建築・間取り

矩計図とは何か?なんと読むの?

執筆者
株式会社Flap 矢島マコト

矩計図 かなばかり図は、壁面の詳細図 住宅の品質が良く分かる図面です

 家を建てるときに見る図面といえば、間取り図が代表格。近年では省エネ住宅や、排出量の少ない、または、ほぼゼロのZEHなどエネルギー消費への対応が、住宅に求められる時代が到来しました。断熱効果の高い壁材や断熱塗料への評価が高まっています。融資の条件が良くなる長期優良住宅という概念も現実の物となり浸透し始めました。
 そこで、不肖Yが強調したいのが矩計図へのこだわりです。もちろん図面そのものにこだわるのではなく「家の壁がどうなっているのか?」ということです。「高断熱の素材を使っている」ということが「断熱効果が高い家」ということに直結しない事があります。矩計図がしっかり記載されている、または、矩計図についての説明が丁寧で十分だったということは、残念ながら少ないようです。

高断熱素材を使って、断熱効果の高い工法で、確実に施工することが大事

 壁紙を取り換える原状回復や模様替えに属するリフォームは広く行われ、その件数も多いことでしょう。しかし、壁の板をはがして、内部の断熱材を取り換えること少ないのではないでしょうか。
 新築時に、家の壁の構造を理解し、工法と実際の施工状況に目を光らせることは、エネルギー消費への影響は大きい、すなわち省エネルギー住宅を実現することになります。
 間取り図による平面的理解のみで住宅を語ることができないことは容易に想像できるかと思います。不肖Yの老母宅は、非常に寒く、非常に暑い家です。それでも夏場のエアコンは効果を実感できます。しかし、冬場は、大きな出力の物を投入しているものの、カーテン、パーティションを併用しないと効果を実感できません。グラスウールが壁内に充填されているのですが、壁材を剥がせば、脱落しているかもしれませんし、グラスウールの施工部分は良くても、グラスウールの無い部分は、正に、空虚な空間かと思われます。昭和末期の量産住宅では致し方ないのかもしれません。

新築前にしか、壁の材料、構造、施工について注文を出すことは、ほぼ不可能

 新築時に「矩計図はどうなっていますか?」と質問する方と、そうでない方の違いを住宅メーカーの担当者は敏感に感じ取るはずです。断熱の知識と理解を発注側が理解し、説明に納得し、施工に満足する。この流れがすべてOKとならなければなりません。

2020年代の住宅は、コマ切れの室温対策では不十分

 居間をでたらクソ寒い廊下を通らなければトイレに辿り着けない家。風呂に入る前に衣服を脱ぐと鳥肌になる家。エアコンとヒーター、ストーブを併用しなければならない家。こんな家になってしまわぬよう「矩計図」の確認をお勧めします。ちなみに不肖Yの老母宅は、家じゅうの窓という窓を実寸オーダーの断熱カーテンで武装しました。効果ですか?分かりません・・・矩計図の確認ですか?建売だったので何をかいわんや、です・・・