2024年の住宅トレンドワード9選を紹介します。エコ性能や多世代共生、充実した空間づくりを踏まえ、未来も考慮した家づくりのヒントが満載です。住宅建設を考える方は、参考にしてみてください。
2024年の住宅トレンドワードを知ると、快適な住まいのイメージが湧いてきます。
しかし、ただ流行を追うだけでは、長期にわたって快適に暮らすための家づくりはできません。家族のつながり、趣味の時間、家事の動線など、重視したい設計は人によって異なります。
本記事では住宅のトレンドワードを紹介し、よくある注文住宅の失敗例や失敗しないための対策を詳しく解説します。
トレンドワードから、家族が幸せに暮らす暖かい住まいづくりのヒントを手に入れましょう。
2024年最新版住宅トレンドワード9選
2024年最新の住宅トレンドワードは以下の9つです。
● ヌック
● 平屋
● タイパ
● 規格住宅
● ウェルビーイング住宅
● ランドリールーム
● 多世代共生型住宅
● 断熱性能
● ミニマルライフ
トレンドワードとトレンドの背景を把握して、納得のいく快適な住まいづくりの参考にしましょう。
ヌック
ヌックとは、一般的な部屋よりも小さい、2〜3畳ほどのこじんまりとしたスペースのことです。
壁や扉をつけずにゆるやかな仕切りで、家族とのつながりを感じながらも隠れ家のような空間でプライベートな時間を過ごせます。
家族と共に過ごす時間と自分だけの時間のバランスを上手に取りたい方に人気です。
特にコロナ禍以降は人気が高まっており、自宅でのリラックスや趣味の時間を作り出す理想的な空間として注目されています。
平屋
平屋は1階建ての住宅です。階段の上り下りが不要なため、年齢を重ねても快適に生活しやすいバリアフリー設計といえます。
平屋は高齢者や足腰に不安がある方にとって生活の負担が軽減できるため、親との同居を検討する方の選択肢になるでしょう。
また、広い間取りは、子どもを見守りながら家事がしやすかったり、子どもが階段から転落する心配もないため、子育て世代にも人気があります。
さらに、2階建ての住宅と比較して平屋はすべての部屋が同じ階にあるため、間取りやデザインの自由度が高く、住宅の外観や内装を自分の好みに合わせやすい特徴があります。
平屋はさまざまなライフスタイルに対応しやすく、長く愛され続けている住宅です。
関連記事:今人気の平屋住宅!子育て世代が知っておきたいメリット・デメリット
タイパ
タイパとは、時間効率や時間対効果(Time Performance)を意味する造語で、費やした時間に対する満足度や効果の比率を意味します。
特に注文住宅は、住まいのエリア選び・土地の選択・間取りの決定・インテリア選びなど決める事柄が多く、打ち合わせにも多くの時間を費やします。
自由度が高く好みの住宅を建てられるのはメリットですが、「何から決めれば良いかわからない」「時間がかかりすぎて大変」と感じる方がいるのも事実です。
時間を効率的に使い、できるだけ少ない労力で高い満足度を得たい方は、ある程度間取りなどが決まっている規格住宅 も検討すると良いでしょう。
規格住宅
規格住宅は、工務店やハウスメーカーがあらかじめ設定した規格に基づいて建てられる住宅を指します。
注文住宅と建売住宅の中間に位置し、フルオーダーの注文住宅に比べてコストの計算がしやすく、ある程度間取りやデザインが決まっているため、完成をイメージしやすい点が特徴です。
また規格住宅には、工務店やハウスメーカーの人気デザインや得意な工法が盛り込まれているケースが多く、建築期間も短縮される傾向にあります。
建築主にとってコスパ・タイパが良い点も、規格住宅のメリットです。
ウェルビーイング住宅
ウェルビーイング とは、心身の健康や家族の良好な関係性、社会的・環境的な豊かさといった意味を含む、多面的な幸せが継続する状態を指す言葉です。心身の健康を保ち、生活しやすい空間を備えた住宅をウェルビーイング住宅といいます。
近年、省エネ性能の高さやテレワークに適した設計が重視されていますが、このトレンドは2024年も継続しています。
ウェルビーイング住宅は、住む人の快適性を高めるだけでなく、環境にも優しく、長期的に幅広い世代で暮らせる住宅です。そのため、不動産としての価値を向上させる効果も期待されています。
単なる住まいを超えた、持続可能な幸福を実現するための空間といえるでしょう。
ランドリールーム
