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住宅ローンの選び方とは?初心者でもわかる比較ポイントを解説

執筆者
ファイナンシャルプランナー 石黒杏樹(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)

多額の資金が必要となる住宅購入では、住宅ローン選びも大切なポイントです。多くの金融機関で住宅ローンが用意されているため、どれを選べばいいか迷ってしまうのではないでしょうか。住宅ローン選びでは金利だけでなく、複数の要素で比較検討することが大切です。

この記事では、住宅ローンの選び方で大切な5つのポイントについて解説します。安心して返済できるよう、賢く住宅ローン選びをしましょう。

住宅ローンの選び方1.金利タイプで比較

住宅ローンの金利タイプは「全期間固定金利型」・「固定金利選択型」・「変動金利型」の3種類に分けられます。それぞれメリット・デメリットがあるので、よく比較してから選ぶようにしましょう。

全期間固定金利型

全期間固定金利型は、借入時の金利が返済開始から終了まで固定されているタイプです。

メリットは、借入期間中の金利は変わらないため、将来市場金利が上昇したとしても金利上昇の影響を受けない点です。また、毎月の返済額や総返済額も変わらないため、返済計画も立てやすいといえるでしょう。

一方で、変動金利型と比べて高めの金利に設定されているため、金利が下がったときの恩恵が受けられないというデメリットもあります。

変動金利型

変動金利型は、返済の途中でも市場金利に合わせて金利が変動するタイプです。半年ごとに金利が見直されますが、返済額が変わるのは5年ごとなので、すぐに返済額が変わるわけではありません。

一般的に固定金利よりも金利が低く設定されていることに加え、借入後に市場金利が低下すれば返済額が下がるというメリットがあります。反対に、市場金利が上昇すれば返済額が増加してしまう点がデメリットです。

金利変動リスクはあるものの、金利を低くしたい方に向いている金利タイプといえるでしょう。

固定金利期間選択型

固定金利期間選択型は、「借入当初〇年間〇%」などのように、一定期間の金利が固定されるタイプです。固定金利期間が終了した後は自動的に変動金利に以降するタイプのほか、再度固定金利を選べるタイプもあります。

全期間固定金利型と変動金利型の両方の特徴を兼ね備えており、固定金利期間中は金利の影響を受けないというメリットがあります。

一方で、固定金利終了後に市場金利が大幅に上昇していれば、返済額が大きく膨らんでしまう点はデメリットだといえるでしょう。

金利タイプについては以下のページにて詳しく紹介しているため、気になる人はぜひご確認ください。

https://www.sbs-mhc.co.jp/column/moneyplan/210802/

住宅ローンの選び方2.借入先・住宅ローンの種類で比較

住宅ローンの借入先は、主に「公的ローン」・「民間ローン」・「フラット35」の3種類に分けられます。

公的ローン

公的ローンは、公的機関が融資する住宅ローンで、財形住宅融資や自治体融資などの種類があります。財形融資は、財形制度のある企業に勤務していて、財形貯蓄をしている人が利用できる融資です。

自治体融資は、全国の都道府県、市町村などの地方自治体が行う融資です。自治体によって融資内容や融資の条件などが異なります。また、すべての自治体が行っているわけではありません。

民間ローン

民間ローンは、民間の金融機関が提供している住宅ローンです。審査基準や金利、サービスが金融機関ごとに異なるため、自分に合った条件の住宅ローンを見つけやすいというメリットがあります。ほとんどの金融機関では、万が一の際に住宅ローンの返済を肩代わりしてくれる団信(団体信用生命保険)への加入が必須です。

また、民間ローンは、住宅を販売する不動産会社と金融機関が提携した「提携ローン」とそれ以外の「非提携ローン」に分けられます。提携ローンを利用するメリットは通常のローンよりも審査期間が短く、手続きがスムーズになることです。

なお借入先・住宅ローンの種類についてはこちらのページでも詳しく解説しているため、比較検討を考えている方は参考にしてみてください。

https://www.sbs-mhc.co.jp/column/moneyplan/210902/

 

ここからは、銀行の種類ごとの特徴について解説します。

メガバンク

3大メガバンク(三菱UFJ銀行・三井住友銀行・みずほ銀行)の特徴は、住宅ローンの審査が点数制だということです。年齢や借入希望額、勤続年数、年収などから点数を導きだし、ローンの利用可否や利用可能金額が決められます。

