住宅設備

地震・水害に負けない!防災に強い家づくりのポイント

執筆者
出口 恵

近年、台風や豪雨、地震などの大きな自然災害が多く発生しています。災害自体を防ぐことはできませんが、災害に強い家を建てることで、被害を最小限に抑え、普段の生活をいち早く取り戻すことができます。今知っておくべき、大切な家族や暮らし、財産を災害から守る家づくりのポイントをご紹介します。

災害に強い家とは?

地盤、立地

災害リスクの低い土地を選ぶことが、災害に強い家づくりの必須条件です。国や自治体が作成しているハザードマップや公共機関の調査結果を活用し「地盤が軟弱ではないか?」「浸水・津波・土砂災害の危険性はないか?」などをしっかり見極めましょう。地盤に心配がある場合は、地盤調査と適切な補強(地盤改良工事)を行うことで、リスクを抑えることもできます。

耐震等級

耐震等級とは、地震があった際に建物がどのぐらい耐えられるのか、地震に強い建物かどうかを判断する指標です。「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づいています。耐震等級は、3つのランクに分けられ、数字が大きいほど耐震性が高いと評価されます。

■耐震等級1

建築基準法で定められている最低限の耐震性能を満たす水準。震度6~7の地震にも1度は耐えられる耐震性です。ただし、即時倒壊や崩壊はしないものの、その後は大規模な補修や、損傷の程度によっては建て替えが必要になる可能性があります。

■耐震等級2

耐震等級1の、1.25倍の耐震性がある水準。震度6~7の地震にも耐えることができ、その後も一部の補修を行えば生活できる可能性が高い性能です。「長期優良住宅」では、耐震等級2以上が認定の条件とされています。また災害時に避難所となるような体育館や学校、病院などはこの耐震等級2以上が求められています。

■耐震等級3

耐震等級の最高ランクで、耐震等級1の1.5倍のレベル。震度6~7の地震やその後の余震にも耐え、ダメージが少ないため一部の補修のみで住み続けられることを想定しています。救護活動や災害復興の拠点となる警察署や消防署などの多くは、耐震等級3で建設されています。

シンプルな構造、形

外観が立方体や直方体になっているようなシンプルな形状の家が、地震に強いと言われています。なぜなら、揺れの力が分散しやすく、部分的な負荷がかかりにくいからです。一方で、L字やコの字、2階の一部分が1階よりも飛び出しているような構造の場合、どこか一点に揺れのエネルギーが集中してしまいます。同じ耐震等級でも、建物の形によって倒壊リスクが高くなることもあるので注意が必要です。

設備

災害に強い家づくりのための設備には、大きく2つの種類があります。1つ目は、耐震ラッチや合わせガラス、シャッターなど、災害時の被害を最小限に抑えるためのもの。2つ目は、太陽光発電やエコキュート、備蓄用のパントリーなど、災害発生後の生活を守るためのものです。これらについては、後ほど詳しくご紹介します。

知っておきたい耐震・制震・免震の違い

建物の地震対策には、主に耐震・制震・免震の3つがあります。よく似た言葉ですが、それぞれ異なる構造で地震から建物を守っており、その効果やコストも様ざまです。

耐震

建物自体の強さを高める工法。柱や梁、壁の強度を高めて、地震の揺れに耐えるよう設計されます。建物自体が強固なため、台風による強風程度ではほとんど揺れを感じません。一方で、揺れに対する柔軟性はないため、大きな地震の際には家屋の損傷は大きくなる可能性があります。コスト面では、制震、免震と比べると、安価に抑えられます。

制震

制振装置によって地震の揺れを吸収する工法。揺れの力を、ゴムや金属の変形、熱に変えることで小さくする装置です。繰り返しの揺れにも強く、建物の構造や内部の損傷も抑えることができます。ただし、地盤の影響を受けやすく、地盤が弱いと十分な効果が得られない可能性がある点には注意が必要です。コストは、耐震よりは高くなりますが、免震よりは安くすみます。

免震

建物と基礎の間に免震装置を入れ、直接的な揺れを建物に伝えない工法。耐震や制震と比べて、建物の揺れを最も抑えられると言われています。揺れが少ないため、家具の転倒や落下物によるケガ、建物の構造や内部の損傷も最小限にすることができます。一方で、コストは3つの中で最も高く、定期的なメンテナンスも必要となります。

新築時に備えたい防災設備5選

耐震ラッチ

耐震ラッチとは、食器棚の扉や、収納扉が地震の揺れなどで開かないようにする金具のことです。普段はラッチの存在を気にせずに使えますが、地震が起きると、耐震ラッチの留め具が固定されて扉が開かなくなります。食器や本の飛び出し、落下によるケガを防ぐためにとても効果的です。

