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太陽光パネルの設置は、昨今の電気料金の値上げに対する有効な対策のひとつです。しかし、太陽光パネルの設置を検討するにあたって、どのようなデメリットがあるのか不安に感じている方も多いでしょう。
本記事では、太陽光パネル導入のデメリットや、その回避方法、デメリットを上回るメリットなどについて触れていきます。
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太陽光パネルを導入する上でのデメリット
まず、太陽光パネルを導入する際のデメリットとして、次の8項目を見ていきましょう。
- 設置時に必要な初期コストが高い
- 発電量が日照時間・日射量に依存する
- 設置に向いていない住宅もある
- メンテナンスが不可欠なため費用がかかる
- 施工不良のリスクがある
- 機器の設置場所を確保する必要がある
- 反射光によるトラブルが起こることがある
- 設置業者が倒産する可能性がある
1.設置時に必要な初期コストが高い
経済産業省が公表するデータから推測すると、太陽光発電設備初期コストは約144万円程度です。算出方法は以下のとおりです。
- 設置費用のkw(キロワット)当たり単価は28.8万円である。
(新築・既築の平均値。パネル、パワコン、架台、工事費を含むテキストが入ります。 - 家庭用太陽光発電設備の最頻値は5kwである。
したがって初期費用は、144万円(=28.8万円×5kw)となります
ただしパネル等の低価格化は進展しており、設置費用100万円以下というケースも増えています。
対策① ソーラーローンの活用
資金に余裕がない場合は、銀行のソーラーローンという手段もあります。
ソーラーローンは、太陽光発電設備の費用として、他のローンよりも有利な条件(金利や返済期間、融資額)でローンを組むことができます。通常の場合、保証人や担保は不要です。また、ローンにより必要資金全額を賄うことも可能です。
<おもなソーラーローン>(一部銀行は「リフォームローン」で対応)
銀行名 | 年利 | 形態※ | 最長借入期間 | 最大融資額 |
三菱UFJ銀行 | 1.99-2.875% | 変動 | 15年 | 1,000万円 |
りそな銀行 | 2.0-3.475% | 変動 | 15年 | 1,000万円 |
城南信用金庫 | 1.0% | 固定 | 8年 | 300万円 |
横浜銀行 | 1.7-2.7% | 変動 | 15年 | 1,000万円 |
常陽銀行 | 1.575% | 変動 | 15年 | 1,000万円 |
※固定金利・変動金利別
対策② 各自治体からの補助金を利用
現在は国からの補助金はありませんが、自治体によっては太陽光発電設備設置のための補助金制度を設けている場合があります。以下は、東京都の例です。
- 設置行為に対し、設備の出力1kwあたり10万円から15万円の補
- 架台に対し、1kwあたり20万円補助
- パワコンの更新に対し、1/2を限度に1台10万円補助
また静岡県浜松市では、設置に対し2万円、蓄電池導入に10万円の補助金制度があります。
対策③ 価格が安いメーカーの太陽光パネルを選ぶ
日本で入手可能な太陽光パネルブランドは、約10社ほどあります。その価格をみると、海外メーカーの方が大量生産効果もあり、安い傾向です。
たとえば国内メーカーのパナソニック製が205,700円/枚なのにに対し、カナダメーカーのカナディアンソーラー製は151,250円/枚という価格です。
パネルの選定については、販売店・工事業者によく相談してみましょう。
対策④ 複数の業者から見積もりをとり比較する
複数の業者から見積もりを取る、いわゆる「相見積もり」は、太陽光発電設備に限らず、高額商品を購入する際には鉄則です。
特に太陽光発電設備の場合は、「悪徳訪問販売業者」の噂を頻繁に耳にします。詐欺まがいの営業トークに騙されないためにも、複数見積もりは必須です。
複数の見積もりが集まったら、その差を検証します。パネルメーカーはどこなのか、屋根にどのように配置するのか、など、疑問点を質問して、納得した上で契約しましょう。
2.発電量が日照時間・日射量に依存する
