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注文住宅と建売住宅はどちらがお得?価格相場をわかりやすく解説!

執筆者
石黒杏樹 ファイナンシャルプランナー(2級ファイナンシャル・プランニング技能士取得)

マイホームを注文住宅と建売住宅のどちらにするか検討する際、特に気になるのが価格ではないでしょうか。一般的には建売住宅の方が相場が安いといわれていますが、安いからといって建売住宅を選ぶのではなく、あらゆる面から比較することも大切です。この記事では、注文住宅と建売住宅の価格相場やメリット・デメリットを比較した上で、どちらを選ぶべきかの基準について解説します。

注文住宅と建売住宅はどちらがお得?価格相場比較

新築一戸建て住宅には「注文住宅」「土地付き注文住宅」「建売住宅」の3種類があります。「2021年度 フラット35利用者調査」によると、それぞれの購入価格や月々の返済額の相場は以下の通りです。

引用:https://www.jhf.go.jp/files/400361622.pdf「P26〜28」

土地付き注文住宅の購入価格は、土地の購入費用と建築費用の合計金額を示しています。建売住宅も、購入価格に土地の価格が含まれています。土地付き注文住宅と建売住宅の価格差は約850万円です。

注文住宅の場合は土地を取得していることが前提のため、土地の購入費用はほとんど含まれていません。

土地代を含めて考えると、建売住宅<土地付き注文住宅<注文住宅の順番に価格相場が高くなると考えて良いでしょう。

次で、それぞれの特徴やメリット・デメリットについて解説していきます。

注文住宅

注文住宅とは、購入した土地やすでに所有している土地に建てる一戸建て住宅のことです。建築は工務店や住宅メーカーなどに依頼し、間取りや設備、外観など希望に合わせて設計ができます。

メリット

注文住宅のメリットは、なんといっても自由度の高さです。注文住宅では構造や間取り、外観、設備などを工務店や住宅メーカーの担当者と打ち合わせしながら建てていくので、より自分の理想に近いマイホームを作ることができます。

また、建売住宅とは異なり建築過程を一から見守ることができる点もメリットです。気になる点や疑問点があれば、その都度確認しながらマイホームづくりを進めていけます。

デメリット

注文住宅のデメリットは、家を建てるための土地探しから家づくりの打ち合わせなど、時間や労力がかかる点です。実際に入居できるまで1年以上かかることも少なくありません。

また、一から設計をするため基本的には建売住宅よりも割高になります。ただし、間取りやデザインをシンプルにすれば、価格を抑えることも可能です。

土地付き注文住宅

土地付き注文住宅とは、建築会社や建築期間の条件が定められている土地を購入して建てる住宅のことです。建築会社を自分で選ぶことはできませんが、間取りやデザインはある程度自由に決められます。

メリット

土地付き注文住宅は、初めから建築会社が決まっているため、自分たちで契約する会社を探す手間が省けます。また、土地と建築がセットになっているため、土地を別で購入する注文住宅よりも値段が抑えられるケースがほとんどです。

建築会社は決まっているものの設計の自由度はある程度高く、注文住宅のように打ち合わせをしながら設計をしていくことができます。

デメリット

土地付き注文住宅では建築会社が指定されているため、注文したい工務店や住宅メーカーがあったとしても依頼することはできません。

指定された建築会社によっては、設計プランが定められていることもあります。注文住宅のように全て思い通りのマイホームにするのが難しいこともあるでしょう。あらかじめ、自分の希望が叶えられる建築会社なのか調べておくことが大切です。

建売住宅

建売住宅とは、土地と完成済または完成予定の住宅をセットで販売している住宅です。間取りやデザイン、設備などはメーカーが設定していて、自分たちで考える必要はありません。モデルルームなどで内装や外観などを見学でき、入居を検討できます。