メガバンクは比較的金利が低く設定されています。また倒産のリスクが少ないため、長期にわたる住宅ローンを利用するには安心感があるでしょう。審査のスピードが早い点もメリットといえます。

地方銀行

メガバンクやネット銀行に比べると、地方銀行の金利はやや高めの設定です。しかし、地域密着型の金融機関ならではの、個人に合わせた柔軟な対応をしてもらえるというメリットがあります。審査についても、個々の事情を考慮してくれるため比較的通りやすいといわれています。

ネット銀行

ネット銀行とは、対面の店舗を持たず、口座の開設や振り込みなどの取り引きをパソコンやスマホなどインターネットを通じて行える銀行です。

ネット銀行の住宅ローンは、メガバンクや地方銀行などと比較して低金利です。店舗の維持費や、対面の相談がないため人件費などを抑えられることが理由として挙げられます。

ネット銀行の審査は対面での相談がないため柔軟性に乏しく、やや厳しめです。また、審査期間が長引くケースもあり、この点もデメリットといえます。

フラット35

フラット35は、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して運営する住宅ローンです。その名の通り、最長35年の長期固定金利であるのが大きな特徴です。借入時から完済時までの長期間で金利が変わらないため、返済計画が立てやすい住宅ローンとなります。

また、フラット35の審査では雇用形態や勤続年数が問われず、比較的審査基準が緩い点もメリットです。団信への加入も必須ではなく、健康状態などの理由で団信に加入できなかった人も住宅ローンを利用することができます。

住宅ローン審査に不安がある人や団信に加入できない人、変動金利のリスクを避けたい人に向いている住宅ローンといえるでしょう。

住宅ローンの選び方3.返済方法で比較

住宅ローンの返済方法は「元利均等返済」と「元金均等返済」の2種類の返済方式があります。

元利均等返済

元利均等型は、毎月支払う返済額(元金+利息)が一定になる返済方法です。元金均等返済に比べて返済開始当初の返済額が少ないことや、毎月の返済額が一定であるため返済計画が立てやすいことも特徴です。

ただし、元金均等返済に比べて元金の減る速度が遅いため、総返済額が多くなる点には注意が必要です。

元金均等返済

元金均等返済は、毎月支払う返済額のうち、元金の額が一定となる返済方法です。利息額は借入残高に金利をかけて計算するため、返済が進むにつれ支払う利息の額も減っていきます。

元利均等返済よりも総返済額は少なくなりますが、支払い当初の負担額が大きい点はデメリットです。

住宅ローンの選び方4.諸費用を考える

住宅ローンを借りる場合、物件価格以外にも諸費用がかかります。住宅ローンにかかる主な諸経費として、以下のようなものが挙げられます。

・住宅ローンの事務手数料
・保証会社への保証料
・登記関連費用
・印紙税
・火災保険料・地震保険料

これらの諸経費は金融機関やローンの種類によっても異なるので、事前に確認しておくようにしましょう。一般的には物件価格の5~10%程度の金額が必要といわれており、3,000万円の物件なら300万円程度の諸費用を見込んでおく必要があります。

住宅ローンの選び方5.団体信用生命保険を考える

多くの金融機関では、住宅ローン契約時に団信へ加入することを条件としています。団信とは「団体信用生命保険」のことで、契約者が万が一の状態となったときに、生命保険会社が契約者に代わって、住宅ローンを返済する制度です。

一般的な団信の保険料は住宅ローンの金利に含まれているため、契約者が負担することはありません。金融機関によっては金利を上乗せすることにより、がん保障・生活習慣病保障・三大疾病保障などの特約を追加できるため、内容についても検討しましょう。

団信は生命保険の一種なので、契約時には健康状態について告知義務があります。持病や健康状態によっては団信に加入できない可能性があることも理解しておきましょう。加入できなかった場合、団信の加入義務がないフラット35を利用する手もあります。

また、契約前には免責事項(どういった際に保険金が支払われないのか)だけでなく、いつ、どんなときに、いくらまで保障されるのかといった保障内容もしっかりと確認するようにしてください。

まとめ

どのような住宅ローンがベストなのかは、利用者によって異なります。住宅ローン選びでは、金利のタイプや借入先のほかにも、諸費用や団信なども踏まえたうえで、無理なく返済できるものを選びましょう。

その際に住宅ローンを含めた家づくりにお悩みの方は、まずはお気軽に展示場までご相談ください。

また以下のページには住宅購入のお金に関する内容を紹介していますので、気になる方はぜひご覧ください。

https://www.sbs-mhc.co.jp/column/moneyplan/