ランドリールームとは、洗濯を始めとした家事を行うスペースです。
室内干しや衣類乾燥機の使用が一般的になり、1階にランドリールームを設ける建築事例が増えています。
乾燥機の利用などにより、外干しを必要としなくなった背景から、ベランダやバルコニーを建築しない家も多いです。
ランドリールームを家の中心部に設置することで、洗濯から乾燥、収納までの動線が短縮され、家事の効率が大幅に向上する点は大きなメリットといえるでしょう。また、ベランダやバルコニーを建築しないため、建築コストを削減できます。
多世代共生型住宅
多世代共生型住宅 は、子どもから高齢者まで共に生活することを目的とした住宅形態です。
特定の間取りや設計に限定されず、幅広い世代が支え合い、交流することを促進する考え方や概念として捉えられています。
異なる年代の人々が一緒に暮らすことで、世代間のコミュニケーションが活発になり、単調な生活からの脱却や、相互理解の深まりといったメリットがあるでしょう。
断熱性能
2024年から、建築物の断熱性能を示す建築物省エネ性能表示制度が義務化 されます。
建築物の販売や賃貸に際して省エネ性能ラベルの表示が必須となり、建築物の断熱性能を容易に把握できる点は消費者にとって大きなメリットです。
新築住宅に対しては努力義務が課され、中古住宅については表示が推奨されます。
断熱性能ラベルによって、建築物の熱の逃げやすさや日射熱の入りやすさが示されるため、省エネで快適な住宅選びが可能です。
ミニマルライフ
ミニマルライフは、自分の価値観に基づき、必要最低限の物だけを持つ生活スタイルです。
所有物や家の中に置くものを減らせば、探し物の時間が減ったり掃除がしやすくなったりするなどのメリットがあります。
ミニマルライフは注文住宅の設計にも影響を与えており、ミニマルライフをコンセプトにした住宅が増加しています。
住空間の整理は精神的な落ち着きにもつながり、生活の質を高める要素になるでしょう。
押さえておきたい!注文住宅の失敗例
ここで、注文住宅の失敗例を4つ見てみましょう。
● メンテナンスコストを考慮していなかった
● 吹き抜けのあるリビングが寒かった
● ウォークインクローゼットが使いづらい
● ビルトインエアコンが交換しづらい
注文住宅は多くの方にとって一生に一度の大きな買い物です。
よくある失敗を事前に確認し、後悔しない注文住宅の建築を進めましょう。
メンテナンスコストを考慮していなかった
住宅にはメンテナンスコストがかかります。
建築時の費用ばかりに注目して、建築後の修繕費を考えていないと思わぬ出費に驚いてしまうかもしれません。
特に外壁・屋上・ベランダなどは、雨風や紫外線の影響を直接受けるため、メンテナンスコストがかかりやすい箇所です。
また、トイレ・お風呂・キッチンなどの水回りも劣化しやすく、直す場合はまとまった費用がかかります。
将来にわたって、住宅のどの部分にメンテナンスが必要で費用はいくらになるか、事前に把握し計画的に準備しておきましょう。
吹き抜けのあるリビングが寒かった
吹き抜けのリビングが寒くなる主な原因は、冷たい空気が暖かい空気よりも重く、下部に溜まりやすいためです。
この問題は、家の断熱性能を高めたり暖房能力を強化したりすることで対処できます。
例えば、吹き抜けの窓には断熱性の高いガラスを使用し、カーテンやブラインドで冷気の侵入を防ぐなどの対策が有効です。
また、シーリングファンを設置して空気を循環させれば、暖かい空気が部屋全体に行き渡るため、リビングの寒さは和らぐでしょう。
関連記事:吹き抜けのメリット・デメリット|後悔しないためのポイントも解説
ウォークインクローゼットが使いづらい
ウォークインクローゼットが使いづらいと感じる主な原因は、以下のとおりです。
● クローゼット前の通路が狭い
● 収納スペース自体が狭い
● デッドスペースが多い
● 棚の高さが変えられない
● 扉がなくプライバシーが確保されていない
● 照明が足りないから見えづらい
失敗を避けるためには、ウォークインクローゼットに収納しようとしているものを把握し、来客からの見え方を設計時点で確認しておくと良いでしょう。
また、可動式の棚を設置して収納スペースを柔軟に調整できるようにしたり、適切な照明を設けて明るさを確保したりするといった対策も考えられます。
ビルトインエアコンが交換しづらい
ビルトインエアコンとは、天井に埋め込むタイプのエアコンで、室内の見た目をすっきりとさせられ、空調効率も良くなる点がメリットです。
