建築・間取り

創る住まい、買う住まい

執筆者
建築士事務所協会 会員  山梨一級建築設計事務所 山梨一正

家は買うのか創るのか?

家を手に入れる表現方法は様々です。家を買った。家を建てた。家を創った。皆様は如何ですか?今回は、「創る住まい・買う住まい」についてお話しましょう。

対話を大事に住まいを創ることを考えましょう。

 建築主が完成した建物を見て、希望の間取り部屋数もあり、価額も予算内であるからと決めて家を買う。基本型に一部フリープランを加味してもらい家を建てる。設計者と建築主が対話を大事にし、一緒に住まい創りを楽しんでもらい家を創る。対話を通して言葉に表現出来ない想いも設計し、設計者の独善ではなく、建築主と行きつ戻りつ意見交換の時間の中で、少しづつ想いを形にして行く。それには、建築主と設計者の信頼関係が必須であるから、感覚が一緒で、作品に共感が持てるなどまるで恋人を探すような出会いを求めてから始まります。住宅は、住む為の器ですから、身体を包む物であり、身体から伝わる物でもあります。日々暮らす家が快適で居心地の良い場所であれば、穏やかで充実した気分でいられ、現代人の多くが抱えているストレスさえも取り除いてくれるに違いありません。

生活者も設計する人もみんなが楽しむ住まい創り

 一過性の流行に惑わされる事なく、時の経過と共に味わい深い風格をかもし出し、生活者と共に歴史を刻み、その風景に溶け込んで行き、人が素敵に年を重ねるように、建物も歳月を重ねる。そして、次世代へ住み継がれて行く様な丈夫な家を創りたいと想うのです。住まい手の個性や人生観が皆違う様に、その家からかもし出す表情は、1つとして同じではありません。その個性を引き出し、建築主に寄り添いながら設計者のポリシーを失うことなく、住まいを創る。
 住まい創りを一緒に楽しみましょう。楽しめば楽しんだ分愛着が湧き、愛着が湧けば湧くほど、家を大切にします。大切にされた家は、本当に頑張っていつまでも長持ちします。それは、家に息吹が吹き込まれているからで、もうこの家は壊すと決まった時から嘘のように家は壊れてしまいます。信じられませんが本当なのです。

風景や街と共存する住まい創り

 創る住まいの想いは、家だけではありません。それは廻りの環境、風景と切り離しては考えられません。外国に行くと、街全体の建物の色合いがとても調和の取れている場所があります。美しいと思います。日本でも景観条例という法律がありまして、京都なら、歴史文化街並みにそぐわない色彩や形状を禁止している場所があり、コンビニ・学習塾などでも通常とは違う仕様になっています。風景に溶け込む家創り。これは創る住まいの第1歩であります。大きなFixを額縁に、富士山を借景とするのも創る住まいの出来る技です。

 形、色合い、高さも考慮し、自然の恵みに感謝しながら謙虚な気持ちで創る気持ちを大切に。どうぞ、皆さんも一生に何度もない家創りです。楽しんでください。皆さんの生き方、家族の暮らし方そのままを形に出来る家創りに最初から参加し、自分の目で確かめ完成まで納得のいく住まいを手にいれようではありませんか。