木内菜穂子
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
完成見学会ではどこを見るべきか、押さえるポイントを紹介します。完成見学会ではこれから住宅を建てたいと考える方にとって、家づくりのヒントになる有益な情報がたくさんあるので参考にしてください。
完成見学会とは、入居する前の新築の住宅を見学できるイベントのことです。家づくりのヒントが随所に盛り込まれており、これから住宅を建てる予定の人にとって参考になるものです。
完成見学会には、次のようなメリットがあります。
- 建てる家のイメージがわく
- 実際の費用感をイメージしやすい
- オーナーのこだわりやアイディアを知ることができる
- 施工会社の担当者に直接質問することができる
ただし、漠然と見学するだけでは、肝心なポイントを見落としてしまう可能性があります。
本記事では、完成見学会で押さえるポイントについて紹介します。
完成見学会でどこを見るべき?7つのチェックポイント
完成見学会には、冒頭でご紹介したようなさまざまなメリットがあります。それらを十分に受けるために、完成見学会で見るべき7つのチェックポイントを解説します。
1.まずは基本情報をチェック
完成見学会に参加した際は、以下のような基本情報を確認することから始めると良いでしょう。
敷地・建物の面積
敷地や建物の面積を確認すると、実際のサイズ感を確認でき、部屋やスペースの利用方法をイメージしやすくなります。建物以外にも、どれくらいの駐車スペースが必要か、これくらいの面積の庭だとこういったデザインができるのかといった参考にもなります。
完成見学会の事前情報や現地にいるスタッフに、基本情報は忘れずに確認しましょう。
家族構成と間取り
家族構成に合わせて、どのような間取りになっているのか確認します。家族構成が似ているオーナーの住宅であれば、特に参考になります。
住宅を建築する際には、図面を用いて建築会社と打ち合わせるのが一般的です。しかし、図面だけではイメージがしづらいことが多いため、実際の注文住宅で確認することはとても大切です。
建物の性能
建物の性能は、見ただけではわからないため現地のスタッフに確認する必要があります。特に、耐震性能・気密性能・省エネ性能は忘れずに確認しましょう。
具体的には、以下の3つの等級・値の確認をします。
- 耐震等級:地震に対する住宅の強さを示す。1〜3等級があり、3が最も耐震性が高い。
- C値:住宅の気密性能を示すもの。値が小さいほど気密性がある。
- UA値:住宅の断熱性能を示すもの。値が小さいほど断熱性能が高い。
これらの性能は、安全性や快適性、経済性を大きく左右するため、実際に住宅を建てるうえで重要なチェックポイントとなります。
2.生活動線を過ごしやすさの参考にする
完成見学会では、オーナーの希望が反映された生活動線を確認します。生活動線は、日々の生活の快適さにつながるため、自分がその家に住んだ場合にどのような生活動線になるか想像しながら見学しましょう。
見学する中で、自分たちの家づくりの参考になる部分や、反対に違和感を覚えるところが見えてくるでしょう。
リビングやバスルームなどへの「生活動線」や、炊事・洗濯などの「家事動線」、来客の際の「来客動線」などを意識して、なぜそのような動線になったのかを確認することをおすすめします。
3.採光と風通しも忘れずに確認
光がどれくらい入るのか、また、風通しの良さなども確認しましょう。日中の家の中の明るさや、窓を開けたときに心地よい風が吹き抜けるかどうかは、快適な生活に欠かせないものです。
採光は太陽の位置にも左右されるため、光の入り方に合わせて窓を設置するのも重要です。また、隣家や道路からプライバシーを守れるような位置に設置する必要もあります。
完成見学会では、光の入り方やプライバシーの守り方も実際に確認できるため、住宅設計の参考になります。
4.オプション仕様の有無
完成見学会の住宅が、どこまでが標準仕様で、どこからがオプション仕様なのか、細かく確認しましょう。見学した住宅が気に入ったとしても、オプション仕様ばかりだと、同様な住宅を目指すと予算を上回った高額な見積もりになってしまう可能性があるためです。
標準仕様は、建築会社やハウスメーカーなどにより異なるため、範囲を確認することが大切です。そのうえで、オプションの優先順位を付けて、予算を考慮しながら検討しましょう。
