建築・間取り

勉強が楽しくなる!リビング学習のための〈スタディスペース〉の作り方

執筆者
出口 恵

お子さんが小学生になると、多くのパパやママが頭を悩ませる“宿題”のこと。最近はリビングやダイニングで宿題をする「リビング学習」を取り入れるご家庭が増えています。効果的だと言われる「リビング学習」ですが、実はさまざまな課題もあるようで…。今回は、これから家づくりをするみなさんだから実現できる!宿題がはかどって勉強が楽しくなる〈スタディスペース〉の作り方について一緒に考えていきましょう。

リビング学習のメリット・デメリット

【メリット】
○家族が近くにいるため安心できる
○分からないことがあればすぐに質問できる
○パパ・ママも、お子さんの学習の進み具合や理解度を知ることができる

小学生のうちは、本読みや計算カードなど、パパやママが関わらなければいけない宿題も多いです。リビングにスタディスペースがあれば、家事をしながらお子さんの様子を見て、必要ならすぐにサポートをしてあげることができますね。最近の小学生はとても忙しいです。学童や習い事、お友だちとの約束などで、平日は家族と過ごす時間も限られてきます。リビング学習は、宿題を通して親子が〈コミュニケーション〉をとることができる、絶好の機会でもあります。

ところが実際は、リビング学習が〈パパやママの小言、親子ゲンカの原因〉になってしまっているケースも多いようです。

【デメリット】
○リビングが散らかる
○あそびやテレビなどの誘惑が多い

リビング学習をしていると、自然とお子さんの物がそこに集まってきます。ランドセル、教科書、ノート、筆記具、持ち帰ったプリントや図工の作品、なぜか勉強にまったく関係のない物まで…。いつの間にか宿題をするスペースがないくらい、物であふれてしまう!というお悩みは多いです。

そしてリビングは家族がくつろぐ場所なので、必ずしも集中できる環境ではありません。特に下に兄弟がいるご家庭では、お兄ちゃんお姉ちゃんが宿題をしているそばで、下の子がわいわいあそんだり、テレビを見たり。気づけば上の子も一緒になってあそんでいる…というのはよくある話です。

スタディスペース作りの3つのポイント

このようなデメリットを解決し、楽しく、スムーズに宿題ができる場所にするためには、どのような工夫が必要なのでしょうか?3つのポイントをご紹介します。

ポイント①スタディスペースは収納とセットで考える

スタディスペースの近くには、収納を十分に確保することをおすすめします。教科書・ノート・筆記具など、宿題や翌日の準備に必要な物が一箇所にまとまっていると、お子さんにとって使い勝手のよい収納になります。

それに加えて、お子さんのあそびや趣味の物をしまう場所も、近くに用意してあげるとよいと思います。「勉強に関係のない物は置かない!」と取り除いてしまうより、それらをきちんとしまう環境を整えてあげる方が、宿題中に気が散ってしまうことを防ぐのに、実は効果的。そしてスタディスペースが、お子さんにとって愛着のある、お気に入りの場所になるでしょう。

学用品はすぐ手の届く場所に、あそびや趣味の物は下の引き出しにというように、上手くすみわけができたらよいですね。

[クレバリーホーム Vシリーズ(静岡東展示場)]

一方で、スタディスペース自体は、それほどの広さは必要ありません。B5の書き取り帳と、お手本を広げられるくらいのスペースがあれば十分です。そのため、ダイニング横などにちょっとした作業スペースを設けて、そこをスタディスペースとして使用するご家庭も多いです。こちらのタイプなら、お子さんの学習以外にも、パパやママのリモートワークや趣味のスペースとして、長く活用することができますね。

[静鉄ホームズ 明日*家 LeSel(藤枝展示場)]