埋め込み型収納、造作家具

埋め込み型の収納や、造り付けの造作家具なら、地震時にも家具の転倒の心配がありません。後付けできる転倒防止グッズもありますが、揺れの大きさによっては効果が期待できないこともあります。また、埋め込み型収納や造作家具は間取りに合わせてつくられるため、見た目もよく、すっきりした印象になるメリットもあります。

シャッター

台風のときに飛来物がぶつかって窓ガラスが割れてしまうと、窓ガラスの修理だけでなく、ガラスの破片によるケガや、雨が吹き込むことによる床や建具のリフォーム、家電の買い替えなどの被害が出る可能性があります。それらを防ぐためには、シャッターや雨戸の設置が有効です。シャッターには、台風対策だけでなく、防犯や防音、断熱の効果もあります。

合わせガラス

合わせガラスとは、2枚のガラスの間に、特殊フィルムを挟み込み、圧着させたガラスのことです。ガラスが割れても破片が飛散しにくいため、シャッターと同じように、台風時の飛来物による被害を軽減することができます。さらには、貫通しにくいため空き巣の侵入を防ぐ効果や、防音、紫外線の大幅カットなどの効果もあります。

パントリー

パントリーは、キッチン近くに食品や日用品などを収納するスペース。キッチンがすっきりする、まとめ買いがしやすいなどの理由から人気の設備です。このパントリーは、防災備蓄のためのスペースとしても活用できます。日常的に使う場所のため、賞味期限の確認もしやすく、ローリングストックをスムーズに行うことができます。

停電・断水時に活躍する設備5選

災害に強い家づくりにおいては、災害発生後の暮らしを考えることも非常に重要です。特に小さなお子さんをもつ子育て世代のみなさんは、避難所ではなく、安心できるわが家での暮らしを続けたいと考える方が多いでしょう。その際にポイントとなるのが、停電と断水への備えです。災害後もできる限り普段通りの暮らしをするために、役立つ設備をご紹介します。

太陽光発電

太陽光発電システムは、電気代の節約や売電収入だけでなく、停電時の非常用電源として活用できるメリットもあります。手動で自立運転に切り替えることで、非常用コンセントから最大1500Wの電力を利用できるのが一般的です。1500Wまでなら、テレビの視聴(約500W)やスマホの充電(約5W)などを同時に行えるほか、電子レンジ(約1000W)も利用できます。ただし、夜間や天候によっては使えない場合もある点には注意が必要です。

蓄電池

蓄電池とは、電気を一時的に溜めたり使用したりを繰り返すことができるバッテリーのことです。太陽光発電システムと合わせて使用すれば、昼間に発電した電気を蓄電池に蓄え、夜間にも電気を使用することが可能です。停電時以外の普段の生活でも、割安な時間帯に電気を貯めておき、 割高な時間帯に使用することで電気代を節約できるメリットもあります。一方で、蓄電池の購入価格は100万以上かかることが多く、高額であることがデメリットです。

電気自動車

家づくりとは少し離れますが、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)のバッテリーも、蓄電池と同じように、災害時の非常用電源として活用できます。容量が大きいため、より長い時間電気の使用が可能です。災害時以外にも、キャンプなどのアウトドアでの電源としても活躍します。

エコキュート

エコキュートは、電気と空気の熱を利用してお湯を作る給湯器です。従来のガス給湯器やハイブリッド給湯器に比べて省エネ性能が高く、光熱費の節約になることで普及が進んでいます。このエコキュートのタンクに貯まったお湯は、災害時の生活用水として利用することができます。タンクの容量はメーカーによって違いますが、一般的な370Lの貯湯タンクなら、4人家族で3日分の生活用水に相当する量が確保できます。

雨水貯留タンク

雨水貯留タンクとは、雨どいを通じて屋根に降った雨水をタンクに集める仕組みのこと。タンクの水は、庭の水やりや洗車、トイレの洗浄水などとして使用できるため、節水の効果があります。断水時に大きな問題となるトイレも、この雨水貯留タンクがあれば安心です。自治体によっては、設置費用の助成制度を設けているところもあるので、ぜひ調べてみましょう。

まとめ|最新の災害に強い家を見に行こう

私たちの住む静岡県は、古くから東海地震などの巨大地震が心配されており、防災意識が高い地域です。そのため住宅会社も、それぞれの〈災害に強い家づくり〉を強く打ち出しています。

SBSマイホームセンターでは、静岡県内9か所 (御殿場、三島、富士、静岡東、静岡、藤枝、掛川、袋井、浜松)の展示場に、住宅会社約50社、約160棟のモデルハウスを展示しています。その中には、各社こだわりの災害対策を提案したモデルハウスが多数!モデルハウス検索https://www.sbs-mhc.co.jp/search.php)では、耐震性(耐震/免震/制震)による絞り込みも可能です。

 ぜひSBSマイホームセンターに足を運び、最新の災害に強い家を見に来てくださいね。