インテリア

色を利用する空間設計

執筆者
鈴木 元一朗(グランドコンパス)

 色には力がある。かつてアメリカ大統領選挙において、優勢と言われた現職のニクソン副大統領に勝ったケネディーは、印象をコントロールした。白黒のテレビではあるが、コントラストが強くでるネイビーのスーツを着て、コントラストの小さいグレーのスーツよりも若々しさをアピールし、リーダーシップを強調して勝利を収めた。というのは有名な話である。
 トランプ大統領も無地の赤いネクタイを長めに着用していた。これはMakeAmericaGreatAgainを色で表したかのようで、挑戦やリーダーシップを印象付けた。
 日本の首相は、清潔感を表す青を好んでいるように見えるが、レジメンタルの縞模様が多いので、リクルートルックのようだと思うのは私だけだろうか。無地か小紋にならないかと良く思う。
 営業マンには、契約締結には赤いネクタイ、初回面談委は青、プレゼンテーションの機会には自己主張の黄色、元気を与えたいときはオレンジのネクタイが良いと勧める。
 色は人に与える影響が大きい。スーパーで美味しいお肉やお刺身に見えるように、人工芝の上に陳列しているのも色の効果を利用したものだ。緑を見ているようでいて脳の中では補色の赤が残像として残る。これを利用してより赤々と見えるようにしている。お魚屋さんやお肉屋さんに買い物に行くと緑の包装紙でくるんでくれたことを思い出す。平成の方々にはわからないかな。
 通り一辺倒に、明るいことは良いことのように蛍光灯がもてはやされた。明るい〇〇なんてキャッチフレーズの電機会社もあった。
 現代はLEDが誕生し様々な演色性のある照明器具がある。夕焼けの色は人々を家路につかせる効果がある人恋しくなる色をしている、帰宅時に黄味がかった赤色の照明のリビングをみると一家団欒を想像するし、赤い提灯にはふらっと引き込まれそうになる。アパートやマンションの共用部の青白い照明には、冷たいイメージで気が沈みそうな印象を受ける。
 紫色のランチョンマットでは食欲減退にありダイエットに効果が期待と言われる、ラーメン屋、外食産業は美味しく感じるオレンジが使われる。
 年を取ると。好きな色と似あう色が乖離してくるので、好きな色は小物に隠すようになるのでピンクの財布やキーケースを持つ方が多いのかもしれない。
 夫婦喧嘩の多い寝室には赤の壁紙やカーテン、元気で勉強嫌いにしたいならオレンジの子供部屋、青い子供部屋は集中することで勉強がはかどり成績向上の3段論法が成立する。このように色の特性を利用したら面白い空間設計ができる。色を勉強してみたら面白い。

 色の三原色、赤(紫)、青(緑)、黄色を合わせると黒になる。光の三原色、赤、青、緑をあわせると白になる。なんとも不思議である。