ビルトインエアコンは、デザイン性を重視する住宅に適しているほか、空間を有効活用したい商業施設にも多く利用されています。
しかし、一般的な壁掛け型エアコンと比較して設置コストが高くなりがちで、市場に出回っている機種の選択肢が限られるデメリットがあります。
また、メンテナンスや交換時に専門的な技術が必要となり、コストがかさむ可能性がある点も覚えておきましょう。
外装を派手にしすぎた
外装を派手にしすぎると、周囲の景観や街並みと調和が取れなかったり、近隣の人の目が気になったりして後悔する可能性があります。
色にこだわりがある場合、想像していた色と違うケースも少なくありません。
地域によっては外装の色に関する規制やガイドラインが設けられている場合もあるため、計画段階での確認は必須です。
外装の色選びでは、長期的な視点での美観の維持やメンテナンスの容易さも重要なポイントです。
派手な色は時間が経つにつれて色褪せや汚れが目立ちやすくなる傾向があり、メンテナンスの手間やコストが増加する可能性も考慮しましょう。
注文住宅のトレンドからみた失敗を避けるコツ
注文住宅のトレンドからみた、失敗を避けるコツは以下のとおりです。
● 最初に総額を決めておく
● 間取りの変更を考慮する
● 決断が困難なら規格住宅も検討する
● 将来のライフスタイルを意識しておく
1つずつ詳しく解説します。
事前に調べたり、住宅展示場のスタッフに尋ねたりして、失敗を避けるコツを学びましょう。
最初に総額を決めておく
最初に建築費や設備費等を含めた総額を決めておきましょう。
注文住宅ですべて希望通りの設計にすると、予算をオーバーしてしまうケースがあります。
最初に総額を決めておけば、設計段階から予算内で収まるように計画を立てられ、予期せぬ費用の超過を防げます。
なお、建築費を予算内で収めるためには、建築材料や設備の選択、間取りの設計においてコストパフォーマンスを重視し、必要な機能を満たしつつも無駄を省く意識が大切です。
計画的かつ効率的な家づくりを目指し、将来の経済的な負担を最小限に抑えましょう。
関連記事:賢く建てたい!注文住宅で予算オーバーにならないための工夫
間取りの変更を考慮する
間取りの変更も考慮しておくのは、長期的に住み続ける家づくりにおいて非常に重要です。
エアコンやコンセントの位置を含め、将来のライフスタイルの変化や家族構成の変化に柔軟に対応できるよう、間取りを考えましょう。
例えば、子どもの成長に合わせて子ども部屋を分割する、趣味のスペースを家族の集まりの場に変更するなど、多目的に使用できる空間の設計が挙げられます。
また、高齢の親と同居したり、自身が高齢になったりしたときにも安全に過ごせるよう、バリアフリー設計も視野に入れておくと良いでしょう。
現在のニーズだけでなく、将来の変化も視野に入れた間取りの計画は、長期にわたって住み心地の良さを維持するために不可欠です。
決断が困難なら規格住宅も検討する
規格住宅は、工務店やハウスメーカーがあらかじめ用意した選択肢から選べるため、自分で一から決める必要がなく、大きな失敗を予防できます。
モデルハウスや売出し中の物件を内見できる可能性もあるため、さまざまな規格住宅を見学してみましょう。
ただし、規格住宅には注文住宅ほどの自由度はなく、希望が通らず不満が生まれる可能性もあります。また、建築できる土地に条件があったり、将来的な間取りの変更が難しかったりする点には注意が必要です。
将来のライフスタイルを意識しておく
注文住宅を建てる際は、将来のライフスタイルを意識しておきましょう。
例えば、子どもの成長や高齢の親との同居といった家族構成の変化を想定しておけば、必要に応じて寝室を分けたり子ども部屋を分割したりするなどの柔軟な対応が可能です。
ライフスタイルの変化に対応しやすく、長期にわたって快適に暮らし続けられる可変性の高い住宅を意識しましょう。
2024年の住宅トレンドワードを知れば大きな失敗を予防できる
2024年の住宅トレンドワードには、社会の変化や技術進化の現状が反映されているといえます。
ただし、トレンドを把握して家づくりを進めれば、長期的に満足できる暮らしができるわけではありません。
トレンドやその背景を理解し、自分たちのライフスタイルや将来の変化を考慮した家づくりを意識して、「今」だけでなく「未来」も見据えた快適な住まいを実現しましょう。