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住宅設備

2023年08月22日 (火)

今知っておくべき省エネ住宅の基礎知識

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出口 恵

2022年以降、物価高、とりわけ光熱費の高騰が私たちの暮らしに大きな影響を与えています。そのような中、エネルギーの消費を抑える省エネ住宅への注目が高まっています。一方で「なんとなく知ってはいるけれど、実際どんな住宅なのかよくわからない…」という方も多いのではないでしょうか。意外と知らない省エネ住宅の種類から、気になる補助金まで、わかりやすく解説します!

省エネ住宅とは?

省エネ住宅とは、冷暖房などをはじめとする家庭のエネルギー消費を抑えながら、年間を通して快適な暮らしを実現する住宅のことを指します。人にもお財布にも地球環境にも優しい家、それが省エネ住宅です。2025年には、戸建て住宅を含めた全建築物の「省エネ基準」への適合が義務化されます。

では「省エネ基準」とは、具体的にどんなものでしょうか? 住宅の省エネ性能は、外皮基準(屋根・外壁・窓などの断熱性能に関する基準)と一次エネルギー消費量基準(住宅で使うエネルギー消費量に関する基準)の2つで判定します。これをクリアするために必要な性能は以下の3つです。

断熱

断熱とは、家の中と外の熱の移動を少なくすることです。外の気温にともなって家の中が暑くなるのは、壁・床・屋根・窓を通して外から熱が移動してくるためです。断熱性能の高い住宅では、夏は外の熱が室内に入りにくくなり、冬は暖房で温められた空気を逃さず、外の冷気から室内を守り、快適な室温を保ちます。住宅の断熱性能はUA値(ユー・エー値)=外皮平均熱貫流率で表され、数値が小さいほど優れています。

日射遮蔽

日射とは、太陽が出す放射エネルギーのこと。熱の移動以外にも、この日射が室温を高める大きな原因となります。これを防ぐためには、日射を遮蔽することが必要です。日射遮蔽性能が高い住宅では、日射による室内温度の上昇が抑えられ、少ないエネルギー量で冷房を使用することができます。日射遮蔽性能は「ηAC値」(イータ・エー・シー値)=冷房期の平均日射熱取得率で表され、数値が小さいほど優れています。

気密

熱の移動は、隙間を通した空気の移動によっても起こります。部材同士の隙間を少なくし、空気の流れを抑えるのが気密対策です。ただし、気密だけを強化すると室内の空気環境が悪化しますので、必要な換気量を確保しつつ、過剰な空気の移動を減らすことが重要になります。住宅にどれくらいの隙間があるかを数値化したものがC値」(シー値)=隙間相当面積で、これが低いほど気密性の高い住宅といえます。

「UA値」「ηAC値」「C値」などの数値は、聞き慣れないため難しく感じるかもしれません。しかし、これらの数値の見方を知っておくことで、今後、住宅会社の省エネ性能を比較する際にも役立ちます。住宅会社の担当者から省エネ性能の説明を受ける際に、ぜひ「こういう数値があったな…」ということを思い出してくださいね。

 

省エネ住宅のメリット・デメリット

省エネ住宅にはさまざまなメリットがあります。ここでは、省エネ住宅の主なメリットを4つご紹介します。

【メリット1】光熱費が抑えられる

外気の影響を受けにくく、家中の室温をほぼ一定に保つため、エアコン・ファンヒーターなどの冷暖房費用を大幅に削減することができます。また、太陽光発電などの設備によって自然エネルギーを利用すれば、さらに光熱費を抑えることも可能です。

【メリット2】快適・健康的に暮らせる

家の中の温度差が少なくなるため、夏の熱中症、冬のヒートショックなどのリスクを減らすことができます。また、結露も発生しにくいため、カビ・ダニによる健康被害も防ぐことができます。

【メリット3】メンテナンス回数が減る

結露は健康被害だけでなく、湿気による建物の腐朽、カビ繁殖や、シロアリ被害の原因にもなります。結露が発生しにくい省エネ住宅ならば、このような住宅に対する影響を抑えることができ、修繕などのメンテナンスの頻度が格段に低くなります。

