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地震保険とは?静岡県の地震保険の付帯率は約6割、加入率は全国平均値

執筆者
株式会社Flap 矢島マコト

 静岡県は、防災先進県を標榜しています。SBS静岡放送のみならず国営の静岡放送局でも防災情報が頻繁に流されます。しかし、意外にも地震保険の加入率は全国平均と同等です。何故でしょうか?

地震保険は国主導の公益性の高い保険

1964年(昭和39年)の新潟地震の後に誕生
 前の東京オリンピックが開催された年に起きた新潟地震はM7.5の大地震で14日間にもわたる石油コンビナート火災や、液状化現象、建物の倒壊、そして住宅火災など甚大な被害をもたらしました。地震の後、当時の大蔵大臣であった地元選出の田中角栄氏が動き、2年後の1966年に地震保険に関する法律が制定されました。

加入率が伸びないのは何故?

津波、噴火による被害は地震保険でなければカバー出来ません
 地震の場合、被災地域一帯が広範囲に被災します。被害救済に要する資金量も甚大なので、国と民間が共同で制度を維持しています。地震保険は、原状復帰による再調達を可能にする保険ではありません。火災の有無に関わらず、建物の倒壊などの損傷に対する一定額の補償のほか、生活基盤に関わる家財に対して補償されます。損害額は、建物、家財の意外に応じて算定されますが、使い道は自由です。生活再建の為に、当座の資金を確保するための保険だからです。震災後、東北地方では国産の中古車特需がありました。保険金で生活に欠かせないクルマを求めた人が多かったと言います。

地震保険は火災保険に付帯でなければ加入出来ない

追加で付帯も可能
 保険料率は、各社同一です。単独では加入できず火災保険に付帯でなければなりません(最初から付帯でなくとも良い)。補償額は建物と家財別々に設定します。それぞれ火災保険の補償額の30%~50%かつ、建物は最大5000万円まで、家財は1000万円までの補償です。つまり、地震保険では、建物と家財の全額は補償されません。保険料は、最大5年まで一括で加入できます。火災保険は、長期35年一括払いも可能で、物件評価額も新価による再調達額を設定できる点と大きく異なります。

静岡県の地震保険付帯率は約60%

 本県の付帯率は、約60%で、近年殆ど増減はありません。この数字は、本県よりも危険度が低いとされる愛知県が約70%であることからも、高い数字とは言えません。これはひとえに保険料と補償額の捉え方、考え方によるものと思われます。

最も危険度の高いグループ

 保険料率は、地域別にランク分けがされており、静岡県は、東京都、神奈川県、千葉県と同じで、一番保険料率(=危険度)が高いグループに入っています。具体的には、1000万円当たりの年額で、耐火構造は22,500円、非耐火構造は36,300円です。この年額を、どう考えるかです。

(※2017年1月に値上げされました。国土の成り立ち、近年の地震発生状況から考えると、この負担増は致し方ないかもしれません。国によると、1度の地震で11.3兆円の支払いは可能とされています。詳しくは、財務省ホームページをご参照ください。)

支払い基準は4段階に

 地震保険の支払い基準は、従来の3段階から、4段階に細分化されました。全損(100%)、大半損(60%)、小半損(30%)、一部損(5%)の4基準です。全損の100%といっても、最大で再調達価格の半分です。多くの地震被害の報道に接した現在の日本人は、「大半損」「小半損」「一部損」という響きに何かしらの不安を感じる方も少なくないと思います。

それでも地震保険を推奨する理由とは?

 新築直後で、住宅ローン残額が多い場合や、建物自体が生業と切り離せない自営などの場合は、生活基盤が無くなるリスクは計り知れません。被災者の方より、建物だけでなく家財への加入を勧める声が少なくありません。保険で全てのリスクをカバーすることは出来なくとも、再起の為の資金が有るか無いかで、地震後の生活設計は大きく違ってくるでしょう。

地震保険への加入を迷われますか?

 2015年の宮城県の加入率と付帯率は、大変参考になると思います。
宮城:世帯加入率 51.5%、付帯率 86.2%  (全国:加入率29.5%、付帯率60.2%) 
※すべての保険会社で地震保険に加入できる訳ではありません。取扱いの無い保険会社もあります。火災保険との組み合わせ、割引率や補償額等、条件は個別に異なります。

財務省ホームページ 地震保険制度の概要
http://www.mof.go.jp/financial_system/earthquake_insurance/jisin.htm#5