建築・間取り

新築住宅の「窓」で失敗しないために!よくある後悔8選

執筆者
出口 恵

陽の光がたっぷりと射し込んで、爽やかな風がカーテンをゆらす。明るくて風通しのいい住まいに憧れている人は多いのではないでしょうか。そんな快適な住まいづくりを叶えるために、なくてはならないのが「窓」です。一方で、日差しや風は図面だけではイメージしにくいため、実際に住み始めてから「もっとこうすればよかった!」と後悔することが多いポイントでもあります。今回は、家づくりでよくある窓についての後悔と、その対策をご紹介。
〈窓は大きければ大きいほどいい!多ければ多いほどいい!〉そんなふうに考えていませんか?

 

後悔1.リビングの大きすぎる窓

 リビングに大きな掃き出し窓をつくるのは、よくある間取りです。(掃き出し窓=窓の下部分が床まである、人の出入りが可能な引き戸式の窓)明るい日差しをたっぷりと取り込むため、さらにはお庭と一体感のある開放的な空間にするため、大きな窓はとても有効です。一方で、次のような困り事も多い点に注意しましょう。

・通りの多い道路沿いに窓をつけてしまい、人目が気になりリビングでくつろげない
・外気温の影響を受けやすい
・日差しが強くてテレビが見にくい時間帯がある

この後ご紹介するさまざまな後悔にも通じることですが、窓は採光・通風という重要な役割を果たす一方で、以下のようなデメリットがあることも意識しなければいけません。

・壁に比べて断熱気密性が劣る
・壁に比べて耐震性能が落ちる
・壁に比べて音が漏れやすい 
・窓の掃除が大変
・プライバシーや防犯に配慮しないといけない
・カーテン、ブラインドなどの費用がかかる

【対策】

リビングに大きな窓を設ける場合には、次の点を心がけましょう。

・外から見えにくい位置に窓をつける。もしくは、植栽や目隠しフェンスなどを活用する
・外気温の影響を少なくするため、断熱性の高い窓やサッシを選ぶ
・庇(ひさし)などを設置して、どの季節・時間帯も快適に過ごせるよう日差しをコントロールする

[株式会社パナホーム静岡 CASART(富士展示場)]

【実例紹介】

2面に大きな掃き出し窓がある明るく開放的なリビング。庭に植えられた木々は、リビングからの景観をよくするとともに、外からの目線を遮る役割を果たしてくれます。

後悔2.窓をたくさんつくりすぎて家具が置けない

窓を多くつくりすぎてしまい、家具を置く場所に困ったというのも非常によくある後悔です。家具と窓とがかぶってしまうと、せっかくの採光・通風の役割が果たせず、見た目もよくありません。

【対策】

窓の設置場所は家具の配置も考慮しながら考えましょう。特に子育て世代のご家庭は、お子さんの成長にしたがって必要な家具・収納も増えてきますので、余裕をもった家具の配置計画を立てましょう。または、家具の置き場所に支障が出ないような高い位置に細長いスリット窓や小窓をつけるという選択肢もあります。

[林工住宅 レガリア エクセレント(静岡展示場)]

【実例紹介】

複数並んだ窓から、やわらかな日差しが射し込むリビング。高い位置に設けた小さめの窓なら、このように下にソファーなどの家具を置くことも可能です。

後悔3.大きな窓をつくったのに風通しがいまいち

どんなに大きな窓を設置しても、1つだけでは風通しはよくなりません。また、同じ壁面に窓を複数つくっても、空気はうまく循環しません。

【対策】

十分に通風・換気を行うためには、1つの部屋に2つ以上の窓が必要です。また、北側と南側、西側と東側というように、対角線上につくるのがもっとも効果的です。ただし、間取りや周囲の環境によっては、対角線上に窓を設けるのが難しいケースも多いでしょう。その場合は、家の外側に沿ってふく風をキャッチしやすい「縦すべり出し窓」などを活用するのがおすすめです。(縦すべり出し窓=窓枠の上下に設けられたレールに沿って、窓を外側にすべり出させて開ける窓)

すべり出し窓は外からの視線を受けにくいため、隣接する建物と距離が近い場合にも比較的安心です。特に寝室や子ども部屋はプライベートな空間のため、大きすぎる窓は居心地の悪さにつながることもあります。窓の大きさにこだわるのではなく、小さくても空気の流れをつくるような配置を心がけましょう。

[ユニバーサルホーム藤枝店 ココフィール(藤枝展示場)]

【実例紹介】

1日の疲れを癒してくれる、落ち着いた雰囲気の寝室。ベッド右には掃き出し窓、そしてベッド背面には写真のような高い位置に設けられた横長のスリット窓があります。2面に窓をつくることで、効果的に換気を行うことができます。

後悔4.まぶしすぎる天窓

屋根や天井に設置する天窓(トップライト)。天窓は壁に設ける窓の3倍もの光を取り込むことができると言われており、採光効果に非常に優れています。また、暖かい空気は上にたまるため、換気にも有効です。一方で、想像以上に光が入りすぎてしまい、「夏場はまぶしすぎる」「光がよく当たる家具が日焼けしてしまった」などの後悔もあります。

【対策】

間取りづくりの際には、天窓の下に何を置くことになるか、日が当たっても問題ないかを検討しましょう。できる限り北斜面の屋根に設置することで、まぶしさを和らげることもできます。最近ではガラスの性能が進化しているため、熱の反射やUVカットに優れたものをぜひ選択しましょう。また、暑い時期の直射光を遮るためには、天窓用のロールスクリーンやブラインドも有効です。