【メリット4】補助金や減税制度が活用できる

省エネ住宅を建てると、税制面でさまざまな優遇を受けられます。また、一定の条件を満たすことで、国や地方自治体が整備している補助金制度の利用が可能です。減税制度や補助金については、後ほど詳しくご紹介します。

一方で、デメリットはどのようなものでしょうか。

【デメリット1】初期費用が高い

省エネ住宅の建築にあたっては、断熱材やサッシ・設備なども高性能なものを使用します。そのため、素材費・施工費ともに一般住宅と比べると高額になりがちです。ただしメリットとしてご紹介した、光熱費やメンテナンス費用の削減、補助金・減税制度の利用などを加味した、長期的なコストで考えることをおすすめします。

【デメリット2】施工業者の見きわめが重要になる

省エネ基準をクリアするためには、高度な設計と施工が必要です。最近では多くの住宅会社・工務店が省エネ住宅を提案していますが、その性能には大きな差があります。自分たちが求める省エネ性能を実現してくれるのか?見きわめが重要でしょう。

省エネ住宅の種類

省エネ住宅には、さまざまな種類があります。ここでは、近年注目されている5つの省エネ住宅についてご紹介します。

1.ZEH住宅

ZEH(ゼッチ)は「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略称です。家庭で使用するエネルギー量を削減すると同時に、太陽光発電などで新たにエネルギーを創り出し、家のエネルギー収支をゼロ以下にする住まいです。

2025年に義務化される国の省エネ基準より高い等級が求められますが、2030年にはZEH基準が義務化される予定です。

2.LCCM住宅

LCCM住宅は「ライフ・サイクル・カーボン・マイナス住宅」の略称です。建設から解体まで含めた長期間で二酸化炭素の排出をマイナスにする住まいのことを言います。ZEHよりもさらに高い水準の省エネ住宅です。

3.長期優良住宅

長期優良住宅は、長期にわたって安心・快適に住み続けられる家を認定する制度です。省エネ性だけでなく、バリアフリー、耐震性、劣化対策などの基準もあります。2022年10月より基準が改訂され、ZEH基準と同等のレベルの省エネ性能が求められるようになりました。

4.低炭素住宅

低炭素住宅は、二酸化炭素の排出を減らすための仕組みや設備を導入した住宅のことです。低炭素住宅として認定されるためには、「都市の低炭素化の促進に関する法律」(エコまち法)で定められた基準を満たす必要があります。長期優良住宅と比較すると、省エネに特化した基準となっているのが特徴です。

5.スマートハウス

スマートハウスとは、HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)を用いて、使用電力を可視化することで、エネルギーを「スマート=賢く」使う住宅のことです。冷暖房などの家電を自動でコントロールしてくれるため、より効率的に光熱費を抑えることができます。省エネ性能だけでなく、利便性も高い住宅と言えるでしょう。

省エネ住宅の補助金・減税制度

省エネ住宅に対しては、さまざまな補助金制度や税制面での優遇が用意されています。2023年7月時点、新築・購入に対する主な補助金・減税制度には次のようなものがあります。

・こどもエコすまい支援事業

・ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス実証事業

・地域型住宅グリーン化事業

LCCM住宅整備推進事業

・住宅ローン控除

・住宅取得資金等の贈与税の軽減

・不動産取得税の軽減

・登録免許税の軽減

補助金・減税制度については、こちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

▶2023年の家づくりに活用できる補助金を紹介!新築住宅のお得情報
https://www.sbs-mhc.co.jp/column/system/230102/#2

また、自治体でも独自の補助金制度を設けているところがあり、静岡県にも「静岡県省エネ住宅新築等補助制度」があります。

▶令和5年度 省エネ住宅新築等補助制度(静岡県)
https://www.pref.shizuoka.jp/kurashikankyo/kenchiku/garden/1015901.html

まとめ|最新の省エネ住宅を見に行こう

SBSマイホームセンターでは、静岡県内9か所 (御殿場、三島、富士、静岡東、静岡、藤枝、掛川、袋井、浜松)の展示場に、住宅会社約50社、約170棟のモデルハウスを展示しています。その中には、各社こだわりの省エネ住宅を提案したモデルハウスが多数あります。

 今回の記事でご紹介した通り、省エネ住宅と一口に言っても、その種類や性能はさまざまです。ぜひ実際にモデルハウスに足を運び、最新の省エネ住宅を体感してください!

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