旧家の古い建具を活かすということで、谷崎純一郎の※「陰翳礼讃(いんえいらいさん)」な感じの佇まいの家を求めていらっしゃいました。 障子を通した明るさ、「陰翳礼賛」に書かれているような昔からの日本の明かりの採り方みたいなのができたら、というのがお施主様からのリクエストでした。 ※『陰翳礼讃』(いんえいらいさん)は、谷崎純一郎の随筆。 薄暗い明かりに象徴される日本の伝統美を論じています。
下屋をつけて軒を深くした外観。
強い日差しが直接入らず、柔らかい光が部屋に降り注ぎます。
日本の伝統美を感じる数寄屋風玄関。
玄関ホールの建具と欄間は旧家の建具を再利用しています。
畳敷きの茶の間。
こちらの建具も旧家のものを再利用してあります。
ゲストルーム。下屋があるので直射日光が入り込むことがありません。
建具は旧家のものを再利用してあります。
広縁がある和室。
床の間横の書院の建具も旧家のものを再利用してあります。
和室の左側の襖の奥はウォークインクローゼットになっています。
ウォークインクローゼットとは思えない和風な造りになっています。
お着物が大好きなお施主様の、着物を保管するためのウォークインクローゼット。
明かり採りの開口部にも、旧家の建具。
襖の引手も旧家から使われていたものを再利用しています。
お施主様こだわりの落ち着くためのトイレ。
トイレは3番目に力を入れた場所とのことです。
窓のサッシには旧家の建具を入れて、間接的に明かりが入るようにしてあります。
~お施主様のコメント~
「陰翳礼讃」の中で書かれていたのですが、外国の人はトイレの空間は「不浄なもの」という扱いなんですが、日本人というのはトイレは一番大切にした場所で、「気持ちを安らげる場所」なんです。
ということで床は、なぐり加工の無垢床材にしました。
ペーパーホルダーも機械的にしてはいけないと思って、木のホルダーをオーダーしました。
玄関ホールから和室に向かう廊下には、縦格子の建具があります。
水戸岡鋭治氏の観光列車のような空間を彷彿とさせます。
平屋のお宅ですが、12帖の広い小屋裏収納があります。
お客様からの声
もともと家を潰すつもりはなかったんですけれども、終活の一環として整理する必要がありました。 そういった上で、捨てるに忍び難い建具を使ってきちんと和室を造れる業者を探すということで、杉森さんに出会ったわけです。 旧家の古い建具が32枚入っているのですが、それを利用して頂いたのがとても嬉しく思っています。 でも建具に合わせなきゃならなくて、大工さんがとても苦労されたようです。 玄関ホールの所は一番大変で、知恵の輪のような部材でした。 木を刻んだ所を見たり、組む所をチラッと見たのですが知恵の輪のような作業でした。 頭が下がります。感謝しています。 わがままを聞いていただいて、形にしてもらって。 先祖からの古き良き時代からの贈り物をそのまま残せたってことに、とても感謝しています。 本来どこかお願いするとなったらば、こういう昔の建具は使えなくて、あるもの(既製品)を使ってしまいますよね。昔の建具を32枚使えたことに感謝しています。 この建具があったからずっと家を潰せなかったというところがあって、障子とか捨てたくなかったんです。 古い建具を活かしたり、玄関ホールや茶の間を継続できたので母もとても喜んでいます。