライン」を策定し、週休2日を前提とした適正な工期設定を求めています。住宅購入者としては、工期が伸びる点も踏まえて購入計画を立てましょう。

新築住宅に影響がある2024年問題以外のポイント

2024年問題以外にも新築住宅に影響を与えるポイントがあります。以下の4つに絞って確認していきましょう。

 新築住宅に影響がある2024年問題以外のポイント

 ● 時間外労働に対する割増賃金の引き上げ
 ● 固定資産税の軽減措置の終了
 ● 住宅ローン減税制度の改正
 ● 省エネ基準義務化

2024年は、これまで認められていた減税制度が期限を迎えるなどして、制度の終了や内容の変更があります。新しい情報を収集して、賢くマイホームを取得しましょう。

時間外労働に対する割増賃金の引き上げ

2023年4月から、企業規模に関わらず月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が25%から50%に引き上げられました。割増賃金率の引き上げは、先行して大企業に適用されていましたが、中小企業にも拡大され、建設業界全体に大きな影響を与えています。

割増賃金の引き上げは、時間外労働が多い建設業界において、職人の人件費を大幅に増加させる要因です。中小企業にとっては、勤怠管理システムや給与管理システムの構築も新たな課題となるでしょう。

人件費の上昇や勤怠管理システムの構築にかかる費用は、最終的に住宅の建築費に影響を与えると考えられています。

固定資産税の軽減措置の終了

新築一戸建て住宅に対する固定資産税の軽減措置は、2024331日をもって終了します。

固定資産税の軽減措置は、新築一戸建ての固定資産税を3年間、または認定長期優良住宅については5年間、半額に減額する制度です。2022年の税制改正により、この適用期限は2年間延長されましたが、間もなく終了します。

固定資産税は住宅や土地といった不動産や償却資産にかかる税金です。税率は1.4%で、所有している不動産の固定資産税評価額に対して課税されます。

参照:固定資産税の概要|総務省

毎年納税の義務があるため、住宅取得後のランニングコストとして覚えておきましょう。

住宅ローン減税制度の改正

2024年から住宅ローン減税制度の対象が変更され、省エネ基準に適合する住宅が必須条件となります。この変更により、20241月以降に建築確認を受けた新築住宅は、省エネ性能に適合しないと住宅ローン減税の恩恵を受けられません。

住宅ローン減税は13年間にわたって年末の住宅ローン残高の0.7%を所得税や住民税から控除するものです。ローン残高によっては控除額が数十万円になるケースもあり、住宅購入者にとって大きな負担軽減となっています。

住宅購入の際は、住宅ローン減税を受けられるように計画を立てましょう。

住宅ローン減税の対象と借り入れ上限額

参照:住宅ローン減税省エネ要件化等についての説明会資料|国交省住宅局

なお、省エネ基準に適合しない住宅は原則、住宅ローン減税制度の対象外ですが、2023年末までに建築確認を受けた場合に限り2,000万円までの借り入れが対象になります。

省エネ基準義務化

2024年4月から、省エネ性能の表示が努力義務となります。これは省エネ性能表示制度によるものです。新築住宅・建築物を販売・賃貸する事業者は、広告などに省エネ性能の表示ラベル掲載を求められます。

また、2025年からすべての建築物に対して省エネ基準が義務付けられる予定です。

省エネ基準の義務化や省エネ性能表示制度により、消費者は省エネ性能を有した建物を簡単に見分けられ、取得できるようになるでしょう。

一方で省エネ基準に適合する住宅を建てるためには断熱性能が高く、消費エネルギー量を抑えられる設備があるなど、建築費の負担が増加すると考えられます。国土交通省の計算によると、省エネ基準に適合した建築物はそうでない場合と比較して、120平米あたり約87万円高くなるとされています。

参照:省エネ基準への適合のための追加コスト等の試算例について(住宅)|国交省

また省エネ基準を満たさない住宅は、資産価値が落ちる懸念もあるでしょう。

 

2024年問題を考慮した新築住宅の選び方

2024年問題で建築費が高騰する可能性が高い点を考慮して、自分でできる新築住宅の選び方をご紹介します。

■2024年問題を考慮した新築住宅の選び方

 ● 子育てエコホーム支援事業の補助金を活用する
 ● 総工費を減らす
 ● ランニングコストのかからない家にする

住宅購入の際に必ず覚えておきたい選び方です。1つずつ確認していきましょう。

子育てエコホーム支援事業の補助金を活用する

子育てエコホーム支援事業は、物価高騰の影響を受けやすい子育て世代や若者夫婦世帯に向けた支援策です。この事業では、長期優良住宅に対しては100万円、ZEH住宅に対しては80万円の補助金が出ます。

