建築・間取り

これを知っておけばOK!外壁の種類別メリット・デメリット

執筆者
出口 恵

外壁は、家の印象を大きく左右します。でもじつは見た目だけではなく、防水や耐震・耐火・断熱性といった住まいの性能や、建物の寿命そのものに直結していることを忘れてはいけません。そこで今回は、現在、日本国内で主に使われている5つの外壁材をわかりやすく解説します。聞き慣れないワードの多い外壁材ですが、最低限これを知っておけば大丈夫!理想の家づくりを実現するための外壁えらびが、グッとスムーズになります。

サイディング

 [ミサワホーム静岡 GENIUS 蔵のある家 静岡展示場] 

[遠鉄ホーム ブライト 浜松展示場] 

「サイディング」とは外壁に貼る仕上げ用の板材の総称で、現在、日本でもっとも多く使用されている外壁材です。原料によって、窯業系・金属系・木質系・樹脂系などに分類されます。どのサイディングにも共通する特徴は、

・工場で生産するため、品質が安定している
・施工が簡単なため、工期が短く施工費も抑えられる

 という点です。

ここでは、日本国内でもっともよく使われている「窯業系」と、最近人気の「金属系」をご紹介します。

窯業系サイディング

窯業(ようぎょう)系サイディングとは?

セメントに繊維質などを混ぜて高温・高圧で成型したもの。現在、日本で使用されている外壁材の約80%がこの「窯業系サイディング」です。レンガ調・タイル調・石目調など、色・デザインのバリエーションが豊富で、さらに性能面でも、耐火性・遮音性にすぐれているという特徴があります。

一方で、窯業系サイディング自体には防水機能がないため、こまめな塗装が必要になります。また、ボードとボードとをつなぐシーリング(またはコーキング)と呼ばれる継ぎ目の劣化が早いことも注意点です。そのため、7~8年周期での定期的なメンテナンスが必要となります。 

窯業(ようぎょう)系サイディングのメリット・デメリット

 ▼メリット
・色、デザインのバリエーションが豊富
・耐火性、遮音性に優れている

 ▼デメリット
・メンテナンス周期が短い

金属系サイディング

金属系サイディングとは?

ガルバリウム鋼鈑などの金属板に、断熱材を貼り合わせて作られる外壁材。軽量のため、建物への負担が少なく地震に強いことや、断熱性に優れていること、ひび割れや凍害の心配がないのが特徴です。一方で、物が当たったときに傷つきやすいというデメリットがあります。

費用面では、窯業系サイディングよりはやや高価ですが、メンテナンスサイクルは1015年と長めです。

金属系サイディングのメリット・デメリット

 ▼メリット
・軽量で地震に強い
・断熱性に優れている
・ひび割れ、凍害の心配なし

 ▼デメリット
・傷がつきやすい

モルタル(塗り壁)

 [住友林業 BF-si 静岡展示場]

[静鉄ホームズ 明日*家 LeSel 藤枝展示場] 

モルタル外壁(塗り壁)とは?

モルタルとは、砂とセメントと水を混ぜ合わせたもの。ラスと呼ばれる金網の上からモルタルをコテで塗って、仕上げ材を塗り付けていくのが一般的な手法です。火に強いのが特徴で、サイディングが普及する前の1980年代までは、日本の住宅における外壁の大半がモルタルでした。

職人の手によって施工するため、デザインの自由度が高く、味わい深い表情に仕上げることができます。また、サイディングのようなつなぎ目がないため、シーリングの劣化を気にする必要がありません。

一方で、乾燥すると縮むというモルタルの性質上、表面にひび割れが生じやすいのがデメリットです。また、職人の技術力によって、仕上がりの美しさや耐久性に差が出てしまうこともあります。

モルタル外壁のメリット・デメリット

 ▼メリット
・耐火性に優れている
・デザインの自由度が高い
・つなぎ目がない

▼デメリット
・ひび割れしやすい
・職人の技術力によって仕上がりに差が出る 

タイル

 [セキスイハイム東海 パルフェ 袋井展示場] 

[桧家住宅 東海支社 スマート・ワン 富士展示場] 

タイル外壁とは?

石や土、粘土を約1,250度の高温で焼き固めたもの。タイルの一番の特徴は、他の素材にはない高級感や重厚感です。色あせがしにくいため、美観を長く保つことができます。さらには非常に硬い性質のため、傷がつきにくい、吸水をほとんどしないなど、耐久性もバツグンです。施工をしっかり行えば地震で剥がれる心配もありません。

デメリットは初期費用が高いことで、一般的なサイディング外壁の2倍ほどするといわれています。しかし優れた耐久性のため、長期的なメンテナンスコストは抑えることができます。

タイル外壁のメリット・デメリット

 ▼メリット
・高級感、重厚感
・耐久性に優れている
・メンテナンス費用が抑えられる

▼デメリット
・初期費用が高い

ALC

 [ヘーベルハウス そらのまFREX 藤枝展示場] 

[ユニバーサルホーム浜松東店 マーチェ テラスエディション 浜松展示場] 

ALC外壁とは?

ALCAutoclaved Lightweight aerated Concrete)とは「軽量気泡コンクリート」とも呼ばれるコンクリートの1種。内部に細かな気泡がたくさん入っているため、重さは通常のコンクリートの約1/4と軽いのが特徴です。ひび割れや反りの原因となる有機物が含まれていないため耐久性が非常に高く、定期的なメンテナンスを行えば耐用年数は50年を超えるといわれています。

さらには、耐震・耐火・断熱・遮音などの機能性にも優れているため、住宅以外にも高層ビルやマンションまで幅広く使われています。

一方で性能がよい分、初期費用は高い傾向にあり、一般的なサイディング外壁と比べると34倍ほどかかります。また、水を吸いやすいため防水性の高い仕上げが必要なことや、パネルが小さめに設計されているためにつなぎ目が多いというデメリットがあります。

ALC外壁のメリット・デメリット

 ▼メリット
・耐久性に優れている
・軽量で地震に強い
・耐火、断熱、遮音などの多機能性

▼デメリット
・初期費用が高い
・防水性が低い
・つなぎ目が多い

外壁材えらびのポイントまとめ

・見た目
・耐久性
・防水性
・耐震、耐火、断熱、遮音などの機能性
・施工の手軽さ
・初期費用
・メンテナンス周期、費用

このように外壁材は、見た目の印象はもちろん、快適な暮らしのために必要な住まいの性能や、建物の寿命そのものに大きく影響します。また、気になる費用については、外壁材や施工費などの初期費用だけでなく、長期にわたるメンテナンスコストを考えなければいけないことも特筆すべき点です。住宅会社によって採用している素材や、得意とする種類にちがいがあるので、「何を優先して外壁材をえらぶか?」を決めておくことは、住宅会社えらびの参考にもなります。

SBSマイホームセンターのサイト内の「モデルハウス検索(https://www.sbs-mhc.co.jp/search.php)」では、外壁材の種類によって絞り込み検索が可能です。さらに「イメージから探す」という機能をつかって「写真カテゴリ:外観」を選択すれば、約200棟ものモデルハウスの外観を一覧で見ることもできます。ぜひたくさんの実例の中から、あなたの理想の外壁を探してみてくださいね。