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2022年10月21日 (金)

賢く建てたい!注文住宅で予算オーバーにならないための工夫

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棚田 将史
ファイナンシャルプランナー2級

自分たちの希望や意見を反映して建てられるのが注文住宅。自由度が高い反面、あらかじめ決めていた予算をオーバーすることも珍しくありません。とはいえ予算内で、満足できる住み心地やデザインのマイホームを建てたい方も多いのではないでしょうか。

当記事では注文住宅で予算オーバーする原因やオーバーしないための工夫、オーバーしたときの対処法など、賢く注文住宅を建てる方法を解説します。

注文住宅で予算オーバーする原因

注文住宅で予算オーバーする原因として、「無計画な注文」「土地が高い」「補助金や助成金制度を知らない」の3つが主に挙げられます。それぞれの理由について具体的にみていきましょう。

無計画な注文

自分自身で間取り・設備・外観・性能などを決められる注文住宅ですが、だからこそ「あれもほしい、これも導入したい」と、無計画な注文を行う危険性があります。

オプションの優先順位を明確にしていないと、余計なオプション付けや不必要なグレードアップなどが原因で、予算オーバーが起こりがちです。

こうした無計画な注文を防ぐために、自分や家族にとって必要なオプションを事前に検討し、事前にはっきりと順位付けしておきましょう。計画を立てた後に調整する際、不必要な部分(優先順位が低いオプション)を削りやすくなります。

土地が高い

注文住宅で注目すべきは、土地を購入する場合は、建物部分だけでなく土地の価格も当然予算に含まれてきます。このとき、土地の価格が想定以上に高いことが原因で、予算オーバーになるケースも珍しくありません。

土地と建物における良い価格バランスと言われているのは、土地が30~40%、建物が60~70%です。

「2021年度フラット35利用者調査」の土地付注文住宅の平均価格4,455万円で上記の割合を考えると、土地の購入費はそのうち約1,336万~1,782万円にも上ることになります。こう考えると土地の価格も数千万円単位と高額となる傾向があるため、住宅部分だけの価格に注目しすぎると、想定以上の出費に対して焦ることになるでしょう。

また、購入した土地に地盤改良(建物を安全に構築するために地盤を補強すること)が必要なときは、さらなる予算オーバーの可能性があります。

例えば30坪程度の土地で考えると、表層改良工法であれば20~50万円、柱状改良工法であれば40~80万円、鋼管杭工法であれば90~180万円程度が必要です。

補助金や助成金制度を知らない

家づくりを行う際、条件さえ満たせば補助金・助成金を受け取れる可能性があります。もし予算オーバーしたとしても、補助金や助成金が支給されれば、予算の範囲に収まって計画を進められるかもしれません。

例えば新築住宅の購入に関しては、「こどもみらい住宅支援事業」や「地域型住宅グリーン化事業」、その他自治体ごとの補助金制度が設立されています。条件によっては100万円以上の補助を受けられるでしょう。

<関連記事|2022年の家づくりは補助金をうまく使おう!新築住宅のお得情報>https://www.sbs-mhc.co.jp/column/system/220201/

注文住宅で予算オーバーしないための工夫

注文住宅で予算オーバーしないためには、住宅にかかる費用を見直した後、支出額を調整できるかを検討することが大切です。コストダウンを達成しつつ、住み心地が悪くならないような工夫を行いましょう。予算を見直せる主な箇所を解説します。

仕様や設備のグレードを下げる

注文住宅の仕様や設備を、最低限必要なグレードまで下げるのが、予算オーバーしないための工夫の1つです。「せっかくの新築だから」と余計なものまでグレードアップせず、予算に見合ったオプションを検討しましょう。

