住宅制度

太陽光発電や蓄電池に補助金を使いたい!申請方法や申請するポイントも紹介!

執筆者
石黒杏樹 ファイナンシャルプランナー(2級ファイナンシャル・プランニング技能士取得)

太陽光発電システムや蓄電池の導入にあたっては、国や自治体から補助金を受けられる可能性があります。補助金が受け取れれば費用の負担が抑えられるため、ぜひ利用したいところです。

この記事では、国や各自治体で行っている補助金制度について解説します。申請方法も詳述するので、もらい漏れのないように、早めに行動しましょう。

太陽光発電や蓄電池の国からの補助金

国や自治体は、省エネ普及のため様々な補助金制度を設けています。家庭での太陽光発電や蓄電池の導入を対象とする補助金もその一つです。まず、国の補助金制度の概要と補助金額について解説します。

ZEH支援事業

ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは、電力を自給自足して外部からのエネルギー消費量がゼロになる省エネ住宅のことです。断熱性能が高く、太陽光発電システムや省エネ設備が導入されていることなどが特徴として挙げられます。

ZEH支援事業の補助金を受けるための要件は、以下の2点です。

(1)高断熱・省エネ・創エネの3点を主とするZEHとしての建物条件を満たしている

(2)SII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)に登録されたZEHビルダーまたはプランナーによって設計・建築・改修または販売されている

ZEHの基準を満たした住宅にリフォームした場合や、基準を満たす住宅を建築・購入した場合、一戸あたり定額55万円の補助金が受け取れます。

ZEH+

ZEH+は、ZEHを上回る省エネを実現した住宅です。ZEH+と認められるためには、ZEHの基準を満たした上で、以下のいずれかのうち2つ以上を満たす必要があります。

  • 断熱性能の強化
  • HEMS(電力の一元管理システム)で暖冷房設備、給湯設備等を制御できる
  • 電気自動車との間で充放電できる設備を設置

ZEH+の補助金額は、1戸あたり定額100万円です。

次世代ZEH+

次世代ZEH+は、ZEH+の基準を満たした上で、さらに下記いずれか1つ以上を導入している住宅です。

  • 蓄電池システム
  • 自立制御電源を確保した太陽熱利用温水システム
  • 停電自立型燃料電池
  • V2H充電設備
  • 太陽光発電システム(10kw以上)

次世代ZEH+の補助金額は、1戸あたり定額100万円です。設備が導入されていれば補助金が追加されます。

  • 燃料電池 1台につき2万円
  • V2H充電設備 最大75万円
  • 太陽熱利用温水システム 最大60万円
  • 蓄電システム(定置型) 最大20万円

先進的再エネ熱等導入支援事業

ZEH、ZEH+、次世代ZEH+の補助金の交付が決定している住宅が対象で、対象となる建材・設備いずれかを満たすことで1戸あたり最大90万円の補助金が受けられます。

対象となる建材・設備と金額は以下のとおりです。

  • CLT(直交集成板) 1件90万円
  • 地中熱ヒートポンプ・システム 1件90万円
  • PVTシステム 1件最大90万円
  • 液体集熱式太陽熱利用システム 1件最大15万円
  • 蓄電システム 最大20万円(ZEH+実証事業においてZEH+の補助対象住宅に導入する場合に限る)

CEV補助金

電気を貯められる電気自動車は、蓄電池代わりに利用できます。電気自動車の購入では、CEV(クリーンエネルギー自動車)補助金が受け取れる場合があるので検討してみましょう。

補助金額は車種・型式によって異なり、令和4年度の補助金額は、例えば以下のとおりです。

トヨタプリウス(6LA-ZVW52)550,000円

日産 リーフ(ZAA-ZE1)531,000円~850,000円

日産 サクラ(ZAA-B6AW)550,000円

また、車両だけでなく外部給電器・V2H充放電設備に対しても補助金が出ます。最新情報や申請方法については、一般社団法人次世代自動車振興センターのHPをご確認ください。

