住宅制度

住まい給付金制度~給付金制度に関わる情報は常に収集!~

執筆者
静岡県建築住宅まちづくりセンター 営業部長 齋藤 明

給付金制度に関わる情報は常に収集!

[消費税の負担軽減で最大30万円もらえる。税率10%では50万円]

 「人生最大の買い物」と言われる住宅の取得。住宅を取得すれば不動産取得税をはじめ、いろいろな税金がかかってきます。中でも消費税については、大きな金額となり、特に現状8%となっている税率が、平成29年4月以降に住宅が引き渡されると10%に引き上げられる予定で、より一層税負担が重くのしかかります。10%の税率では、2,000万円の住宅を手に入れようとすれば、200万円の消費税を払わなくてはならないわけで、消費者にとって大きな負担となります。そうした住宅取得に対する税負担を和らげようとする緩和措置が取られていますが、最もよく知られていることでは、住宅ローン減税となります。支払っている所得税等から控除する仕組みとなっていますが、この仕組みでは、多くの所得税を払っている人、つまり多くの所得がある人ほど、その恩恵を受けることになり、収入の低い人にとっては効果が薄くなります。こうした不公平感を改善するための措置として誕生したのが「すまい給付金」です。給付金は、住宅を取得した人であれば、誰でも受けられるものではありません。一定額以上の収入がある人は受けられませんし、また受けられる人も収入額によって給付額が変わり、少ない人ほど多く、現状の8%の消費税率では最大30万円、10%の税率になった場合は最大50万円となります。

[収入の少ない人ほど多くの給付金]

 すまい給付金の対象者は、住宅を取得してその住宅に自らが居住する一定額以下の収入の人です。収入については、給与所得者のいわゆる額面収入ではなく都道府県民税の所得割額(現在居住する市町村発行の個人住民税の課税証明書に記載されている)に基づき決定しますが、一つの目安としてご主人と奥さん(収入なしの専業主婦)、子供二人の家族で、現状の消費税率8%では年収が510万円以下、10%に引き上げられた場合は775万円以下となります。

– 8%の消費税率での給付金-

年収:475万円を超え510万円以下の人→10万円
年収:425万円を超え475万円以下の人→20万円
年収:425万円以下の人→30万円
-10%の消費税率での給付金-
年収:675万円を超え775万円以下の人→10万円
年収:600万円を超え675万円以下の人→20万円
年収:525万円を超え600万円以下の人→30万円
年収:450万円を超え525万円以下の人→40万円
年収:450万円以下の人→50万円
住宅ローンを利用しない人も、年齢が50歳以上の人であれば給付の対象となり、新築住宅だけでなく中古住宅を取得する場合でも給付されます。

[住宅の性能にも一定の条件]

 すまい給付金の目的の中には「良質な住宅の形成」を挙げているため、どんな住宅を取得しても給付金が受けられるわけではありません。新築の住宅では、「人が住んだことのない住宅であって、工事完了から1年以内のもの」と定義づけており、その上で床面積50㎡以上、工事中に住宅会社や工務店以外の第三者(建築確認検査機関等)により、
①住宅瑕疵(かし)担保責任保険へ加入した住宅
②建設住宅性能表示を利用する住宅
③住宅瑕疵担保責任保険法人により保険と同等の検査が実施された住宅
のいずれかの検査を受けた住宅としている。

 検査をクリアーするためには、非常に品質、性能の高い住宅を想像しそうだが、例えば建築物を建てる時の最低基準である建築基準法よりも、例えば雨漏りを防ぐための対応措置が若干上回っている程度の性能を求めているだけで、建設費用が大きく上回ることはありません。また、新築住宅だけでなく、中古住宅を取得した場合でも住まい給付金は受けられます。ただ、中古住宅の売買が宅地建物取引業者を介したものに限定しています。これは、売主と買主がそれぞれ個人の間で売買した中古住宅では消費税が課税されないため、消費税の負担軽減という制度の趣旨から外れるためです。このほか中古住宅でも、売買時に第三者機関の現場検査を受け、耐震基準とともに、
①既存住宅売買瑕疵保険に加入した住宅
②既存住宅性能表示制度を利用した住宅
③建設後10年以内で、住宅瑕疵保険に加入または建設住宅性能表示を利用している住宅
のいずれかに該当する住宅であることを条件に挙げ、一定の品質確保を求めている。

 すまい給付金制度は、平成26年4月から始まり、31年6月まで実施される予定だが、意外と一般消費者の人に知られてなく、また、建築主が申請しなくてはならないものであるため、折角の給付金を受けない人もいるようです。住宅を取得したら、住まい給付金の対象となるかどうか、申請の方法はどうすればいいのか、など、すまい給付金事務局(ナビダイヤル0570-064-186)へ、まず問い合わせてみましょう。