建築・間取り

フローリングの選び方|無垢と複合を徹底比較!

執筆者
出口 恵

フローリングによって、お部屋の印象は大きく変わります。また床は、小さなお子さんにとっては、より身近で触れる機会の多い場所。これから家づくりを考える子育て世代のみなさんには、見た目だけでなく、心地よさや機能性にもこだわって選んでいただきたいと思います。そこで今回は、フローリングの種類や特徴から、それぞれのメリット・デメリットまでを徹底比較。“わが家にぴったりのフローリング”を見つけるためのヒント満載でお届けします!

無垢・複合(合板)はどう違う?フローリングの種類

フローリングの種類には、大きく分けて「無垢(むく)」と「複合」があります。

■無垢(むく)
→天然木100%のフローリング。一つの木から切り出した一枚板を、そのまま使用している。

■複合 ※合板ともよばれる
→複数の合板を張り合わせた基材の表面に、天然木の薄板や、シートを張りつけたフローリング。

さらに「複合フローリング」は、表面に使用する素材によって、3種に分けられます。

■挽き板(ひきいた)
→基材となる合板に、厚さ2mm程度に切り出した天然木を張ったもの。無垢と同等の質感や風合いを楽しむことができる。

■突き板(つきいた)
→基材となる合板に、厚さ0.3〜1mm程度にスライスした天然木を張ったもの。質感では無垢や挽き板に劣るが、安定した生産が可能なため、外観・品質が均一なのが特徴。

■シート
→基材となる合板に、木目柄などをプリントしたシートを張ったもの。プリント技術の向上により、本物と見分けがつかないほど精巧に木目が再現されているものも増えてきた。

違いの分かりにくい「挽き板」と「突き板」ですが、その違いは〈表面に張る天然木の厚さ〉です。「挽く=のこぎりで切る」「突く=ナイフで削る」をイメージすると分かりやすいと思います。

無垢・複合(合板)それぞれのメリット/デメリット

つづいて、「無垢」と「複合(挽き板/突き板/シート)」フローリング、それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。

 ■無垢(むく)

|無垢のメリット|
●質感、肌触りがよい
●天然木ならではの香りを楽しめる
●調湿効果がある
●経年変化を楽しめる
●傷がついても表面を削って修復可能

無垢フローリングの一番の魅力は、天然木ならではの質感や温もり・香りを感じられることです。木には調湿効果があり、湿度が高いときには水分を吸収し、乾燥しているときには放出します。そのため、夏場は冷んやりサラサラ、冬場はほんのり暖かな足触り。また、時を経るごとに色合いが少しずつ変化する「経年変化」を楽しめるのも特徴です。

|無垢のデメリット|
●定期的なメンテナンスが必要
●水に弱い
●反りや割れが起こりやすい
●施工費が高めになる

無垢フローリングには、木の質感を活かすために「オイル塗装」という仕上げがされるのが一般的です。この場合は1年に1度程度、再塗装する必要があります。水分を吸収しやすく、シミやカビの原因になるので、水や飲み物をこぼしたときは、すぐに拭き取ることが大切です。また、調湿効果によりフローリングが伸縮するため、反りや割れが起こることもあります。


■複合

|複合のメリット|
●種類豊富で、幅広い要望が叶う
●機能性に優れたものがある
●掃除やメンテナンスが手軽
●反りや割れが起こりにくい
●品質や仕上がりが均一で施工しやすい

複合フローリングは加工が施しやすい構造のため、素材やデザイン、そして価格帯にたくさんの選択肢があります。さらに、床暖房対応や防音、防水、滑りにくさなど、さまざまな機能を備えたものが存在します。また複合フローリングには「ウレタン塗装」という、表面に樹脂による塗膜を張る仕上げがされるのが一般的。この場合は日頃の掃除も手軽で、ワックスがけも必要ないことがほとんどです。

 |複合のデメリット|
●商品によっては安っぽく見える
●調湿効果がない
●深い傷がつくと中の合板が見えてしまう
●長期的な耐久性に劣る

安価な複合フローリングの場合は、無垢のような木の質感は感じられません。また、日常的な傷や汚れはつきにくいものの、深い傷がつくと修復が難しくなります。

「無垢は高くて、複合は安い」は間違い?

