スマートホームは毎日の生活を便利にお得にするものですが、気を付けるべき点もあります。スマートホームの詳しい内容やメリット・デメリット、おすすめのデバイスなどを解説します。
スマートホームはIoTやAIの技術により家電製品や住宅設備を一括管理でき、エネルギーの節約やセキュリティ対策などにも役立つ新しい技術として注目を浴びています。
しかし、スマートホームにはデメリットや注意点もあるため、検討する際には十分に理解しておくことが大切です。
この記事では、スマートホームとはどういったものなのか、概要やメリット・デメリット、おすすめのデバイスなどを解説していきます。
<目次>
スマートホームとはどんな家?
スマートホームとは、IoTやAI技術を活用して、利便性の高い快適な生活を実現する住宅のことです。家電製品や住宅設備をインターネットに接続することで、音声やスマートフォン、タブレットなどでコントロールできるようになります。
例えば「温度を上げて」「電気を消して」などIoTデバイスに話しかけると、エアコンや照明などの家電を操作できます。
家電製品や住宅設備をまとめてコントロールできるため、管理の簡素化・効率化に繋がります。また、遠隔操作で室内の様子がカメラで確認ができるなど、セキュリティ対策が取りやすいなどのメリットもあります。
スマートホームと似た言葉の違い
スマートホームと似た言葉に、「スマートハウス」や「IoT住宅」があります。スマートホームとどのような違いがあるのか解説していきます。
スマートハウスとの違い
スマートハウスとは、IT技術を駆使して電化製品をコントロールし、エネルギー消費を最適化する住宅のことです。HEMS(Home Energy Management System)と呼ばれるシステムで、家庭内のエネルギーを適切に調節し管理します。エネルギーを有効利用する3つの取り組みには以下のようなものがあります。
- 創エネ:太陽光発電システムなどを使用し家庭内でエネルギーを創る
- 蓄エネ:家庭用蓄電池や電気自動車(EV)などにエネルギーを蓄える
- 省エネ:高効率給湯器やLED照明などの省エネ設備を導入する
スマートホームがITツールを活用する暮らしで、主に利便性に重きを置いているのに対し、スマートハウスは家の状態を指すもので、主に節約やエコを重視しています。
もっとも、1990年代のインターネットの急速な普及により、スマートホームの機能がスマートハウスに融合したことで、近年では、両者はほぼ同じものと考えられています。
IoT住宅との違い
IoT住宅とは、スマートフォンやパソコンをはじめとした家庭内の中のあらゆるものがインターネットにつながり、快適で利便性の高い生活を送れるような住宅のことです。AIや5Gなどの技術の開発・進歩により飛躍的に普及しています。
スマートハウスとIoT住宅は共通する部分が多く、近年融合しつつあります。
今後、住宅のIoT化が進めば、エアコンがインターネットから取り込んだ天気予報をもとに自動で温度や湿度を調整したり、手首や腕などに付けて健康を管理する「ウェアラブル機器」が、緊急の際に医療機関に連絡をしたりできるようになると予測されます。
スマートホームのメリット・できること
スマートホームでは、家電操作の一元化や外出先からの家電操作、節電・省エネ効果などさまざまなメリットがあります。スマートホームの魅力を詳しく確認していきましょう。
家電の操作が一元化できる
スマートホームでは、スマートフォンやタブレットなどで家電の操作を一元化することが可能です。通常、家電には一つひとつリモコンが付いており、それぞれのリモコンを使い分けなければなりません。
しかし、スマートフォンやタブレットなどの端末で一括操作できるため、リモコンを使い分ける手間や置き場所を確保をする必要もなくなります。
料理や洗濯などの手が離せない作業中には、スマートスピーカーを通して家電を操作できるため、家事の効率化にも貢献するでしょう。
外出先から家電を操作できる
外出先から家電を遠隔操作できることも、メリットのひとつです。
例えば、外出した後に玄関のカギを締めたかどうか不安になったという経験を持っている方も多いでしょう。そのような場面でも、スマートホームならいつでも確認できるうえ、遠隔操作で施錠可能なので、セキュリティ面でも役立ちます。
ほかにも、スマートカメラを利用して、留守番中のこどもやペットの様子を確認することも可能です。このように利便性だけでなく安全性の点からもスマートホームはメリットがあるのです。
節電・省エネにつながる
