マネープラン

建て替え住み替えのマネープランを考える ~住宅ストックの流通拡大を前提に~

執筆者
株式会社Flap 矢島マコト

良い住宅とは何か?

 結論から先に申しますと、「建て替え、住み替えのマネープラン」という題目ならば、土地は別として、25年後に同じ家をもう1軒建てるのに十分な資金を用意する覚悟が必要です。

 国は「良い住宅を作って、適切に維持管理し、長く使う」住宅ストック型社会を実現するのだと言います。住宅の性能・品質が良好に維持管理された状態であれば、アメリカ、イギリス、フランスのように既存住宅の流通が拡大する、という考え方です。

 確かに、今日の住宅の一次取得者層の所得は長期的に見ると大きく低下しているため、住宅の取得は高い障壁と言えるでしょう。既存住宅の流通市場が拡大すれば、所得が低下傾向にある若年層の住宅取得が容易になる、かもしれません。

 しかしながら、日本における住宅供給・取得の現状は、依然として新築中心です。何故でしょうか?答えは簡単明瞭!良い住宅ストックが無いからです。あなたの目の前に、同じ敷地面積で同じ方角を向いている、似たような間取りの2軒の住宅があったとしましょう。1軒は、築25年のリフォームあるいはリノベーションされた住宅、もう1軒は、新築の住宅です。販売価格は同じです。あなたは、どちらを選びますか?

 海の向こうには、新築よりも高価格の中古住宅が流通していると言います。それが、どのような住宅かを誰も示さないまま「ストック、ストック、ストックだ!」では、山は動かないでしょう。あの番組や、あの番組で映し出される家々を見て、新築よりもこっちの方がいいな!と思える物件、多いですか?

 ここは日本で、米英仏とは異なる歴史風土で異なる考え方の国民が暮らしています。良い悪いは別にして、あえて言うなら、例えば、大きさや色が不揃いで虫食いの穴が開いた無包装のオーガニックの野菜を、新聞紙に包んで渡されるスタイルで、日本人が好んで買うか、ということでもあります。

 先述した2軒が並んでいたら、不肖Yは新築買っちゃいます。あなたはどうですか?現在の日本に、同価格同条件で、新築を上回る住宅ストックがあるのでしょうか。