太陽光発電は、当然「日照量」に左右されます。日々の天気や夏冬の太陽光線の角度などによって、発電量が変わってきます。
晴天日と雨天日を比較すると、晴天日の方が発電量が多いのはご想像のとおりですが、ソーラーパネルは熱に弱く、気温25度を超えると徐々に発電効率が低下するという弱点もあります。
また北国など、そもそも日照量の少ないエリアや、積雪量の多いのエリアなどでは、年間発電量を割り引いて考える必要があります。
3.設置に向いていない住宅もある
太陽光発電設備設置に向かない住宅があります。具体的には以下のような住宅です。
1.古い家
耐震基準が古い時代に建築された家は、屋根にパネルなど重量物を後乗せすることにより、地震時に悪影響を受ける可能性があります。
2.日当たりの悪い屋根
日当たりの良しあしは、発電量にダイレクトに影響します。また、隣接する樹木等により日陰になる場合も同様です。
3.屋根の構造が不向き
北向きの屋根、小さい屋根、急こう配の屋根などは、太陽光発電設備に不向きです。
4.メンテナンスが不可欠なため費用がかかる
後述しますが、発電した電気の行き先は「自家消費」と「売電」になります。
そして売電するためには、「保守点検・維持管理の計画及び実施が必要」とされています。したがって、現行制度では、メンテナンスが不可欠になっています。
メンテナンスの対象は、パネル、パワコン、架台ほかシステム全般です。費用は1回2.9万円程度で、1回目の点検は設置1年後、それ以降は最低4年に一度実施します。
メーカーの製品保証・出力保証の期限前に実施し、異常があった場合はメーカーに対応してもらいましょう。
数値参考:経済産業省「調達価格等算定委員会」
5.施工不良のリスクがある
施工不良のトラブルに見舞われる確率は、ゼロにはなりません。したがって、万一の時でも親身になって対応してくれる業者を選ぶべきです。
施工不良の内容としてよくあるのは、雨漏りと、電気系統の不具合です。
雨漏りに関しては、パネル、架台を屋根に固定する際のビスによる防水シートへの穴によるものが多いです。
穴をあける行為そのものは一般的作業ですが、不適切な位置に穴を開けたり、穴開け後の防水処理が不十分な場合に発生します。電気系統トラブルは、施工業者の未熟さによるものが多いです。
6.機器の設置場所を確保する必要がある
パワーコンディショナー(パワコン)は、パネルで創った直流電気を、家庭で使える交流に変換する機械で、太陽光システムでの必須装置です。
パワコンは通常、分電盤(ブレーカー)に隣接した場所に設置します(スペースを確保します)。大きさは、縦横厚みが50×30×15cm程度です。
屋内に場所が確保できない場合は、屋外設置用という製品もあります。ただ、風雨やほこりなどにさらされる環境に耐える必要があり、価格も若干高めになります。
7.反射光によるトラブルが起こることがある
反射光による主なトラブルとは、「隣の家のパネルがまぶしい」「反射光で部屋が暑くなりすぎる」の二つです。
そしてトラブルになる事象は、「北側の屋根にパネルを設置した場合」に主に発生します。南側屋根のパネルに反射した太陽光は通常上空方向に行き、北側の場合に下向きに反射するためです。
トラブルを防止するためには、事前に施工業者にシミュレーションを依頼し、どの季節においても反射光が近隣住宅の迷惑にならないことを確認します。
8.設置業者が倒産する可能性がある
太陽光業界は、FIT制度(固定価格買取制度)改定により、体力の弱い業者が淘汰される局面にあります。
実際、2021年の太陽光関連業者の全国倒産件数は84件で、2016年以降、50件以上の倒産件数が続いています。
業者が倒産した場合、それ以降のメンテナンスが受けられません。工事前の場合は、頭金が無駄になるケースもあります。
業者選定にあたっては、「サービスや価格が、過度に良すぎる」「契約を急がせる」などの場合、慎重な検討が必要です。
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太陽光パネル導入のメリット
ここまで太陽光発電設備のデメリットをみてきましたが、一方でリットもあります。
ここからは、太陽光発電設備を設置するメリットを見ていきましょう。
- 毎月の電気代が節約できる
- 電気代高騰の影響を受けにくい
- 売電収入が得られる