前述の通り、スマートハウスの概念にはスマートホームの機能が内包されているため、こちらのメリットについても紹介します。
スマートハウスには、HEMSによって住宅内のエネルギー消費量をリアルタイムで把握し、最適化するための機能が搭載されています。そのため、電力やガスなどのエネルギーを自然に節約することができるのです。
省エネ機器の設置で電気の使用を抑えられる
スマートハウスでは、HEMSによるエネルギー使用状況の把握と、IoTによる自動制御機能を利用することの2つに加えて、省エネ機器を設置することで、電気の使用量を抑えることが可能になります。
省エネ機器にはさまざまな種類があります。
<省エネ機器の一例>
- エアコン
- テレビ
- LED照明
- 監視カメラ
- 洗濯機
- ロボット掃除機
こういった省エネ機器を利用し、HEMSやIoTの機能を合わせることで、消費エネルギーを抑えた効率的なエネルギー活用につながるでしょう。
電気代のコントロールにつながる
HEMSでは、スマートフォンやタブレットなどに電気の発電量と消費量が表示(見える化)されます。
可視化することで節電意識の向上に期待できるでしょう。中には、一定電力を使用した場合に通知を受けられる機能が搭載されている家電もあります。もし使いすぎてしまったという場合にも、こういったお知らせが来ることで節電に効果的です。
また、HEMSは家庭の状況に合わせてプログラミングすることでより便利に使うことができます。例えば、「室温が25度になったら冷房から送風に切り替える」「22時になったら消灯する」といったようにカスタマイズできます。使い方に合わせた節電対策をしましょう。
スマートホームのデメリット
スマートホームには、生活が便利になり節約効果も期待できるといったメリットがありますが、その反面デメリットもあります。スマートホームを検討する際には、デメリットについてもよく理解しておきましょう。
導入コストが高い
スマートホームの場合、複数のデバイスを購入する必要があるため、導入コストやメンテナンス費用が高くなることがデメリットです。
自治体によってはスマートホーム推進のために補助金を支給しているところもありますが、すべての金額をカバーできるわけではないため、経済的な負担が大きくなりがちです。
また、日本国内ではデバイス価格が高止まりしている点にも注意してください。アメリカなどスマートホームが普及している国と比較して、日本はまだまだ市場規模が大きいとはいえず、価格競争が起きにくいことが原因です。今後、スマートホームが普及するにつれ、導入しやすい価格帯になることが望まれますが、現状では導入コストは高めであると覚えておきましょう。
Wi-Fi環境の見直しが必要な場合がある
スマートホームを円滑に利用するためには、Wi-Fiなどのネットワーク環境の見直しが必要な場合があります。Wi-Fiの環境が整備されていないと、関連機器が適切に作動しない可能性があるためです。
各部屋に十分なWi-Fi電波が届いているか、最大接続台数を超えていないかを確認し、不足している場合はWi-Fiを増設する必要があるでしょう。
また、ネットワーク環境を見直す際には、接続台数だけでなく、セキュリティ対策もしておきましょう。
スマートホームにおすすめのデバイス
スマートホームに対応したデバイスがあると、より快適で便利な生活が実現します。中でもおすすめのデバイスを4つ紹介していきます。
スマートスピーカー
スマートスピーカーとは、インターネットに接続して、人の音声を認識したり対話型の音声操作ができたりする、AIアシスタントを搭載したワイヤレススピーカーのことです。AIスピーカーと呼ばれることもあります。
機器本体を操作したりスマートフォンやタブレットの画面をタッチしたりすることなく、音声だけで家電製品や住宅設備を操作できます。
年配の方や小さなお子さんのように、スマートフォンやタブレット操作に不慣れな方でも簡単に利用できるのが魅力です。
スマートリモコン
スマートリモコンとは、スマートフォンやスマートスピーカーから家電の操作ができるリモコンのことをいいます。エアコンや照明といった赤外線タイプのリモコンを専用アプリを通して一つに集約します。
赤外線通信に対応している家電製品であれば、製造元や発売時期に関わらずほとんどが対応可能です。現在使用している家電も、スマートフォンやタブレットで操作できるようになります。家電を買い替える必要がないため、費用を抑えてスマートホームを始めてみたい人におすすめです。
スマートロック
