住宅設備

新築時にこそ考えたい!住まいのメンテナンススケジュール

執筆者
出口 恵

貴重な時間とお金を費やして建てるマイホーム。長く安心・快適に暮らせる家にしたいですよね。そのためには、適切なメンテナンスが重要だとはわかっていても、新築時にそれを意識する人は少ないかもしれません。しかし家づくりの際に10年後、20年後、その先を意識することは、長期的に見ると非常に大きなメリットがあります!家の価値や快適さ、家族の健康にも大きく関わる、住まいのメンテナンススケジュールについて詳しく解説します。

住まいのメンテナンスが大切な4つの理由

 家は建てて終わりではなく、そこからが新たなスタートになります。形あるものである以上、どれだけ丁寧に使っていても、経年劣化で修繕や設備の取り換えの必要が出てくるのは避けられないこと。修繕積立金・管理費を毎月支払えば、後のメンテンナンスは管理会社が行なってくれるマンションとは違い、戸建て住宅では、メンテナンスのタイミングも、費用の準備も自己責任となります。

 これから新築を!というタイミングで、古くなっていくわが家を想像するのはなかなか難しいことでしょう。しかし、メンテナンスの重要性をきちんと理解すれば、少し意識が変わってくるかもしれません。

 

1. 家族の安全・健康を守るため

屋根や外壁の劣化は、家の耐久性そのものに影響します。これは地震や台風などの災害時に倒壊リスクを高める原因となります。また、カビやダニの発生は家族の健康にも直接影響を及ぼすものです。定期的なメンテナンスでこれらの問題を未然に防ぐことは、家族の安全・健康を守ることにつながります。

 

 2. 快適性を維持するため

断熱材の劣化は冷暖房の効率を低下させ、住まいの快適さを損なってしまいます。また、キッチンやトイレ、浴室など、毎日の生活に欠かせない箇所のトラブルは、暮らしに大きな不便とストレスをもたらします。

 

 3. 大きな出費を防ぐため

メンテナンスを怠ると、結果的に大きな経済的負担につながってしまうことがあります。例えば、屋根の瓦に小さなズレが生じてしまったとします。定期的な点検で早めに気付くことができれば、瓦のズレを直すだけで済みます。しかし、長い間それを放置して、水漏れによる内部の腐食まで進んでしまうと、多額の修理費用が必要となってしまいます。定期的なメンテナンスには、もちろん費用や手間がかかります。しかしそれは、将来的な大きな出費とダメージを防ぐことになるのです。

 

4. 住宅の価値を維持するため

家はみなさんにとって、最大の資産であることも忘れてはいけません。住宅の外観や機能性が低下すると、不動産としての価値も下がります。将来的に売却や賃貸が必要になったときに、これらは大きな損失となります。資産の価値を維持、あるいは向上させるという視点で見たときにも、定期的なメンテナンスが不可欠です。

 

場所別|メンテナンス時期と費用の目安

 住まいのメンテナンスにおいて特に注意を払うべき4つの箇所(屋根・外壁・水回り・室内)について、メンテナンスが必要になる時期と、費用の目安を解説します。

 

 屋根

 見えにくい場所のため、普段はあまり気にすることのない屋根。しかし、家全体を雨風や日差しから守る重要な役割を果たしています。例えば屋根の瓦やシートが損傷すると、雨水が侵入して水漏れの原因に。水漏れによって内部の構造が腐食してしまうと、修繕費用が高額になります。また、屋根の断熱材が濡れたり、劣化したりすると、冷暖房の効率が悪くなり、エネルギーコストも増加します。

 

 メンテナンスが必要になる時期

屋根のメンテナンスは、一般的には家が完成してから約10年ごとに行なうことが推奨されます。ただし、屋根材の種類(瓦、スレート、金属など)や、気候条件、屋根の形状によっても大きく異なります。

 

費用の目安

屋根メンテナンスの費用は、行う作業の範囲によって大きく異なります。簡単な点検や清掃であれば数万円程度ですが、瓦の交換や防水層の修復が必要な場合は、数10万円から数100万円の費用がかかることもあります。また、屋根全体の葺き替えが必要になると、その費用はさらに高額になります。

 

点検や清掃:10,000円~50,000

小規模な修繕:50,000円~300,000

大規模な修繕や葺き替え:数10万円~数100万円

  

外壁

 

外壁は家のです。外壁の汚れや色褪せは、家全体の印象を大きく左右します。定期的な清掃や塗り替えによって、美観を保つことができます。また、屋根と同じように風雨や日差しから家を守り、断熱性・気密性を維持するのにも重要な役割を果たしていることも忘れてはいけません。

 

メンテナンスが必要になる時期

外壁のメンテナンスは、材質や環境条件にもよりますが、一般的には家が完成してから10年から15年ごとに行なうことが推奨されます。ただし、外壁に目立った汚れや損傷が見られる場合、または色褪せが顕著な場合は、それ以前にメンテナンスが必要になることもあります。

 