太陽光発電や蓄電池の各自治体からの補助金の事例

自治体によっては、太陽光発電や蓄電池の補助金制度を独自に設けている場合があります。お住まいの地域に補助金制度がないか調べてみましょう。ここでは、地方自治体の補助金制度の例を紹介します。

静岡県静岡市

静岡県静岡市では、市内のZEH住宅の新築またはリフォームに補助金が出ます。補助金額は、補助対象設備の設置または改修に要する経費の2分の1で、上限は30万円です。

市内に本社、本店がある工務店等が建築・施工をすること、市税の滞納をしていないことなどが条件になっています。国の補助金との併用も可能。

東京都

東京都では、太陽光発電システムや蓄電池に対して補助金が受けられます。補助金額は以下のとおりです。

【太陽光発電システム】

新築住宅:3kW以下の場合12万円/kW(上限36万円)、3kWを超える場合10万円/kW(50kW未満)※3kWを超え3.6kW未満の場合 一律36万円

既存住宅:3kW以下の場合15万円/kW(上限45万円)、3kWを超える場合12万円/kW((50kW未満)※3kWを超え3.75kW未満の場合 一律45万円

【蓄電池】

蓄電池においては、機器費の1/2が助成されます。上限額は太陽光発電と同時に設置した場合と蓄電池のみを設置した場合で異なり、以下のとおりです。

   <太陽光(4kW以上)と蓄電池を併せて設置する場合>

以下のうちいずれか小さい額(最大1,000万円)

(a)蓄電池容量:10万円/kWh(100kWh未満)

(b)太陽光発電設備容量:20万円/kW

<太陽光(4kW未満)と蓄電池を併せて設置した場合、または蓄電池のみ設置の場合>

10万円/kWh(最大80万円/戸)

愛知県名古屋市

愛知県名古屋市には、以下のような補助金制度があります。

太陽光/蓄電/HEMS同時に導入

市内の既存住宅に太陽光発電設備・蓄電システム・HEMSを同時に導入する場合は、補助金が出ます。補助金の額は以下のとおりです。

【太陽光発電システム】

  • 築10年以上の戸建住宅の場合1kwあたり30,000円、上限6.5kw
  • 築10年以下の戸建住宅の場合1kwあたり20,000円、上限6.5kw
  • 集合住宅の場合1kwあたり25,000円、上限9.99kw

【蓄電システム】

1kwhあたり15,000円、上限6kwh

【HEMS】

1件に対して10,000円

ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)

市内に新築するときや戸建て住宅を購入するとき、その住宅が国のZEH補助を受けられるものの場合は、名古屋市からも補助金が出ます。また、蓄電システムを同時導入することにより、蓄電システムに対しても補助金が受け取れます。

  • ZEH新築住宅1件につき10万円
  • ZEH+新築住宅1件につき20万円
  • ZEH・ZEH+と蓄電システムの同時導入で1件につき9万円

国のZEH支援事業と併用も可能ですが、申請上の注意点もあるので詳しくは名古屋市のHPをご確認ください。

V2H充放電設備

市内の住宅・事業所にV2H充放電設備を新たに設置するか、または設置されている新築住宅の購入で1件につき5万円の補助金が出ます。

条件はいくつかありますが、最も重要なのは、V2H充放電設備を設置する場所に太陽光発電設備が設置されていることです。既存の太陽光発電設備がない場合でも、V2H充放電設備設置工事と同時に設置すれば、この補助金の対象になります。

太陽光発電や蓄電池の補助金をもらう流れ

ここからは、太陽光や蓄電池に関する補助金の申請方法の流れを解説していきます。

ZEH補助金の申請方法

ZEH補助金の申請はZEHプランナー(ハウスメーカーやリフォーム業者)が行うのが一般的ですが、申請の流れを把握しておきましょう。

1:ハウスメーカー探し

ZEH補助金を申請するには、SII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)に登録されたハウスメーカーに設計や建築を依頼する必要があります。ZEH住宅の実績や性能などを複数社比較した上で、利用するハウスメーカーを選びましょう。