その他の国の補助金との併用はできませんが、地方公共団体の補助制度との併用は可能であり、住宅ローン減税も対象となります。総合的な建築コストの把握には個別の検討が大切です。

この補助金を活用すれば、省エネ性能が高い住宅の建設コストを抑えられます。

子育てエコホーム支援事業の詳細

参照:子育てエコホーム支援事業の内容について|国交省

申請の受付は20243月中下旬の予定で、申請額が予算の上限に達した時点で終了します。早めに申請の準備をしておきましょう。

補助金の活用に関しては、こちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

2024年の家づくりは補助金を上手に活用しよう!新築住宅のお得情報
 https://www.sbs-mhc.co.jp/column/system/240102/

 また、静岡県の助成制度については下記のページからも検索できますのでチェックしてみてください。

静岡県助成制度検索 https://www.sbs-mhc.co.jp/info/grant_seach/

総工費を減らす

住宅価格の高騰に対応するため、総工費を抑える工夫をしましょう。扉の数を減らしたり、住宅設備や内装材のコストダウンをはかったりすることで、建築にかかる総工費を抑えられます。

たとえば、室内扉1枚の価格は5万円前後~10万円程度のものが多く、材質やデザインにこだわると20万円以上するものも珍しくはありません。そのため、すべての間取りに扉を設置すると費用がかかります。パントリーとの境目やクローゼット、玄関とリビングの仕切りなど、間取りや用途を考慮して必要ない場所は扉を省きコストを削減しましょう。

また住宅設備においても、すでに持っている家電や地域の特性などを踏まえて本当に必要な設備の検討が必要です。

たとえば床暖房や全館空調などは、住むエリアの気候が温暖であれば不要かもしれません。また乾燥機付き洗濯機があれば、浴室乾燥機能はいらないという判断もできます。

機能が重複する設備を削減し、総工費を抑える工夫をしてみましょう。

内装材もコストパフォーマンスの高い素材を選べば総工費を減らせます。こだわりを持つ部分と妥協できる部分を見極め、後悔のないマイホーム取得を目指しましょう。

 総工費や予算を工夫したいという方には、こちらの記事で詳しく解説しておりますので、ぜひ参考にしてください。

▶ 賢く建てたい!注文住宅で予算オーバーにならないための工夫
 https://www.sbs-mhc.co.jp/column/moneyplan/221002/

ランニングコストのかからない家にする

ランニングコストは住宅に住んでいる限りかかる費用です。ランニングコストを抑えるための家づくりは、長期的な費用負担の軽減が見込めます。

住宅にかかわる主なランニングコストに光熱費が挙げられます。光熱費を抑えるには、高気密・高断熱の住宅設計、太陽光発電の導入、断熱効果のある外壁材の使用などが効果的です。

高気密・高断熱住宅で冷暖房効率を高め、太陽光発電システムや蓄電システムの導入によって電力コストを削減すればエネルギーの自給自足を目指せます。エネルギーの消費が実質ゼロになるよう設計された住宅をZEH(ゼッチ)といい、あらゆる補助金を受けられる可能性があり、住宅ローン減税制度の対象にもなるため、長期的なコストダウンが期待できるでしょう。

メンテナンスしやすい材料の選択も重要です。耐久性が高く、メンテナンスが容易な材料を選べば、修繕費を抑えられます。

ランニングコストを抑えるための工夫は、建築費の増額に繋がるイメージを持たれることもありますが、国の補助金や助成金などを利用できるケースも少なくありません。

建築コストと補助金について詳しく知りたい方は、展示場のスタッフや各ハウスメーカーの担当社員までお尋ねください。

 

まとめ|自身にとってベストなタイミングで購入しよう

新築住宅の購入は、多くの人にとって一生に一度の大きな決断です。2024年問題を含むこれからの住宅市場の動向をしっかりと理解し、賢く検討を進めましょう。

住宅購入のベストなタイミングは人それぞれですが、今後は建築価格が高騰していくと考えられます。若いうちに住宅ローンを組むメリットを活用するなどして、負担を軽減する工夫が大切です。

ライフスタイルや家計、子育てプランなども考慮し、後悔のない住宅購入計画を立てましょう。