住宅設備

使いやすくて家事がはかどる!キッチン収納のポイント

執筆者
出口 恵

家づくりの中でもっともこだわりたいスペースの一つは、やはり「キッチン」ではないでしょうか。毎日の料理は大仕事!だからこそ、使い勝手がよくて、愛着のもてる場所にしたいですよね。今回は、キッチンの使いやすさを大きく左右する「収納」について詳しく解説していきます。よくある失敗から、人気のパントリーについてまで。理想のキッチンづくりのヒントがきっと見つかります!

家事動線と収納はセットで考える

前回のコラム「家事も育児もスムーズに!子育て世代のための家事動線⇒詳細はこちら」では、子育て世代ならではの家事・育児の困りごとや、それを解決するための動線づくりについてご紹介しました。動線というと、ある場所からある場所への移動をスムーズにするための間取りをイメージしやすいですが、じつはもう一つ重要なことがあります。

それは、必要な場所に、必要な収納をつくること。

そんなの当たり前!と思うかもしれませんが、実際に生活をはじめてから不便に気づくことの多いポイントです。例えば、キッチンと洗面をスムーズに行き来できる動線をつくり、「これで朝の忙しい時間も身支度がラクラク!」と思っても、メイク道具の置き場所が寝室だったら、結局はキッチン→寝室→洗面所をグルっと移動しなければいけませんよね。

スムーズな家事動線には、そこで使うものを適切に配置しておくための収納が欠かせません。この2つをセットで考えることで、本当に使いやすい間取りが見えてきます。

食器・調理器具は使う頻度と場所に合わせる

[林工住宅 レガリア エクセレント 静岡展示場] 

まずは、食器や調理器具・調理家電などの収納について。調理をスムーズに行えるかどうかに大きく関わってくるものなので、しっかりと定位置を決めておきたいですね。基本的な考え方は「使いたいときに、使いたいものがそこにある」ようにしておくこと。それだけで無駄な動きが減り、作業の効率がグッと上がります。

具体的には「使う場所ごとに」「使う頻度の高いものから」収納場所を決めていきましょう。例えば、コンロ下にはフライパンや鍋。調理スペース下には、菜箸やスライサー、ザル、ボウルなど。そして、足元の引き出しや床下収納のような、近くにあるけれど取り出すのに少し手間のかかる場所には、お菓子づくりの道具などの出番の少ない調理器具や、スポンジ、ゴミ袋など消耗品のストックをしまっておくのがおすすめです。

[サーラ住宅 Coco-air(ココエア) 浜松展示場]

また、最近主流の対面式キッチンの場合は、キッチン背面の壁全体に大きな「背面収納」をつくるのが一般的です。たっぷりな収納力と、振り返るだけの動作でたどり着けるという使い勝手のよさが人気ですが、スペースが広い分、どこに何を配置すべきか悩むこともあります。

その時には「よく使うものは目から腰の高さの範囲に置く」ことを意識するとよいでしょう。目から腰の高さは、人が自然と手をのばすことのできる範囲。そこに使用頻度の高いものがあれば、ストレスなく出し入れしたり、使ったりすることができます。

忘れていませんか?ゴミ箱の置き場所

[トヨタホームふじ シンセ・フィーラス 三島展示場] 

一日に何度も使うのに、意外と忘れがちなゴミ箱のこと。ゴミ箱の位置が適切でないと、家事動線は完璧なのに、ゴミを捨てるために離れた場所に行かなければいけない…。ゴミ箱が中途半端なところにあって、移動の邪魔になっている…。そんな困りごとが起こります。ゴミ箱を置くためにはある程度のスペースが必要なので、キッチンの設計の段階で、しっかりと置き場所を決めておきたいですね。

 ゴミ箱の設置場所としてよく使われるのは、以下の3つのスペースです。

 1)背面収納/カップボードの下

背面収納やカップボードの一部を、ゴミ箱専用のスペースとして確保します。使うときにだけ引き出し、それ以外は隠すことできるタイプもあるので、なるべくゴミ箱を見える場所に置きたくないという方にはおすすめです。ただし、出し入れできるタイプはゴミ箱の容量が小さくなりがちだったり、使う度に引き出すのが面倒だったりすることもあるので注意しましょう。

