建築・間取り

見直される木造建築 木材の特徴とは?

執筆者
株式会社Flap 矢島マコト

なぜ建築物に木材が採用されるのか

 想像してください。例えば鉄筋コンクリートの建物の内部構造が、鉄のドアにアルミのドアノブ。コンクリート打ちっぱなしのテーブルに鉄板の椅子。壁は波板スレート、天井はホーローで床はステンレス。  適材適所とはよく言ったものです。きれいに手入れされた木材の床を素足で歩くのは気持ちの良いものです。

木材の優れた点 実は強い材料なのです

 単純に材料としての強度を比較したデータを紹介しましょう。木材、鉄、コンクリートをそれぞれ1kgの条件に揃えて、引っ張ったり、曲げたり、押しつぶしたりしたデータです。

圧縮の比強度 木材は、鉄の2.1倍、コンクリートの9.5倍の強度
曲げの比強度 木材は、鉄の15.4倍、コンクリートの400倍の強度
引っ張りの比強度 木材は、鉄の4.4倍、コンクリートの225倍の強度

 

 木材圧勝です。1kgあたりの強度ですから、木材は軽くて強い材料だということです。強さの理由はハニカム構造です。蜂の巣のような空洞があります。軽さと強度を同時に求められる物、飛行機の翼や段ボール箱などに採用されています。

大規模建築にも木材採用の流れ

 わが静岡県には全国に誇る木材建築が有ります。2015年に竣工し、日本構造デザイン賞を受賞した 草薙総合運動場体育館「このはなアリーナ」です。RC造、鉄骨造、木造と混合造ではありますが、県産木材が多用された大作です。これだけ大量の木材が使われた大規模建築の存在は、日本の住宅に木材を採用することへの回答としては大きな説得力を持ちます。

木材の欠点を補強する工夫

 もちろん、現代の木造住宅が、木材だけで出来ている訳ではありません。接合部の金属部品、防火壁の採用、防蟻加工などの工夫が施されています。良く確認しておきましょう。