土地選び

大切な土地選び

執筆者
鈴木 元一朗(グランドコンパス)

 住宅新築の際に土地探しから始める方は、多いのではないでしょうか。
建築物は建て替えたりできるが、土地を変更する住み替えは資金的にも大変なので容易ではない。住まい続けるのではなく、子育てを終えた晩年の夫婦生活では、住居を売却して、交通の便の良い駅近のマンション購入や老人ホームへの入居など、時代や目的、ニーズに合わせた住まい方を検討する方もいらっしゃるだろう。その土地選びのポイントはひとそれぞれであろう。
 文教地区、商業施設の多い地域、会社に近い、学校に近い、お祭りや自治会行事の頻度や地域住民の受け入れ度合など地域環境による選び方。
日当たりの良い南面道路、LDKへの視界を避けるプライバシー重視の北面道路、駐車場配置の容易な間口の広い敷地、などその土地がすでに持つ特性を重視する選び方。さらにはご夫婦、お子さんと選ぶ人により大事にする価値は違うでしょう。ご主人は通勤の便利さ、奥様は近隣住民や施設、お子さんは学区や友人関係などのポイントが上位になるのではないでしょうか。
 いざ、土地が決まる段になって検討が止まったり、時に涙しての大激論、新築の夢が立ち消えていく。こうしたことは、家族や両親などの意見の相違が大きい。誰のために何のために家を建てるのか、自身や家族間で、目的がずれてきたり、そもそも目的が希薄であったことに気づくのである。こうしたことから、土地選びのポイントは、互いの意見の相違を認識し、どのように意見をすり合わせていくかを話し合うことが大事だと思います。
 まずは家族や関係者(特にご両親)の意見を「見える化」することである。相対的にとか総合的にとか、なんとなくなど勘によるものやあいまいな表現を避けることが大事。特にご両親にこの手が多い。資金は出さないが口を出すことに閉口することもあるでしょう。孫可愛さから近くにとか、なんなら同居したらどう?など案外自分本位で軽く言うこともある。それが義理の両親なら厄介である。なかなかストレートに言い返せるものではないですよね。
 そこで、おススメなのは土地選びのポイントをたくさん書き出し、そこから各自が重要な3つを順位づけて選び、可視化していく思考整理術。これをホワイトボードやポストイット(付箋)で行うと並び替えや選び変えが容易で、一覧集計も同時にできるので可視化しやすい。まずは自分の意見を整理し、相手に主張することである。これが家を建てる目的の整理にもつながり、迷ったり後戻りしない対策にもなり、証拠(エビデンス)にもなる。その上で家族の合意点を見出して、土地の地域や特性を見極めていくバイブルにするのである。