スマートロックとは、スマートフォンやタブレットなどの専用アプリを使って、ドアや玄関の解錠・施錠を管理するシステムのことをいいます。鍵がなくてもドアの開閉ができるため、鍵を鞄から出す必要がなくストレスフリーで出入りが可能です。
スマートロックには、オートロック機能が設定できるものがあります。ドアを閉めると自動的にロックされるため、鍵の閉め忘れといったトラブルを回避できるでしょう。便利さと、防犯・セキュリティ対策のどちらにも活用できます。
スマート電球
スマート電球とは、スマートフォンやタブレットから操作可能な照明や電球のことです。Wi-FiやBluetoothを通して専用アプリで遠隔操作ができたり、AIスピーカーで音声のみで操作できたりします。
照明のスイッチのオン・オフだけでなく、以下のような機能もあります。
- 調光:明るさの調節
- 調色:光の色合いの調節
- スピーカー機能:スマートフォンの音楽を内蔵スピーカーから再生する
- 音楽連動:音楽に連動して光が点滅・増光・減光する
シーンに合った雰囲気の照明や音で、自宅での時間をより満足感のあるものに変えられます。
スマートホームに活用できる補助金
自治体によっては、スマートハウス(スマートホーム)の導入促進のため、補助金制度を設けてられています。補助金を活用できれば、スマートハウスにかかる初期費用の負担が軽減されるでしょう。
ただし、補助金制度の対象者や申込期限などは自治体により異なるため、詳細はお住まいの自治体に確認してください。
ここでは一例として、三島市の「令和6年度スマートハウス設備導入費補助金」の概要を紹介します。
【予算額】 11,000,000円
※申請受付は先着順に行い、予算がなくなり次第終了。
【対象者】
1 自ら居住する戸建住宅(賃貸住宅は除く)に対象設備を設置する、または対象設備が設置されている新築戸建住宅を購入し、自ら居住する。
2 市町村税を滞納していない。
3 これまでに市から同種の対象設備に対する補助金の交付を受けたことがない。
【対象設備および補助金額と要件】
●住宅用太陽光発電システム(公称最大出力10キロワット未満の設備)
<補助金額>
公称最大出力値(キロワット表示し、小数点以下第2位未満は切り捨てる。)に10,000円を乗じて得た額(1,000円未満切り捨て)とし、その額は40,000円を上限とする。
家庭用リチウムイオン蓄電池システムとV2H充放電システムのいずれか、または両方と併せて設置する場合に限り補助対象
<要件>
住宅の屋根等に設置し、太陽光を利用して発電する公称最大出力10キロワット未満の設備であること。
※太陽電池モジュールまたはパワーコンディショナの出力のうち、いずれかが10キロワット未満のシステムであること。
●住宅用太陽熱利用システム
<補助金額> 上限25,000円
<要件>
住宅の屋根等に設置し、太陽熱集熱器および太陽蓄熱槽により構成され、給湯、冷暖房等に利用可能な設備であること。
●家庭用リチウムイオン蓄電池システム
<補助金額> 上限50,000円
<要件>
リチウムイオン蓄電池部と、インバータ、コンバータ、パワーコンディショナ等の電力交換装置とが一体的に構成された設備であること。
※電⼒会社の電⼒系統または太陽光発電システムから直接蓄電した電力を分電盤を通じて住宅の内部で用いるシステムであること。(系統連系型定置⽤リチウムイオン蓄電池)
●家庭用燃料電池システム
<補助金額> 上限50,000円
<要件>
燃料電池ユニットおよび貯湯ユニットから構成され、電気と熱の供給を主な目的とした設備であること。
※都市ガス・LPガスから取り出した水素を空気中の酸素と反応させて発電するシステムであること。
●V2H充放電システム
<補助金額> 上限50,000円
<要件>
電気自動車等に搭載された蓄電池の充電及び電気自動車等に搭載された蓄電池から住宅への電気の供給を目的とした設備であること。
補助金制度を設ける自治体では、まだ詳細が決定していないところもあるため、自治体からの公表をこまめに確認しましょう。
スマートホームで次世代の家づくりを
スマートホームを導入することで家電製品や住宅設備を一括操作できるようになり、便利に快適に過ごせるようになります。また、外出先からも家電製品などを操作できることや、節電や省エネ効果も期待できるといったメリットもあります。
しかし、Wi-Fiなどのネットワーク環境を見直す必要があることや、導入コストが高いといった点がデメリットです。
スマートホーム導入の際は、自治体の補助金制度の有無や詳細を確認し、少しでもコストを削減できるようにしましょう。