低予算に抑えるための具体案は次のとおりです。

・壁の仕上げ材をすべてクロスにする

・必要箇所以外の床材は安価な素材にする

・こだわりがない部分は既製品を流用する

・不要なドアを使わない

・無駄なフェンスや門扉を省く

建物をシンプルな形状にする

原則として、建物は形状が複雑になるほど必要費用が上がります。建物をシンプルな形状にするのが、予算オーバーを防ぐための工夫の1つです。

シンプルな形状の建物の例は次のとおりです。

・安価かつ耐震性と安定性がある正方形の形状とする

・屋根を切妻や片流れにする

・建物全体の凹凸を少なくし外壁の数を減らす

・階段に仕切りを設けずにオープンにする

・総2階(1階と2階がほぼ同じつくりをした住宅)にして構造材や屋根材を減らす

水回りを集中させる

キッチンや洗面台、風呂場といった水を使用する設備には、水を通す配管や温度調節装置を設置する必要があります。

もしこれらの設備が1階と2階に散らばっていたり、それぞれが大きく離れた位置だったりすると、その分だけ配管設備が複雑になり、さまざまな費用がかかります。

そこで水回りの設備をできる限り一箇所に集中させれば、配管工事費や部材費の節約につながるでしょう。

またトイレの数は設置工数や掃除の手間を考えると、家全体で1つだけに留めるのもコスト削減となります。

和室を作らない

和室は畳といった資材や複雑な工程が必要である分、洋室と比べると部材費や工費がかかります。維持にかかる費用や時間も、和室のほうが大きくなる傾向があります。

和室に対してこだわりがない方であれば、和室は作らないことで予算オーバーを防ぎやすくなるでしょう。洋室と比べたときと、100万円以上の差が出ることもあります。

部屋数を少なくする

住宅の部屋が増えると、その分だけ壁やドア、クロスなども増え、部材費や工賃の増加につながります。部屋数増加による予算オーバーを防ぐには、計画段階で部屋数を少なくしておきましょう。

部屋数を抑えるための工夫の例は次のとおりです。

・間取りをシンプルにする

・部屋の空いたスペースに書斎コーナーや畳スペースなど、部屋の代わりとなる空間を設ける

・新築時は子ども部屋の間仕切りをなくす(子どもが成長した後に間仕切りを入れる)

延べ床面積を減らす

延べ床面積が大きいほど、面積分だけ部材費や工賃がかかります。注文住宅の場合だと、建築費用の目安は「坪単価×床面積」です。

延べ床面積を減らしてコストダウンを検討する場合は、快適な暮らしを維持できる面積をあらかじめ試算しておき、必要分だけの床になるように建築を依頼しましょう。

なお、メーカーによっては延床面積ではなく施工床面積で計算しているケースがあります。

窓のサイズや数を見直す

窓は家の中に空気や光を入れたり、景色を楽しんだりするのに欠かせないですが、1つの設置に数十万円ほどコストがかかります。窓のサイズを小さくしたり、数を減らしたりすることで、予算オーバー防止につながります。

風を入れるための窓、光を入れるための窓といったように、窓ごとの役割を果たすために必要なサイズ・数を見直してみてください。

注文住宅の予算オーバーで削ると失敗する箇所

注文住宅の予算オーバーを意識するあまり、削ってはならない箇所を削って失敗するケースには注意が必要です。とくに躯体部分の妥協はおすすめできません。削った結果、余計な修繕費やリフォーム費がかかる可能性があります。

以下では、削ると失敗する具体的な箇所をみていきましょう。

耐震性や耐火性

耐震性や耐火性などの防災に関わる部分を削ってしまうと、地震や火事などの災害に見舞われたときに大きな被害を受けます。一緒に暮らしている人たちの命を脅かす可能性もあるでしょう。

家族の生命を守る意味でも、防災部分の極端なコストダウンは避けてください。家の構造、部材、工法などによって、耐震性や耐火性は変わってきます。ハウスメーカーの担当者と相談しつつ、防災対策を講じましょう。

防犯やセキュリティ

自分や家族の生命・財産を守り、安心して住むために、防犯・セキュリティ・プライバシーに関わる部分のコストダウンは避けましょう。

侵入口になる可能性がある扉やドア、防犯に直接関わる施錠部分、外部からの侵入を防ぐ塀(フェンス)や門などについては、予算をしっかりと確保しておくことをおすすめします。