5.価格は比較検討に欠かせないポイント
住宅を建築する際に確認したいことのひとつに、価格があります。完成見学会では価格が非公開のことがありますが、おおよその価格は教えてもらえる可能性があります。
価格を確認する際は、住宅の「本体価格」と「付帯工事費」に分けて確認しましょう。
- 本体価格:建物・土地のみの価格
- 付帯工事費:地盤調査・改良工事費、給排水工事、外構工事など本体価格以外の費用
これらを知ることで、自分が建てる住宅の費用を見積もりやすくなります。また、建築会社の坪単価の目安を把握できるため、他のハウスメーカーとの比較検討が可能です。
6.仕上がりの良さはハウスメーカー選びの参考になる
完成見学会は、建築会社やハウスメーカーなどの施工能力を確認できる良い機会です。住宅の仕上がりを確認することで、建設に関わる業者の技術力や、建設会社やハウスメーカーの住宅に対する意気込み・対応などが確認できます。
特に、部材の接合部や内装の仕上げなど、細部にわたって丁寧な造りになっていれば、施工能力が高いと判断できるでしょう。
7.スタッフの雰囲気も大切なポイント
完成見学会では、現地スタッフの様子もチェックしましょう。来場者からの質問に対し、スタッフがどのように答えているか、十分な知識があるかどうか、真摯に対応しているかなどを観察します。
住宅を建てる際には、何度も建築会社やハウスメーカーなどの担当者と打ち合わせを行うため、相性は重要なポイントです。信頼できる建設会社などを選ぶことは、満足度の高い家づくりに大きく関わります。
完成見学会に役立つ持ち物
完成見学会に参加する際に、持っていくと役立つアイテムをご紹介します。
これらをすべて使えるかどうかは、完成見学会にもよりますが、準備しておく方がよいものとしてご紹介しました。後述する完成見学会に参加するマナーと合わせてチェックしておきましょう。
完成見学会に参加する際のマナー
完成見学会に参加する際には、以下のマナーを守りましょう。
- トイレを済ませてから見学する
- 撮影が可能か確認をする
- 用意されたスリッパ・手袋を身につける
- 靴下を履いていくか持参する
- 家を傷つけたり汚したりしないよう注意する
- 飲食は禁止
- 小さな子どもが走り回らないようにする
- 見学予約をする
完成見学会では家の水回りは使用不可のため、トイレを済ませてから来場しましょう。
カメラで撮影したい場合は、撮影禁止の場合もあるため、撮影可能かどうかを現地スタッフに確認してください。また、メジャーでサイズを測る際も、スタッフに確認をとったうえで、家を傷をつけないように丁寧に行いましょう。
また、見学会によっては予約不要な見学会もあるので、予約の要不要を確認してください。
住宅見学にはモデルハウスもおすすめ
一戸建ての住宅を見学する方法として、完成見学会のほかにモデルハウス見学もおすすめです。モデルハウス見学は、ハウスメーカーや建設会社などが、自社商品の販売促進やPRを目的として建設した展示用の住宅を見学するものです。
モデルハウス見学には以下のメリットがあります。
- 各ハウスメーカーや建設会社の特徴や強みを知ることができる
- 比較的ゆっくりと見学時間をとることができる
完成見学会では、実際に住む方のライフスタイルに合った間取りや内装を知ることができる一方、モデルハウス見学では、特にハウスメーカーの特徴や強みといった魅力を知ることが可能です。モデルハウス見学は、気になるハウスメーカーがある場合や会社独自の魅力を知りたい場合におすすめです。
また、完成見学会では次々と見学客がくると、満足に質問や相談をする時間を十分にとれない可能性もあるでしょう。モデルハウス見学の場合は、見学時間の上限を設けていない場合が多く、比較的ゆっくりと見学時間をとることが可能です。
まとめ
完成見学会では、実物の住宅を体感することで、理想の暮らしのイメージを具体的に膨らませることが可能です。理想の住まいを実現するためのヒントが見つけられるかもしれません。
完成見学会は、施工会社の技術力や担当者の人柄も確かめられる良い機会でもあります。基本事項を確認したうえで、生活動線や価格の目安、標準仕様とオプションの区別など、押さえたいポイントはいくつもあります。
本記事を参考にして、納得のいく住宅づくりを目指してください。