建築・間取り

敷地の特徴を生かした平面計画

執筆者
建築士事務所協会 会員 山梨一級建築設計事務所 山梨一正

敷地の顔を読む

 敷地には、それぞれ顔があります。全ての敷地は個性を持っています。世界中に様々な顔の人がいる様に、敷地にも同じ事が言えます。住宅の設計は、その敷地がどんな個性を持っているかを読み取る事から始まります。

周囲の環境との違いを読む

 敷地自体が持っている特性の他に、周囲の環境との違いも考えられます。街中か、あるいは風光明媚な長閑な所で、そこから富士山が見えるなど、窓から見える景色も全く違ったものになりますし、高低さがあれば又異なります。方位や接道状況により、玄関の位置も変わって来ます。この様に考えて来ますと、本当に一つ一つの敷地に個性や顔がある事が分かります。

土地の特徴は個性

 戦後の街づくり、家づくりは、自然豊かな雑木林を伐採し、土地の起伏を無視して、平らな造成地を多く生み出して来ました。昔からあった姿、形状に敬意を払い、自然を失うことなく持ち続けた個性を大切にし、真摯に土地に向き合ってこそ、美しい場所と言えるのではないでしょうか。では、土地の個性をどうやって生かして行けばいいのでしょう?隣の家に接近していて、採光が取れない。トップライトを付けて採光のカバーするのも良いですね。夜は月の光の美しさを知るでしょう。道路から低い土地では、遊歩道を作る。毎日その階段を渡る楽しみが見つかります。狭ければ、内部空間を壁やドアではなく、高低差をつけたり、色・素材等で感覚的に仕切るのも一つの方法です。時として変形した敷地や狭少地・傾斜地は、価額が安いというメリットもあるかもしれません。土地を安く手に入れた分を、住宅にかけられるのも嬉しいですね。以上、土地と建物の関係についてざっくりと説明させて頂きました。

空間をトータルで考えた設計

 次に平面計画のボリュームについて、お話をしましょう。お客様はマイホームに大きな夢を持っていますので、要望も盛りだくさんです。ヒアリングノートに書き込まれた事項を全て取り入れてしまい、結果予算オーバーになり部屋数だけを満たした、ただの箱になってしまったなど残念な事にならないように、全体をコーディネートするのも、設計士の役割です。例えば、家事室の要望があれば、独立した部屋でなくとも、家事コーナーを確保して満たしたり、男の隠れ部屋の要望には、小屋裏を利用するのも有効です。どんなに狭い敷地でも、植栽は家を引き立てるという面からも確保したいスペースです。敷地と建物は別々のものでなく、トータルで考え、予算の配分を上手くやり、住まい創りを楽しんで欲しいと思います。