- 蓄電池とのセットで更に電気代が節約できる
- 災害時や停電時でも使用できる
- 遮熱効果により夏は涼しく冬は温かい
1.毎月の電気代が節約できる
たとえば、これまで電力会社から100単位の電気を購入していた場合、太陽光発電でそのうち30を賄えれば、電力会社からの購入は70で済み、その分、電気料金も安くなります。
また電力会社の請求には「再生エネルギー賦課金」が、上乗せされています。再生エネルギーを普及させるための費用を、電気使用者全世帯に負担してもらおうという仕組みです。
この賦課金の計算方法は、3.45円【2023年4月まで】×1か月の電気使用量(kWh)となります。使用量に比例しますから、太陽光発電導入によりこの賦課金の支払いも減少します。
2.電気代高騰の影響を受けにくい
昨今、電気代が高騰している理由には以下のようなものがあります。
- 天然ガス(LNG)と石炭の価格上昇
ウクライナ情勢等が理由です。日本は火力発電の割合が高いため、電気料金に跳ね返ります。
- 原発停止による電力供給不足
供給不足により、安価で提供していた「新電力」が淘汰されるなど、需要と供給のバランスにより価格上昇となります。
- 再生エネ賦課金の上昇
単価が10年間で15倍になっています。
いずれも太陽光発電には関係の薄いものです。今後もさらなる価格高騰が予想されていますが、太陽光発電分は影響を受けません。
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3.売電収入が得られる
以前はFITによる国の買取価格(10年間固定)が非常に高かったため、「太陽光発電=売電」イメージが強くありました。
近年はその買取価格が非常に安くなったことに加え、電気料が高騰しているため、「太陽光発電=自家消費+余剰電力の売電」と、スキームが変わっています。
しかし本来捨てられる電気を、安価とはいえ買い取ってもらえるのは魅力です。したがって投資回収期間の計算は、以下の算式になります。
(設置費用+メンテナンス費用)÷(売電収入+電気代削減額)=投資回収期間
ちなみに設置費用は28.8万円/kw、メンテナンス費用は年3,690円/kwです(経済産業省資料による)。FIT買取価格は16円/kw(2023年度)となっています。
4.蓄電池とのセットで更に電気代が節約できる
電気は保存することができないため、太陽光発電の電気は夜には使用できません(電力会社から購入する必要があります)。
しかし蓄電池(バッテリー)を利用すれば、「昼間発電した電気を蓄え夜に使用する」「電気料金の安い夜間に蓄電池に充電し昼に使用する」といった使い方ができ、電気代を節約できます。
これには「蓄電池購入」という初期コストはかかるのですが、近年、生産量が増えるにつれ価格が低下していること、さらには自治体によっては補助金を設けていることなどにより導入しやすくなっています。
5.災害時や停電時でも使用できる
太陽光発電の電気は、停電時にも使えます。ただし、安全に使うためにはパワコンの操作が必須です。
まず、パワコンを「自立運転モード」に切り替えます。この作業は、めったに発生しないこともあり、できない人も多いです。最近は、自動でモード切替できるパワコンも現れています。
次に、使いたい電気製品を、通常のコンセントから「非常用コンセント」に差し替えます。これで多くの場合1,500Wまで使用できます。
6.遮熱効果により夏は涼しく冬は温かい
夏の暑さの原因の大きなものは、屋根への直射日光です。これを太陽光パネルが遮ることにより、パネル直下の部屋はもちろん、家全体の高熱化を防ぎます。
また、家の中から屋根を通って逃げようとする暖気をパネルが遮るため、冬は室内が暖かくなります。
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太陽光パネル設置のデメリットを理解して事前に対策しよう
太陽光発電設備のデメリットをみてから、メリットについても確認してきました。双方を比較し、メリットの方が大きいと思えば、ぜひ太陽光発電設備の導入を検討してみてください。
また、冒頭に述べたとおり、昨今の電気料金の高騰に対する対策として、太陽光発電は比較的導入が簡単です。東京都をはじめ各自治体でも補助金を準備している今こそ、一歩踏み出す好機です。