静岡県データ

地震保険について

執筆者
株式会社トムス マーケティングリサーチチーム 寺島知津

地震保険料値上げの前に…

 2017年1月に地震保険の再値上げが予定されています。改訂ポイントとしては、都道府県別の地震保険料改定および損害区分の細分化の2点で、静岡県は耐火構造で11.4%、非耐火構造で11.3%の地震保険料率アップが予定されているようです。値上げの背景としては、ここ数年で規模の大きな地震が発生していることや、南海トラフ地震や首都直下型地震のリスクが高まっていることなどが挙げられます。
 では、実際にどのくらいの世帯で地震保険に加入をしているのでしょうか。

 

 2015年度の地震保険付帯率(火災保険契約件数のうち、地震保険に加入した件数の割合)をみると、静岡県では62.7%で全国平均の60.2%とほぼ同じレベルとなっています。南海トラフ地震のリスクが高いエリアでありながら、全国平均並みの数値というのは意外にも思えますね。47都道府県の中で地震保険付帯率のトップは東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県で86.2%。2002年度からの推移でみると、宮城県は2010年度から2011年度にかけて12ポイント上昇しており、東日本大震災が大きなきっかけになったことが容易に想像できます。地震保険付帯率が最も低い長崎県においては2004年度から2005年度にかけて5.6ポイント上昇しており、こちらについても2004年10月に発生した新潟県中越地震の影響を受けたものと思われます。このように、大きな地震の発生による危機感の高まりが、地震保険加入率を押し上げる大きな要因であると言えそうですが、このたびの熊本地震発生により、地震保険を検討し始めている人がさらに増えているのではと推察されます。
 また、静岡市にお住まいの一般市民を対象としたアンケート調査(2015年11月SBSデータバンク静岡市調査)によると、地震保険加入率は築年数が浅いほど高くなっており、10年未満では4割が加入しています。築浅のお宅はローン残高が多いため、地震で被害にあった場合の経済的負担に備えて加入をする人が多いようです。

 とはいえ、地震保険を検討する際に頭を悩ませるのが保険料。特に静岡県は地震の危険度が最も高い、すなわち保険料が最も高い3等地に区分されており、経済的な負担も大きくなります。今後、段階的な保険料値上げが予想され、加入のタイミングを慎重に検討する必要がありそうです。