マネープラン

マイホームの維持費用

執筆者
株式会社住まいと保険と資産管理 (静岡ライフプラン設計相談室) 山川正人

夢のマイホーム購入!

 住宅ローンの計画もばっちり、月々の返済額も決まって「さあ、これからがんばるぞ!」と、意気込んでいることでしょう。そんなところに水を差すようですが、少し細かい点ではありますが一点注意してほしいことがあります。
 住宅購入にあたっての資金計画の中心にあるのは、いうまでもなく住宅ローンですね。土地と建物の予算を決めて、物件を選んで、頭金と借入額の割合を決めて、いよいよ実行。30年以上に渡る住宅ローン返済の始まりです。月々の返済額は○○万円だから大丈夫なはず・・・。
 この時、意外と多くの方が見落としていることがあります。それは「マイホームの維持費用」です。「住まい」に関する支払いは、住宅ローンの返済だけではありません。不動産を所有するとかかる税金、固定資産税や都市計画税。将来必要となる修繕のための積立貯蓄。火災保険や地震保険の保険料。住宅購入時にかかる諸費用は計算に入れてあっても、その後固定的にかかっている費用を見落としている場合があります。

不動産にかかる税金

【固定資産税】
 固定資産税は、市町村などの地方自治体がかける税金です。土地や家屋等の不動産を所有している人に納税義務があります。税額は基本的に、固定資産税の評価額に1.4%をかけて算出されます。評価額は土地の場合、公示価格の7割が目安と言われていますが、面積200㎡以下の小規模住宅地ならば固定資産税額は1/6に軽減されます。建物は、国の定める固定資産税評価基準によって算出されます。まず対象となる建物を再建築した場合に必用な建築費を求め、築後年数に応じた減価を考慮して決められます。また、一定の新築住宅については3年間税額を1/2とする軽減措置があります。具体的には、静岡法務局管内「新築建物課税標準価格認定基準表」に定められており、建築直後ですと建築価格の8割が減価の基準となっています。固定資産税の金額は、どんな土地や建物なのかによってそれぞれに異なりますが、一般に新築住宅の場合10万円〜15万円ほどと見られます。1ヶ月あたりになおすと1万円ほどになりますね。

【都市計画税】
 市街化区域内に土地・建物を有する人に課税される税金です。税額算出の基準となる課税標準額は、固定資産税と同じで、その金額に税率0.3%をかけて計算します。地域によっては、税率が低く設定している場合もあります。静岡市を例にすると、旧蒲原町、旧由比町の区域の税率は0.2%となっています。

住宅の修繕費用

 建ったばかりなのに、もう修繕の心配?、と思われるかもしれませんが、意外に費用がかかります。不動産情報サービスのアットホーム株式会社が2016年7月の発表した「新築一戸建て購入後30年以上済んでいる人に聞く『一戸建て修繕の実体』調査」によると、平均築年数35.8年で修繕費の平均総額は556万円との調査結果が出ました。
【athome(アットホーム)アンケートページ】http://athome-inc.jp/news/questionnaire

<主な調査結果>
・平均築年数35.8 年 これまでに使った自宅修繕費 平均総額556 万円
・修繕場所 1 位「外壁」84.4% 2 位「給湯器」83.2% 3 位「トイレ」「お風呂」76.0%
・修繕費を毎月積み立てていた 9.9%
・自宅の修繕費は毎月積み立てるべき 53.5%
・自宅の雨漏り経験 44.6%、シロアリ被害経験 24.6%
・木造一戸建ての寿命は何年くらいだと思うか 平均56.9 年

時期や金額にばらつきはあると思いますが、1年あたりに換算すると約16万円、月々にして約1.3万円ほどを将来のために貯めておく必要があるということになります。

火災保険、地震保険  

万一の火災に備えて加入する火災保険、マイホームを購入して火災保険に加入しない人はほとんどいないと思われます。しかし、地震保険の加入率はというと、平成26年度末で約3割ほどに留まっているようです。
 保障額が建物評価の50%までであることや、保険料が高いことなどもあってこのような結果になっていると思うのですが、通常の火災保険では自信による火災が補償されないことを考えると、万一のときの備えとして地震保険に加入する合理性はあるのではないかと思います。
 さて、その火災保険、地震保険の保険料ですが、取扱保険会社によって差があるほか、保障額をいくらに設定するかによっても金額は変わってきます。インターネット上の価格比較サイトで調べたところ、一般例として初期値で入力されている設定の試算で、1年あたりの保険料は火災保険が約2万円、地震保険が3万円ほどでした。合計で約5万円、1か月あたりに直すと約5千円になります。

住宅ローン以外にかかる維持費用の総計は?

 これまで見てきた、税金、修繕費、保険料を合計すると、1か月あたりだいたい3万円ほどを住宅ローンの返済以外に住宅関連費として支払うことになります。3万円というと大きな金額ですね。30年間では1,080万円となります。
 マイホームを手に入れるにあたって、住宅ローンの返済額や、購入時の諸費用については見落としがなくても、その後かかる費用を見落としていませんか? 見落としている出費は、貯蓄に回せるお金の減少につながります。教育費や、退職時の繰上返済資金、老後生活費などに影響が出ることも考えられますので、予算を決めるにあたってこれら住宅の維持費用についても見落としのないようにご注意ください。