断熱材

住宅における断熱材は、外気温の影響のしやすさや室内温度調整のやりやすさなどに関係しています。もし安価な断熱材で済ませると、以下のデメリットが発生します。

・夏は暑く、冬は寒いという過ごしにくい家になる

・温度や湿度が調整しづらく、電気代が上がったり健康被害が出たりなどのリスクがある

・外気温との温度差による結露やカビで住宅の劣化が早まる

・耐久性の問題から将来的なメンテナンス費用がかかる

・吸音効果が薄く騒音が気になる場合がある

屋根や外壁

屋根の役割は、住宅を雨や風、日差しから守ることです。屋根をコストダウンしすぎると、雨漏りや建物全体の劣化促進などの原因となります。

また外壁に安価な外壁材を使ってしまうと、雨や風の影響で破損したり劣化しやすかったりなどの問題が発生します。

屋根や外壁は高額でも耐久性のよいものを選べば、メンテナンス費用や維持費などのランニングコストを削減でき、結果的に安価になることもあるでしょう。

注文住宅で予算オーバーしたときにはこだわる場所を整理する

注文住宅で予算オーバーしてしまったときは、「どこにこだわるか」「将来的にはどうする予定なのか」「削減して問題ない箇所はどこか」など、こだわる場所を整理してから予算を見直しましょう。

将来を見据えた間取り

今の生活を優先するだけではなく、将来を見据えた間取りを意識することが、予算オーバーへの対策になります。

「子どもが成長したら自分の部屋や広いリビングが必要になる」「自分が年を取ってバリアフリーな家がほしい」など、将来のライフスタイルに関係する箇所にこだわることで、他の無駄な箇所のリフォームや増築などを防げます。

オプションの必要性

オプションを付ける前に、「そのオプションは自分や家族のライフスタイル的に必要なものか」を今一度検討してみてください。必要と思ったけど実はいらなかったという例は多々あります。具体例は次のとおりです。

・デザイン性の高い内装にしたが、家事動線やバリアフリー的に生活しづらくなった

・浴室暖房乾燥機やウッドデッキ、ロフトなどを取り入れたが、しばらくして使わなくなった

オプションは内容次第で、数十万円~数百万円の出費が発生します。

住宅購入のタイミングは万単位のお金が安く見えるなど、金銭感覚が麻痺することも多いです。自分が優先したい点や家族の意見などを整理し、本当に必要なものをしっかり考えてみてください。

生活の質を下げない

予算オーバーで削るときに、当該部分を削って生活の質が下がらないかを検討してみてください。

例えば断熱材やセキュリティ、耐震性・防火性、外壁材関連をコストダウンしすぎると、快適さや安全性が大きく低下する恐れがあります。いずれも普段の生活では見えづらい部分ですが、根本的な暮らしやすさや安全性に関わる重要な部分です。

安心かつ快適に暮らすマイホームに仕上げるためにも、生活の質の部分に注目した予算を組むことが大切です。

注文住宅で予算オーバー!ローンの安全圏は?

注文住宅で理想のマイホームを目指す上では、工夫だけでは削りきれず予算オーバーになる場合があります。工夫だけでカバーできないときは、住宅ローンなどの利用や増額も視野に入るでしょう。

ここからはローンを利用する際に安全圏について、「返済負担率」と「年収倍率」の2つの観点を解説します。

返済負担率

返済負担率(返済比率)とは、「年収に対して、1年間のローン返済額はいくらになるのか」を表す指標です。「年間総返済額÷年収×100%」で算出します。

例えば年収500万円で年間総返済額が100万円であれば、返済負担率は20%です。

この返済負担率は、20%以内なら家計を圧迫せずに余裕ある生活を送れると言われています。25%を超えたあたりから余裕がなくなり、30%を超えると返済が厳しくなると予想されます。

返済負担率は、金融機関が融資審査を行うときに指標とする重要な数値です。

年収倍率

年収倍率とは、「購入しようとしている住宅の価格が、年収の何倍に相当するか」を表す指標です。年収倍率も金融機関による融資審査の指標となります。年収の4倍前後、経済的な安定や低金利などが見込める時期は6倍前後まで借入できる傾向があります。

次の表は、「2021年度フラット35の利用者調査」における、各住宅の購入に必要な資金と平均世帯年収から算出した年収倍率をまとめたものです。

引用元:https://www.jhf.go.jp/files/400361622.pdf「2021年度フラット35の利用者調査」

まとめ

注文住宅を建てるときは、自由度の高さが仇となって予算オーバーになることはよくあります。そのようなときは予算オーバーをしない工夫を施したり、予算を削る箇所を慎重に確認したりなどして、予算内でも理想の住宅が建てられるようにしましょう。

どうしても予算に収まらないときは、返済負担率や年収倍率と相談しつつ、金融機関の融資の利用を検討してみてください。

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