ポイント②帰宅から宿題にとりかかるまでの動線を意識する

「家事動線」と同じように「子ども動線」という考えが広がっています。帰宅後の理想的な流れは次のようなもの。

[帰宅]→[ランドセルを置く/上着や帽子をしまう]→[手洗いうがい]→[ランドセルの中身を取り出す(給食セットは洗面所に、箸や水筒はキッチンに、プリント類は所定の場所に)]→[宿題にとりかかる]

これらをお子さんが負担なく行えると、自分のことを自分でする習慣がつき、宿題にもスムーズにとりかかることができます。スタディスペースをどこに作るかを考える際には、ぜひこの動線を意識してみてください。先日のコラム「ファミリークローゼットで家事や子育てをもっと快適に!(https://www.sbs-mhc.co.jp/column/equipment/210102/)」では、ファミリークローゼットを活用した子ども動線についてご紹介しています。どうぞ参考に。

ポイント③家族が一緒に机に向かえる環境を

下に兄弟がいるご家庭では、「お兄ちゃん・お姉ちゃんが宿題をしている間はテレビをつけない」などのルールを決めると、集中しやすい環境となります。でも、「○○しない」という決まりごとより、「宿題の時間は、○○をしよう!」と誘ってあげる方が、家族にとって有意義な時間になるかもしれません。下の子は、お兄ちゃんお姉ちゃんの真似をしたいもの。お絵描きや幼児向けのドリルなどを用意して、宿題気分が味わえるようにするのも一つの方法です。

休日の宿題時間は、パパやママもダイニングテーブルで読書をしたり、趣味のことをしたりできたらよいですね。それぞれ違うことをしていても、家族みんなが机に向かっている一体感。お子さんにとって「宿題=家族と過ごす時間」になることで、学習に対して楽しいイメージを育むことができます。

[へーベルハウス FREX 3階建 ~スカイコテージのある家~(浜松展示場)]

こんなところにも!スタディスペース実例

さて、スタディスペースにはちょっと意外な場所を活用する方法もあります。

[へーベルハウス そらのま+(浜松展示場)]

上写真は、キッチンのすぐ横に半個室のスタディスペースを設けたスタイル。収納棚でゆるやかに空間を区切ることで、リビングにいる家族の気配を感じながらも、適度な距離を取ることができます。

[セキスイハイム東海 三島グランツーユー(三島展示場)]

こちらは、キッチンから洗面所に続く動線上にあるパントリー。そこにスタディスペースが作られています。キッチンからは目が届きますが、リビングからは見えにくい位置にあるため、多少散らかっていても気になりません。

[福工房 浜松モデル(浜松展示場)]

続いては、階段下のスペースを活用したスタイル。ダイニング横などに十分なスペースをとることができない場合も、このようにちょっとした空間を使って、スタディスペースを作ることができます。

[タマホーム 大安心の家(富士展示場)]

最後は、階段を上がった2階のホール部分にスタディスペースを設けたスタイル。パパやママの目が届きにくいので、毎日の宿題には適さないかもしれません。しかし、今後広がっていくことが予想されるオンライン学習やテレワークのために、家族みんなで使えるスタディスペース・ワークスペースの一つとして、このような空間を用意しておくのもよいかと思います。

まとめ

リビングでの学習が中心になるのは、多くの場合、小学校低学年〜中学年まで。期間にすれば数年ですが、この時期は勉強が好きになるか、苦手意識をもってしまうか、その後の学習に大きな影響を与えます。今回の内容を参考に、ぜひ、お子さんが自然と机に向かいたくなるようなスタディスペースを作ってあげてください。そして宿題が、忙しい毎日の中での、親子のコミュニケーション時間となることが理想的ですね。

SBSマイホームセンターには、ここで紹介した以外にもさまざまなスタディスペースを提案したモデルハウスがあります。スタディスペースそのものだけでなく、そこまでの動線や、キッチンやリビングからどう見えるかなどを体感できるのはモデルハウスならでは。ぜひ実際に足を運んで、たくさんの実例を見て、わが家にぴったりのスタディスペースを探してみてください。