2:設計・補助金を申請する

依頼するハウスメーカーが決まったら、住宅の設計などの打ち合わせを行います。設計や費用の詳細が決まり、「工事請負契約」を交わしたら、業者にZEH補助金の申請を依頼します。補助金は建物の着工前に申請する必要があるため、順番には要注意です。

3:交付決定通知書が発行される

ZEH補助金を受け取るには、申請をして交付が確定してから着工するのが順序です。審査に通り次第、交付決定通知書が決定され、着工します。

4:実績報告書を提出

工事終了後に住宅の引き渡しを受け、建築費の支払いがすべて済んだらZEH事業が完了です。完了後、業者が実績報告書をSII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)に提出します。

5:補助金の入金

補助金の入金は、引き渡しから2ヵ月〜半年ほどかかる場合が多いようです。申し込みが多い場合や書類に不備がある場合は、振込までに時間がかかることもあります。

自治体の補助金申請方法

次に、自治体の補助金申請方法の流れを解説します。申請方法は自治体によって異なるため、詳細は自治体のHPや担当窓口に確認してください。

1:必要書類を受け取り提出

地方自治体の補助金の申請は、業者経由ではなく個人で行う必要があります。自治体によって申請条件や期限などは異なるものの、ほとんどの自治体で着工前の申請が求められます。あらかじめ確認しておきましょう。

書類の提出方法は、郵送・窓口・オンラインなど自治体によって様々です。

2:交付決定通知を待つ

必要書類を提出してから、およそ1〜2ヵ月で補助金の交付決定通知書が発行されます。交付決定通知書が発行されるまでは工事を始められないので、状況によっては着工が遅れるケースがあることを理解しておきましょう。

3:工事着工・報告書の提出

交付決定通知を受けてから工事を始めます。工事が終わったら、契約書や領収書、工事完了後の写真などの報告書を自治体に提出します。提出期限が工事終了後1ヵ月以内など、自治体によっては期限も定められているため確認しておきましょう。

4:補助金の入金

報告書を提出した後、2〜8ヵ月程度で補助金が入金されます。書類に不備などがなく、スムーズに申請が進めば1〜2ヵ月程度で入金されることもあるでしょう。

太陽光発電や蓄電池の補助金をもらうためのポイント

最後に、太陽光発電や蓄電池の補助金を確実に受け取るためのポイントを解説します。

受付開始から行動できるようにする

太陽光発電や蓄電池の補助金は、年度ごとに予算が組まれており、先着順で受付が終了します。受付開始後すぐに申請が終了してしまうこともあるため、早めの申請がおすすめです。

必要書類をすぐに提出できるよう、受付開始前から準備をしておきましょう。申請書類自体は毎年変更があるわけではないため、前年の情報を元に必要な書類をチェックしておくのも有効です。

業者と打ち合わせしておく

補助金を申請するときは、あらかじめ業者と打ち合わせをしておくことが大切です。特に自治体の補助金の場合、地域の業者で施工することが条件として定められていることもあり、工事の予約が殺到してしまうこともあります。

必要書類についても、業者に依頼すれば作成してくれるので相談をしながら進めていきましょう。

申請条件を確認しておく

自治体が実施している補助金については、「市内の住宅であること」など自治体ごとに独自の申請条件があるため、しっかり確認しておきましょう。

また、国が行っている補助金同士は併用できませんが、国と自治体の補助金は併用可能です。国と自治体の補助金を併用する場合は、どちらの申請条件も満たす必要があります。補助金を併用できれば費用の負担がかなり減るため、もらい漏れのないよう申請条件を確認しておきましょう。

まとめ

今回は、太陽光発電システムや蓄電池に関する補助金について解説しました。補助金を利用するには様々な条件が必要で、申請にも期限があるため早め早めに行動していきましょう。補助金は業者と協力して申請を進めていくため、信頼できる業者選びも大切です。

太陽光発電や蓄電池、補助金など家づくりに関してお悩みの方は、展示場のモデルハウスへご相談ください。

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