 2)キッチンのシンク下

シンク下は湿気がたまりやすいため、元々食材や調理器具などの収納には向かない場所。その活用方法として、ゴミ箱を設置するという方も多くいます。調理中に出たゴミをすぐに捨てられる点も魅力です。ただし湿度が高い分、においなどもこもりやすいので、清潔に保つためには抗菌や防臭に配慮が必要です。

 3)パントリーの中

パントリーとは、キッチン周りに設ける収納スペースのこと(パントリーについては次項で詳しく紹介します)。このパントリーを、ゴミ箱置き場として使用する方法もあります。ただし、ゴミが出る度にパントリーまで捨てに行くのは大変なので、キッチンに小さなゴミ箱を置いて、ある程度たまったらパントリーに移す。または、よく出る可燃ゴミやプラゴミのゴミ箱はキッチン近くに設置して、ペットボトルや不燃ゴミはパントリーで保管…など、使い分ける方法もあります。

いずれにしても、お住まいの地域が、どれくらいの頻度でゴミを回収してくれるのか、どのような分別が必要なのかによって、必要なゴミ箱の数や個数が変わってきます。ゴミ箱の設置を考える際には、まずはこれらを調べてみましょう。

パントリーの3つのタイプとメリット/デメリット

キッチン周りの収納に、パントリーを取り入れたいと考えているご家庭は多いでしょう。パントリーは、主に常温で保存できるお菓子や調味料、インスタント食品などをストックしておくための収納スペース。共働きや、小さなお子さんのいる世帯など、休日にまとめ買いをしたいご家庭にとっては、あるとうれしいスペースですね。また、日ごろから多めに食品や水を備蓄しておくことは、防災面でも大切です。

そんな人気のパントリーには、大きく分けて3つのタイプがあります。

 1)小部屋/ウォークインタイプ

ウォークインクローゼットや納戸のように、小さな部屋になっています。収納力が大きいため、食品や調理器具以外にも、園や学校からのプリント類や、趣味のものなど、ダイニング周りで散らかりがちなものを収納することもできます。一方で、小部屋タイプをつくるためにはある程度のスペースが必要なこと、調理中に何かを取りに行くためには多少の移動が必要になることがデメリットです。

 [アイジーホーム Moiの家 富士展示場]  

2)壁付け/クローゼットタイプ

壁面に取り付けるタイプのパントリー。キッチンの背面に設置することが多いので、調理中、必要なものをサッと取り出すことができるのがメリットです。また、スペース全体を見渡しやすいので、どこに何があるかの管理がラクなのも特徴です。一方で、小部屋タイプに比べると、収納力に劣る点がデメリットです。

 [桧家住宅 東海支社 静岡展示場]  

3)ウォークスルータイプ

通り抜けができる場所に設置する収納スペース。例えば、玄関からキッチンへの通路や、キッチンから洗面所への通路などに設置します。玄関からの動線上にあれば、買い物から帰宅してスムーズに収納できる。洗面所への動線上にあれば、洗面所の収納スペースとしても共用できるメリットがあります(洗剤などのにおいうつりには注意が必要)。ただし、通路というスペース上、扉のないオープンな収納とすることが多いため、生活感が出やすいのがデメリットです。

 [セキスイハイム東海 三島グランツーユー 三島展示場] 

まとめ

[ミサワホーム静岡 GENIUS 蔵のある家 袋井展示場]

スムーズに移動ができる家事動線をつくること。そして、その動線上に適切な収納を設けること。この2つを意識することで、本当に使いやすい間取りが見えてきます。これは毎日をあわただしく過ごす子育て期はもちろん、将来、年を重ねて家事が負担になっていった時にも、きっとみなさんを助けてくれます。

SBSマイホームセンターには、ここでご紹介した以外にもさまざまなキッチン収納を提案したモデルハウスがあります。サイト内の「モデルハウス検索(https://www.sbs-mhc.co.jp/search.php)」では、「家事スペース・家事動線」「パントリー」などのキーワードで絞り込み検索が可能です。収納と一口に言っても、扉のタイプも開閉の仕方も多種多様ですね。どれが自分にとって使いやすいか、実際に触れて、試すことができるのは展示場ならでは!ぜひたくさんの実例を比較して、理想のキッチン収納を探してみてくださいね。