[一条工務店 一条の洋館セゾン・御殿場東モデル(御殿場展示)]

【実例紹介】

吹き抜け部分の屋根に設けられた天窓。食卓に、明るい日差しをたっぷりと届けてくれます。このような手の届かない高さにある天窓の場合は、電動のロールスクリーンやブラインドの活用がおすすめです。リモコン操作が可能なので、日差しに合わせて手軽に開閉ができます。

後悔5.トイレや洗面脱衣所に窓をつけなかった

トイレや洗面脱衣所には、プライバシーや防犯面を考えて〈窓をつけない〉というケースもあります。しかし、日中も家で過ごすことが多いご家庭では「昼間なのに毎回電気を付けたり、消したりするのが面倒」と感じることもあります。また、最近では住宅の換気性能が上がっているとはいえ「臭いや湿気のたまりやすいトイレ・洗面脱衣所は、窓から空気の入れ替えをしたかった」と考える人の多い場所です。

【対策】

プライバシーを守るためには、外から中が見えにくい高い位置に、曇りガラスの窓をつけるのが有効です。ただし、換気目的で設置したのに、窓の開閉に手間がかかってしまっては結局活用できなくなってしまいます。頻繁に開閉したい場合は、初期費用やメンテナンス費はかかりますが、リモコン操作できるタイプを検討してみましょう。また、防犯面を重視するなら、「内倒し窓」や「ツーアクション窓」「小窓」といった、外からの侵入が難しいタイプの窓もおすすめです。

[アキュラホーム 超空間の家(静岡展示場)]

【実例紹介】

浴室の上部に設けられた横長の曇りガラス窓。これなら入浴時でも、外からの目線を気にする必要がありません。

後悔6.玄関に窓をつけなかった

玄関は通り過ぎるだけの場所のため、明るさや暖かさは必要ないと考えて窓をつけないケースもあります。しかし実際に生活をはじめてみると、暗くて寒い玄関というのは、想像以上にさみしいと感じるものです。玄関は、家で過ごすプライベートな時間から、仕事や学校モードへと切り替えをする場所でもあります。そのため、明るく心地のよい空間にすることは、一日を気持ちよくスタートするために意外と重要です。

【対策】

防犯面を考えて最低限の採光をしたいと考えるなら、開閉できない「FIX窓」を活用するのも有効です。デザイン性に優れているため、明るく心地よい玄関を演出するにはもってこいの窓です。

[百年住宅株式会社 シルフィード(浜松展示場)]

【実例紹介】

玄関ドアの両側に設けられた縦長のFIX窓。日差しがたっぷりと射し込む、明るい玄関となっています。さらにFIX窓の格子が、デザイン的なアクセントにもなっています。

後悔7.隣家との兼ね合いを考えなかった

窓は家の中と外とをつなぐもの。そのため、どれだけ採光や通風を考え、一番よいと思える位置に窓をつけても、お隣の家や建物の存在を考慮しないと、大きな後悔につながります。もっともよくあるのが、窓の真正面に隣の家にも窓があり、お互い開けられないままになってしまったというケース。その他、窓の位置にお隣の給湯器やエアコンの室外機、換気扇がある場合も、熱風や騒音、臭いが気になり開けられない原因になってしまいます。

【対策】

窓の位置を考える際には、隣接する家や建物との兼ね合いも十分に考慮しましょう。また、自分たちが家を建てる時にはなくても、後々家が建つこともあります。そのような可能性がある場合は、家が建ちそうな面には、プライバシーを重視した窓を使用するなどの計画が必要です。

[セキスイハイム東海 ハイム・パルフェJX(掛川展示場)]

【実例紹介】

キッチン側面に設けられた4つの小窓。隣接する建物との距離が近い場合でもこのような小さな窓なら、お互いのプライバシーを守りながら採光や通風の確保ができます。

後悔8.外観を考えなかった

窓をつくる際に採光や通風については考えても、窓の配置が外観にも大きな影響を与えることを意識する人は少ないかもしれません。 住まいの外観デザインにおいて、窓は装飾的な役割を果たします。家の中の間取りだけを考えて窓の位置や種類を決めると、外から見たときにいまいちな印象になることもあります。

【対策】

窓の配置・種類を決める際には、採光・通風などの実用面と同時に、デザイン面についても考えてみましょう。例えば、「窓のラインをそろえる」「引き違い窓を多用しすぎない」などを心がけることによって、まとまりのある外観となります。

詳しくはこちらの記事でもご紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
「おしゃれな外観デザインを叶える 【3つのポイント】」
https://www.sbs-mhc.co.jp/column/plan/220302/#2

 [積水ハウス沼津支店 IS ROY+E(三島展示場)] 

【実例紹介】

住まいの中央部分、1階リビングには大きな掃き出し窓、2階スタディコーナーには縦長のすべり出し窓が設置されています。1階と2階の窓のラインを揃えることで、洗練され、整った印象の外観となっています。

 まとめ|窓は意外と奥が深い

 間取りを考える際には、真上からの平面図を見ることが多いので、どうしても壁面にある「窓」については、後回しになってしまいます。また、採光・通風は地域や季節、住まいの方角や周囲の環境によっても変化するという難しさもあります。

窓は明るく心地よい空間づくり、そしてプライバシーや防犯、家具の配置、外観デザインなどに大きく影響する重要な要素です。ぜひ家づくりのプロに相談しながら、後悔のない家づくりをしてくださいね。静岡県内に9会場、約170棟のモデルハウスを展示するSBSマイホームセンターなら、窓の種類や配置についても豊富な実例を体感することができます。きっとあなたの理想を実現するヒントが見つかります!