費用的には「無垢より複合フローリングの方がリーズナブル!」というイメージをもつ方が多いと思います。これは間違いではないのですが、一方で、同じ無垢・複合にもさまざまな価格帯があることを、ぜひ知っておいていただきたいと思います。

無垢フローリングは「木の種類」「グレード」によって価格に大きな幅があります。木目が美しい、加工がしやすい、節が少ない、色が均一などの特徴をもった材木は価格が高くなる傾向に。反対に言えば、これらにこだわらなければ、手頃な価格のものも多く存在します。

複合フローリングの場合も、挽き板(ひきいた)や突き板(つきいた)には天然木を使用するため、無垢と同様に木の種類やグレード、厚みによって価格には差があります。さらに複合フローリングは構造上さまざまな加工をしやすいため、高機能な付加価値をもった種類も増えており、それらは高価になる傾向があります。

無垢より高価な複合もあれば、複合より安価な無垢もあるのが事実。

単に価格イメージだけではなく、みなさんの生活スタイルや、暮らしの中で優先したいことは何か?を基準に、最適なフローリングを選んでいきましょう。

わが家にぴったりのフローリングの選び方《4つのポイント》

以上のようなフローリングの種類やメリット・デメリットをふまえた上で、実際にフローリングを選ぶときには、どんなことを重視すればよいのでしょうか?《4つのポイント》をご紹介します。

その1.どの場所に使用するか?

家の中のどこに使用するかによって、最適なフローリングは変わってきます。例えばキッチンなどの水回りなら〈耐水性〉や〈掃除のしやすさ〉、寝室なら〈リラックス効果〉や〈安眠効果〉、子ども部屋なら〈傷への強さ〉などを大切にしたいですね。その場所での過ごし方をイメージしながら、フローリングに求める役割を考えてみましょう。

[セキスイハイム東海 ハイムエクスペリエンスカフェ(HXカフェ) 三島展示場]

その2.理想のインテリアやお部屋のイメージは?

床は面積が広い分、お部屋の印象を大きく左右します。理想のインテリアテイストや、好みの家具・建具がある場合には、それに合ったフローリングを選びましょう。

●色味(ホワイト系〜ナチュラル系〜ダーク系)
●木質感(節、色むら、木目の有無)
●塗装方法(オイル塗装、ウレタン塗装など)

これらによって、フローリングの表情はさまざまです。

[百年住宅 New FORTE 富士展示場]

[福工房 三島モデル 三島展示場]

[アキュラホーム 浜松支店 家事ラクスマートハウス 浜松展示場]

[一条工務店 一条の洋館セゾン・掛川モデル 掛川展示場]

その3.叶えたい生活スタイルは?

フローリング選びは、暮らしやすさや住み心地にも関わってきます。例えば子育て世帯や共働き世帯なら、フローリングはなるべくメンテナンスの手間がかからないものを選びたいかもしれません。しかしDIYが好きな方なら、床のメンテナンスや補修を趣味として楽しむことができるでしょう。その他、来客が多い家なら、玄関やリビングは高級感のある材質を選びたい。家の中では裸足で過ごしたい方なら、足触りのよいやわらかな木を選びたいなど。あなたが暮らしの中で優先したいことを考えてみましょう。

[花みずき工房 ブランコンセルト 浜松展示場]

その4.こだわりたい機能は?

とくに複合フローリングには、さまざまな機能を備えたものが登場しています。あなたがこだわりたい機能はありますか?

●床暖房対応
●車椅子対応
●ペット対応
●抗菌/抗ウイルス
●アレル物質抑制
●ワックス不要
●防音/遮音 他

[株式会社パナホーム静岡 ビューノ 静岡展示場]

サンプルだけでは分からない!理想のフローリングを見つけに行こう

[ヤギモク ヴィサージュ フォーマルモダン 藤枝展示場]

フローリングはカタログやサンプルを見て決めてしまうという方もいます。しかし、いざ完成してみると「カタログ写真とイメージが違った!」「小さなサンプルと、部屋全体では印象が全然違う!」などの失敗はよくある話です。

そしてフローリングは見た目だけでなく、足に触れたときの温度や心地よさも重要であることは、前述の通り。ぜひ実際に展示場を訪れて、たくさんのフローリングを比較していただきたいと思います。

SBSマイホームセンターの各展示場では、『突撃!イッキ見隊』という見学ツアーを定期的に開催しています。約90分という短時間で、モデルハウスを一気にまわるこちらの企画。各モデルハウスでのアンケート記入は不要なため、気軽にたくさんのモデルハウスを見学できるのがうれしいポイントです。フローリングを比較するのにも絶好の機会。

『突撃!イッキ見隊』の詳細はこちら

>>https://www.sbs-mhc.co.jp/ikkimitai/

理想のフローリングを見つけにいきましょう!