費用の目安

外壁メンテナンスの費用は、メンテナンスの範囲や使用する材料、家の大きさによって大きく異なります。一般的な一戸建て住宅の外壁塗装であれば、数10万円から100万円以上が目安となりますが、外壁材の交換が必要になる場合は、さらに高額になる可能性があります。

 

外壁清掃:数万円程度

外壁塗装:数10万円~100万円以上

外壁材の交換:数100万円

 

 

水回り

 

キッチン、浴室、トイレ、洗面所などの水回りは、家族が毎日使う場所。急な故障やトラブルは、想像以上に不便で、大きなストレスとなります。よく使う場所だからこそ、劣化や汚れが進みやすい場所でもあります。また、水回りならではのカビや細菌の繁殖は、家族の健康にも直接的な害を及ぼしてしまう可能性もあります。

 

メンテナンスが必要になる時期

水回りのメンテナンスは、使用状況や水質、設備の材質によって異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。

 

浴室:510年に一度、大掃除や部品の交換。1520年で浴室全体のリフォームを検討。

キッチン:510年で水栓や排水口の部品交換。20年を目安にシステムキッチンの更新を検討。

トイレ:5年ごとに便座の交換やタンク内部の部品交換。20年前後でトイレ全体の交換を検討。

洗面所:10年ごとに水栓のメンテナンスや交換。20年を目安に洗面台の更新を検討。

 

費用の目安

水回りのメンテナンス費用は、メンテナンスの範囲や選択する設備によって大きく変わります。

 

浴室リフォーム:約30万円から100万円以上。浴室全体を一新する場合はさらに高額。

キッチンリフォーム:システムキッチンの更新で約50万円から200万円以上。

トイレ交換:便器の交換で約3万円から10万円。タンクレストイレへの交換で10万円以上が目安。

洗面台の更新:約10万円から50万円以上。デザインや機能によって価格は変動。

  

 室内(床・クロス・建具)

室内のメンテナンスは、住まいの居心地のよさに直結します。床、壁紙(クロス)、そして建具は日常生活で最も目にする部分であり、これらの状態は住まい全体の雰囲気を大きく左右します。適切なメンテナンスを行うことで、住まいを清潔に保ち、長期間快適に過ごすことが可能になります。

 

メンテナンスが必要になる時期

: 床の材質にもよりますが、一般的には510年ごとに表面の保護膜の再塗装や補修が必要です。特に家族の行き交いが多い箇所では、より頻繁なメンテナンスが必要になることがあります。

クロス(壁紙): 壁紙は約710年ごとに張り替えることが推奨されます。しかし、汚れや損傷の程度によっては、部分的な修復や早めの張り替えが必要になる場合があります。

建具: ドアや窓などの建具は、1015年ごとにメンテナンスを検討すると良いでしょう。動きが悪くなったり、隙間ができたりすることがあれば、早めの対応が必要です。

 

費用の目安

床のメンテナンス: リサンディング(再研磨)と再塗装で1平方メートルあたり約3,000円から5,000円程度。全面張り替えの場合は10万円以上。

壁紙の張り替え: 部屋1室あたり約10万円~。使用する壁紙の種類やデザインによって費用は大きく変動。

建具のメンテナンス:一箇所あたり数千円から数万円程度。

 

 

 

新築時にメンテナンススケジュールを意識しておくことのメリット

  

1. 無理のない資金計画を立てることができる

定期的なメンテナンスの重要性については、上でお話しした通りとなります。一方で、メンテナンスにも、少なくはない費用がかかることも事実です。一般的に、年間の住宅維持費用は住宅の価値の13%程度が目安とされています。たとえば、住宅の価値が3,000万円なら、年間の維持費用は30万円〜90万円ということになります。修繕費の積み立てを行なうマンションと違い、メンテナンス費用の準備は自己責任。新築時に住宅ローンの返済だけでなく、メンテナンスにかかる出費について意識しておくことで、無理のない資金計画を立てることが可能です。

 

2. メンテナンスを意識した素材や設備を選ぶことができる

使用する素材や形状、設備によっても、必要なメンテナンスの頻度や費用は大きく異なってきます。新築時にこれらを意識すれば、なるべくメンテナンスの負担が少ないものを最初から選ぶことも可能です。多くの場合、それらは機能性の高いものとなるため、初期費用が高くなりがちです。しかし、長期的な視点で考えたときに、より経済的なものを選ぶヒントとなります。

 

 メンテナンス面から住宅会社を比較してみよう

 SBSマイホームセンターでは、静岡県内9か所 (御殿場、三島、富士、静岡東、静岡、藤枝、掛川、袋井、浜松)の展示場に、住宅会社約50社、約160棟のモデルハウスを展示しています。

 住宅会社の中には、法律で定められている最低限の保証(10年保証)よりも長く無償の保証期間を設けているところも多くあります。また、24時間受付のコールセンターや、定期点検、シロアリ駆除などのアフターサポートもさまざまです。

 住まいのメンテナンスは自己責任とお話ししましたが、それをサポートしてくれる住宅会社を選ぶことで、メンテナンスの負担や手間は大きく軽減されます。保証やアフターサポートに注目して住宅会社を比較してみるのもいい方法ですね。