メリット

建売住宅は土地とすでに設計されている住宅をセットで購入するため、土地の購入や設計の打ち合わせなどを自分たちで行う必要がありません。住宅購入にかかる手間や時間を最大限抑えられることが、メリットといえるでしょう。

メーカーが同じ設計で何件も建築しているため、建築コストが抑えられていて、購入価格も注文住宅と比較して安くなります。

デメリット

自分の希望通りのマイホームが持てる注文住宅とは異なり、建売住宅は自分たちの希望のデザインや間取りに変更することはできません。マイホームにこだわりがある方にとっては、物足りなさを感じることもあるでしょう。

すでに完成している建売住宅は、土地の状態や建築過程をチェックできないこともデメリットといえます。地盤や基礎工事に関するトラブルが起きないよう、信頼できるメーカーを選ぶことも重要です。

<関連記事|注文住宅と建売住宅の平均購入価格の違いは?理由も解説!

注文住宅と建売住宅を選ぶ基準

注文住宅と建売住宅の違いについて知った上で、どちらを選ぶか比較検討していきましょう。注文住宅と建売住宅を選ぶ基準について解説します。

価格

住宅の購入価格をなるべく抑えたい方は、建売住宅がおすすめです。注文住宅は自分たちの希望に合わせて設計できる反面、こだわりが多ければ多いほど価格が高くなります。

一方、建売住宅は同じような設計の住宅をたくさん作るため、注文住宅に比べて価格設定が低くなっています。購入予算が少ない場合は、建売住宅を選ぶのが良いでしょう。

ただし、注文住宅の場合でも構造や間取りをシンプルにするなど、価格を抑える方法もあります。費用を抑えた「ローコスト住宅」といった選択肢もあるので、予算に合わせて検討しましょう。

また、将来的にかかる建物のメンテナンス費用については、使用する建築材でコストが変わってきます。注文住宅でグレードの高い建築材を用いれば、初期費用は高くてもメンテナンス費用が抑えられるため、トータルではお得になる場合もあります。

土地があるかどうか

土地を持っているかいないかも、注文住宅と建売住宅を選ぶ重要なポイントです。注文住宅は土地を自分で用意する必要があるため、土地の購入から始めなければなりません。希望の立地の土地が高額で手が届かない場合も多いでしょう。

そのため、土地がない方は土地と建物がセットになる建売住宅がおすすめです。建売住宅は良い立地に建てられることが多いため、希望の立地にマイホームを持つことも可能になります。

家や間取りへのこだわり

マイホームや間取りへのこだわりが強い人は、注文住宅が向いています。注文住宅は構造や間取り、デザインなど一から自分たちで設計できるため、世界に一つだけのマイホームを手に入れることができます。住み始めるまでには時間がかかりますが、手間や時間をかけただけマイホームへの愛着もわくでしょう。

二世帯住宅や三世帯住宅など間取りが特殊な家を作りたい場合も、注文住宅が選択肢になります。

入居までの時間的余裕

入居までの時間的余裕も、どちらを選ぶかを決める基準になります。とにかく早く入居したい場合は建売住宅、比較的入居が遅くても構わない方は注文住宅が選択肢になるでしょう。

建売住宅の場合、すでに完成している物件なら最短1ヵ月程度で入居できる場合もあります。これから建築する場合であっても、4ヵ月程度と入居までスピーディに進められます。

一方、注文住宅は家づくりのプランを決定するだけでも半年以上、実際の引き渡しまで1年以上かかることも少なくありませんが、納得いくマイホームの設計ができるまで、ゆっくりプランを練ることができます。

まとめ

注文住宅と建売住宅の価格相場は、一般的に建売住宅の方が安いといえます。しかし、注文住宅には自分たちの理想のマイホームを作れるといった大きなメリットもあります。

注文住宅と建売住宅のどちらにするかを選ぶ基準は、価格だけでなくマイホームへのこだわりや入居までの時間の余裕など様々です。後悔しない家づくりのために、何を優先したいか決めておきましょう。

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